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試乗をすると決めたものの
それは「BMWが完璧なオートバイだったらどうしよう?」という不安でした。もっと詳しく書くとこうです。「自分たちがシートを作る必要の無いオートバイだったらどうしよう」ということです。というのも、今回の試乗はK&HがBMW用シートの開発を始めるに当たり、最初に手懸ける車輌を選ぶのが目的だったからです。そこでBMWが完璧で、シートを作る必要が無い完成度であれば、車輌を購入しても意味がありません。私自身はBMWに興味があるし、乗ってみたい。だからこそBMW用のシート作りに挑戦したい、そんな思いでした。大変失礼な話なのですが(笑)BMWが100%完成されたバイクでないことを願いました。 大きな車体だな… そして試乗の当日。K&Hのスタッフと一緒に、朝一番で神奈川のクラフトさんへ向かいました。到着すると以前からお世話になっている専務の滝本さんがお出迎えしてくれ、もうすでに『R1200ST』と『R1200RT』の2台の試乗車が用意されています。しかし、いきなり乗るわけではなく、まずは注意事項から。エンジンの掛け方、ABSについて、車のようにブレーキにサーボが付いていること、前後ブレーキの関係、クラッチの繋がり方がすこし独特ということ、あとはセキュリティーの使い方…などなど。もちろん、両車ともにグリップヒーターが標準で付いています。他メーカー用の後付けのグリップヒーターはスイッチを増設したり、配線が増えたり、故障の原因になったりといいイメージがありませんでした。しかし、BMWはさすがメーカーが標準装備するだけはあり、配線は見えず、スイッチはハンドルスイッチの中にきれいに納まっています。真冬にでもシートのテストに出掛ける私たちにとってはありがたい装備です。システムでもずいぶん先進的で、ハーレーとは異なるポテンシャルを感じさせてくれます。
それにしてもBMWは大きい! 特にR1200RTが。カウリングの造形もあるのでしょうが、パニアケースの張り出しに正直ビビリます。「これに乗って、ぶつけずに帰ってこれるかな?」と、ちょっと心配になりました。ハーレーのツーリングファミリー(一番大きな部類のハーレー)に普段からテストで乗っているものの、それより一回りは幅があるように見えます。ただこのカウルは防風効果が高そうで、なんと電動でスクリーンが上下します! これは高速道路が楽しみですね。『R1200ST』の方はというと、最初に眼に入ったのは個性的なフロントマスク。多少傾斜の付いた乗車姿勢になりそうなハンドルに『これは楽しめそうだなー』と、その日、走る予定のコースを想像しながらニンマリとしてしまいます。STのスクリーンは手動で、このサイズで防風効果はあるのかなー?と半信半疑。どちらの車輌もフロントシートのみ2段階で高さ調整が出来るようです。 乗る前は振動が多いなと思ったが 簡単なチェックの後、早速エンジンをかけてみます。知人が乗っている2バルブの『R100RS』とは、少し違うエンジンの掛かり方ですが、紛れもなく水平対抗ツインの音です。アクセルを吹かすと車体が少し傾こうとします。今回試乗に行った二人は、FLAT4エンジンのフォルクスワーゲンビートルに長年乗っているためか、この独特のエンジン挙動は特に気になりません。と言うより、これしか動かないの?といった程度でちょっと残念(笑)。けれど、予想していたよりも車体の振動が大きい。本当にバランサー付いているの?というくらいです。
さて最後に、私の得意とするシートについて触れておきましょう。試乗時、まずはST、RTともにフロントシートをローの位置にセットしてみました。シートは低いが、幅が広く足が真っ直ぐ下ろせない。足つきに関しては芳しくありません。「スポンジは柔らかすぎか?」と、改善点が見えてきました。この時点でちょっと安心してきました。(笑)この後に私はR1200RTにしようと決断するわけですが、理由は次回触れさせていただきましょう。ではでは、来月をお楽しみに! |
![]() 上山 力 32歳。東京都練馬区のシートの名店「K&H」に勤務。シートの開発を主に担当。自らが長い距離を走り抜き、シートを開発するため、彼の年間走行距離は尋常でないものに。 埼玉県朝霞市上内間木381-2 048-456-3830 |