VIRGIN BMW | 第3回 新旧エンジン比較 ボクサー新旧対決!

第3回 新旧エンジン比較

  • 掲載日/2006年06月23日【ボクサー新旧対決!】
  • 取材協力/モトラッド神戸  コラムニスト/ターミー

BMWボクサー新旧対決の画像

走行距離が3000kmを越え
ハチマルにもやっと慣れてきました

BMWボクサー新旧対決の画像

ハチマル納車から1ヶ月ほど経ち、1000kmの初回点検も終えた我が「ハチマル」。短い走行を少しずつ重ねて距離を重ねてきましたが、ショートランではハチマルのことがなかなか理解できません。そこで、初回点検を終えた直後、自宅のある神戸から東京まで取材を兼ねてロングツーリングに出ることにしました。私の旅は高速を使いません。そのため、高速で行くよりやや遠回りになりますが、下道での渋滞や気持ちよく流せる田舎道など、存分にハチマルを楽しめるんです。が、東京への行きの道中はかなりつらいものとなりました。出発直後から東京に着くまでずっと雨に降られたことと、今までハチマルを適当に乗っていてポジションをよく理解していなかったからです。

走りはじめて走行距離が600kmを越えた頃には…腰は痛いわ、手首は痛いわ、散々な気分でした。それもこれも、ハチマルに乗るための乗車姿勢をわかっていなかったから。今まで10年近く、アメリカンバイクばかり乗り継いできたので、ニーグリップの重要性、グリップの握り方などは恥ずかしながら、我流でした(笑)。東京に着いてから、早速いろんな人にポジションの相談をして、段々と楽に乗れるようになってきています。おかげで帰りの道中は楽しく、回して乗るハチマルの魅力をふんだんに味わわせてもらえました。

そうそう、皆さんに2点お詫びがあります。前回のコラムで「ハチマルもR1200STもハンドルが少し遠い」と書きましたが、ポジションを理解しはじめた今になって考えると体を起こしすぎてハンドルを握っていたからでした。「ハチマルの右ウインカースイッチが押しづらい」と書いたのもグリップの握り方がわかると「ああ、この手の位置だからウインカースイッチが低いのね」と遅まきながら理解することができました。BMWを学びながら執筆しているこのコラムですので、間違えたことも書くかもしれませんが、そんなときはご批判、アドバイスなどをどしどしご連絡くださいませ。変に知ったかぶりをせず、その時々に感じたことのありのままを書いていきますので、よろしくお願いいたします。

R1200STとハチマルと…
新旧エンジンを比較してみましょう

さて、今回からいよいよ実走での新旧比較を行います。ブレーキやらサスペンションなどテーマは盛りだくさんですけれど、今回はバイクの心臓「エンジン」を比較します。現行車は前回に引き続き「モトラッド阪神」より「R1200ST」をお借りしました。では、エンジンの基本的なスペックからおさらいしましょう。

項目 R1200ST R80
排気量 1169cc 798cc
ボア×ストローク 101mm×73mm 85mm×71mm
最高出力 110ps/7500rpm 50ps/6500rpm
最大トルク 115Nm/6000rpm 58Nm/4000rpm
圧縮比 12.0:1 8.2:1
燃料供給 インジェクション キャブレター

R1200STは排気量が約1.5倍もありますね。最大出力は2倍以上!  しかもR1200STは燃料供給がインジェクション、点火タイミングはコンピューター制御、各シリンダーにプラグが2本も刺さっているツインスパーク仕様、高い圧縮比…うーん圧倒的な差です。モノサスのハチマルの登場から20年近い時間を経て登場したR1200STですから、このくらいの進化は驚くに値しないのかもしれませんが…。100馬力を越える空(油)冷エンジンかぁ、わくわくしてきますね。面白いのは排気量が約1.5倍になっているのに、ストロークの距離がR1200STとハチマルとでほとんど変わりがないこと。R1200STの方がハチマルよりエンジンの横幅が短いのはこの数字からも納得できますね。しかし、現行車はハチマルよりショートストロークになんだな…ということは、エンジンフィーリングはR1200STの方が少しせわしないのでしょうか?

うーん、マイッタ
さすがのハイパワーです

BMWボクサー新旧対決の画像

さて、お借りしたR1200STを走らせてみましょう。3000kmもハチマルを走らせて、2バルブボクサーのエンジンフィーリングは体に染み込ませてあります。では、いざ出陣!

R1200STは手でチョークを引いて始動する必要はなく、さすがはインジェクション、エンジンは一発で始動します。排気音はハチマルとは違い、やや小刻みに聞こえる排気音です。我がハチマルは排気音以外にタペット音がウルサイですけれど、R1200STは電子サーボブレーキの電子音が目立ちます。こんなところからも「現代のバイクだな」と実感できますね。

走り始めるとさすがは1169cc、スロットルを捻るとぐんぐん加速していきます。「ハチマルも回せば遅いバイクじゃないな」と思っていましたが、2速、3速でのこの加速はとても敵いません。ただ、大排気量ゆえなのか、高回転気味のエンジンの味付けなのか、低回転では少し元気がない気がします。街中だとハチマルくらいの中排気量の方が走りやすいのかも。とは言え、4速・5速のまま低速で走ってもなかなかスナッチングを起こさないのはさすがインジェクション。ハチマルだとスナッチングでエンジンがガクガクしてしまう速度でもちゃんと走ってくれます。

BMWボクサー新旧対決の画像

街中を走るのだと3速でも充分、気持ちよく流れている道では4速までしか使いません。「もっと回して走ってみたいな」と思いましたので、近くにあった名神高速に乗ることに。平日だと渋滞もほとんどなく、気持ちよく走れますから試乗にはぴったりの道です。4速のままでも100km前後までなら充分流せますが、5速に入れた方が気持ちいい。下道でも回せば回すほどスムーズに加速していくエンジンでしたが、高速に乗ってもまだまだ余裕があるエンジンです。しかも5速で100kmくらいのスピードくらいなら、ハンドルやシートから速さは伝わってきません。ハチマルも80kmを越えたあたりから振動が収束し、100km巡航くらいならわけもありませんが、ここまでの快適さではありません…。「こりゃツーリングは楽だろうな」としみじみ感じます。またR1200STは6速ミッションなのですが…法定速度で走る分には6速なんて必要ありません。普段それほど飛ばさない私からすると6速は「いざというときのギア」かも。これを使うときは相当覚悟を決めたとき、そんなギアですね(笑)。

高速走行中、通行券を風で飛ばすというトラブルもありましたがなんとか無事切り抜け、高速を降りました。そこでふと気づいたことが。「エンジンが左右に振られるトルクリアクションは?」そう、水平対向独特と言われるトルクリアクションのことを忘れていました。車両を止め、アイドリングでスロットルを回してみると「おお、コレコレ」という左右に車両がぶれる挙動があります。しかし、走り出してみるとそれを感じることはほとんどありません。バランサーが入っていないハチマルに慣れ親しんでいるので不思議な感覚です。ハチマルだとアイドリング時も走行中も、水平対向のトルクリアクションを感じながら走らせないといけませんから。現行車は大排気量で高速を走るので、トルクリアクションが車両操作を妨げないようにバランサーが入ったのでしょうか。どれほど高速で走っても、エンジンの独特の挙動が操作の邪魔をすることはなく、安心してスロットルを捻ることができます。

街乗りならハチマルでも充分イケル
でも、ロングツーリングが多いなら…

どちらのモデルもその時代のBMWの力を結集して造られたモデルです。それぞれに魅力はありますが、20年の進化は想像以上のモノがありました(笑)。上から下までエンジンを回してみましたが…。

R1200STのボクサーエンジンはどれほど回しても「まだまだ行ける、もっと回せ」と余裕の表情で応えてくれます。ハチマルのエンジンの回り方も同じフィーリングですが「どこまでも回せそうな感覚」の限界はR1200STの方が遥かに高いのでしょう。しかしこの共通した感覚からは「ああ、エンジンコンセプトは同じなんだな」と感じられます。どちらも調子に乗ると免許が無くなってしまいそうで、回すほどに楽しさが増してきますからこのエンジンを操るときは自制心が必要ですね。しかし、これで驚いていてはいけません、R1200STのエンジンは最新じゃなく、この春に登場した「R1200S」のエンジンはさらに進化したものなんですから。時代を感じさせる味わい深いハチマルのエンジンもいいですけれど、日本を縦横無尽に走り回るために、いや、世界を走り回るためにBMWのエンジンはこのような進化を遂げたのでしょう。ハチマルの時代のボクサーエンジンと現行のボクサーエンジンの歴史はちゃんと繋がっている、性能の差だけでなく両者の共通性も感じられた試乗でした。

プロフィール
ターミー

28歳。体重約0.1トン。「ミドルクラスのバイクが好き」と公言してはばからないが本人はヘビー級の体重なのが不思議。今回購入した「R80」以外にもハーレー「XL1200C」とヤマハ「TT250R」を所有し、バイク馬鹿なのは確か。

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