

|
走行距離が3000kmを越え
走りはじめて走行距離が600kmを越えた頃には…腰は痛いは、手首は痛いは、散々な気分でした。それもこれも、ハチマルに乗るための乗車姿勢をわかっていなかったから。今まで10年近く、アメリカンバイクばかり乗り継いできたので、ニーグリップの重要性、グリップの握り方などは恥ずかしながら、我流でした(笑)。東京に着いてから、早速いろんな人にポジションの相談をして、段々と楽に乗れるようになってきています。おかげで帰りの道中は楽しく、回して乗るハチマルの魅力をふんだんに味わわせてもらえました。
そうそう、皆さんに2点お詫びがあります。前回のコラムで「ハチマルもR1200STもハンドルが少し遠い」と書きましたが、ポジションを理解しはじめた今になって考えると体を起こしすぎてハンドルを握っていたからでした。「ハチマルの右ウインカースイッチが押しづらい」と書いたのもグリップの握り方がわかると「ああ、この手の位置だからウインカースイッチが低いのね」と遅まきながら理解することができました。BMWを学びながら執筆しているこのコラムですので、間違えたことも書くかもしれませんが、そんなときはご批判、アドバイスなどをどしどしご連絡くださいませ。変に知ったかぶりをせず、その時々に感じたことのありのままを書いていきますので、よろしくお願いいたします。 R1200STとハチマルと… さて、今回からいよいよ実走での新旧比較を行います。ブレーキやらサスペンションなどテーマは盛りだくさんですけれど、今回はバイクの心臓「エンジン」を比較します。現行車は前回に引き続き「モトラッド阪神」より「R1200ST」をお借りしました。では、エンジンの基本的なスペックからおさらいしましょう。
R1200STは排気量が約1.5倍もありますね。最大出力は2倍以上! しかもR1200STは燃料供給がインジェクション、点火タイミングはコンピューター制御、各シリンダーにプラグが2本も刺さっているツインスパーク仕様、高い圧縮比…うーん圧倒的な差です。モノサスのハチマルの登場から20年近い時間を経て登場したR1200STですから、このくらいの進化は驚くに値しないのかもしれませんが…。100馬力を越える空(油)冷エンジンかぁ、わくわくしてきますね。面白いのは排気量が約1.5倍になっているのに、ストロークの距離がR1200STとハチマルとでほとんど変わりがないこと。R1200STの方がハチマルよりエンジンの横幅が短いのはこの数字からも納得できますね。しかし、現行車はハチマルよりショートストロークになんだな…ということは、エンジンフィーリングはR1200STの方が少しせわしないのでしょうか? うーん、マイッタ
R1200STは手でチョークを引いて始動する必要はなく、さすがはインジェクション、エンジンは一発で始動します。排気音はハチマルとは違い、やや小刻みに聞こえる排気音です。我がハチマルは排気音以外にタペット音がウルサイですけれど、R1200STは電子サーボブレーキの電子音が目立ちます。こんなところからも「現代のバイクだな」と実感できますね。
走り始めるとさすがは1169cc、スロットルを捻るとぐんぐん加速していきます。「ハチマルも回せば遅いバイクじゃないな」と思っていましたが、2速、3速でのこの加速はとても敵いません。ただ、大排気量ゆえなのか、高回転気味のエンジンの味付けなのか、低回転では少し元気がない気がします。街中だとハチマルくらいの中排気量の方が走りやすいのかも。とは言え、4速・5速のまま低速で走ってもなかなかスナッチングを起こさないのはさすがインジェクション。ハチマルだとスナッチングでエンジンがガクガクしてしまう速度でもちゃんと走ってくれます。
高速走行中、通行券を風で飛ばすというトラブルもありましたがなんとか無事切り抜け、高速を降りました。そこでふと気づいたことが。「エンジンが左右に振られるトルクリアクションは?」そう、水平対向独特と言われるトルクリアクションのことを忘れていました。車輌を止め、アイドリングでスロットルを回してみると「おお、コレコレ」という左右に車輌がぶれる挙動があります。しかし、走り出してみるとそれを感じることはほとんどありません。バランサーが入っていないハチマルに慣れ親しんでいるので不思議な感覚です。ハチマルだとアイドリング時も走行中も、水平対向のトルクリアクションを感じながら走らせないといけませんから。現行車は大排気量で高速を走るので、トルクリアクションが車輌操作を妨げないようにバランサーが入ったのでしょうか。どれほど高速で走っても、エンジンの独特の挙動が操作の邪魔をすることはなく、安心してスロットルを捻ることができます。 街乗りならハチマルでも充分イケル どちらのモデルもその時代のBMWの力を結集して造られたモデルです。それぞれに魅力はありますが、20年の進化は想像以上のモノがありました(笑)。上から下までエンジンを回してみましたが…。
R1200STのボクサーエンジンはどれほど回しても「まだまだ行ける、もっと回せ」と余裕の表情で応えてくれます。ハチマルのエンジンの回り方も同じフィーリングですが「どこまでも回せそうな感覚」の限界はR1200STの方が遥かに高いのでしょう。しかしこの共通した感覚からは「ああ、エンジンコンセプトは同じなんだな」と感じられます。どちらも調子に乗ると免許が無くなってしまいそうで、回すほどに楽しさが増してきますからこのエンジンを操るときは自制心が必要ですね。しかし、これで驚いていてはいけません、R1200STのエンジンは最新じゃなく、この春に登場した「R1200S」のエンジンはさらに進化したものなんですから。時代を感じさせる味わい深いハチマルのエンジンもいいですけれど、日本を縦横無尽に走り回るために、いや、世界を走り回るためにBMWのエンジンはこのような進化を遂げたのでしょう。ハチマルの時代のボクサーエンジンと現行のボクサーエンジンの歴史はちゃんと繋がっている、性能の差だけでなく両者の共通性も感じられた試乗でした。 取材協力 モトラッド阪神 住所:兵庫県西宮市下大市東町16-16 電号:050-3541-5669 営業10:00〜19:00 休日:月曜日(祝祭日は営業) |
![]() ターミー 28歳。体重約0.1トン。「ミドルクラスのバイクが好き」と公言してはばからないが本人はヘビー級の体重なのが不思議。今回購入した「R80」以外にもハーレー「XL1200C」とヤマハ「TT250R」を所有し、バイク馬鹿なのは確か。 |