VIRGIN BMW | 第1回 必要なものは はじめてのヨーロッパツーリング

第1回 必要なものは

  • 掲載日/2012年12月21日【はじめてのヨーロッパツーリング】
  • 取材協力/オズ・インターナショナル、オーストリア航空 写真・文/佐川 健太郎
    ※ 2012年12月15日発行『BMW BIKES』Vol.61 P.74 「ヨーロッパ=ロングラン 使ってみてわかった R1200GS ホントの実力」にて、佐川健太郎さんによるヨーロッパツーリングの模様がレポートされています。

BMWヨーロッパツーリングの画像

モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川です! このコラムでは、「はじめてのヨーロッパツーリング」と題し、本場ヨーロッパでのバイク旅を安全に快適に楽しむためのハウツーをお伝えしたいと思います。欧州は多くのライダーにとって憧れの地ですが、日本の常識がそのまま通用しない部分も多々あり、困惑することもしばしば。いつか訪れるかもしれないときのため、少しでもお役に立てれば幸いです。

全天候型ウェアと
GPSがあれば安心

2012 年秋に取材を兼ねてヨーロッパツーリングに行ってきましたが、このコラムはそのときの体験をベースに書いています。これまでも何度かヨーロッパをバイクで走ったことはありますが、今回のように約10日間かけて、2500km を走破するような長旅は私にとっても初めて。そこで見たこと、感じたことを“ナマの情報”としてお伝えできればと思っていますので、気楽に読んでみてください。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、第1回のテーマは「ヨーロッパツーリングに必要なもの」ということで、ヨーロッパのバイク旅の必携品について書きたいと思います。今回の旅は、ドイツを起点にオーストリア、イタリア、スイスなど、主にアルプス周辺の山岳地帯を経由するルートでした。そこでは、街乗りのようなライト感覚ではなく、より本格的な「走るため」の装備が前提となります。

BMWヨーロッパツーリングの画像

今回のヨーロッパツーリングでは、ドイツ・BMW 直轄のレンタルシステムを利用。新車同然に整備されたニューモデルを選べるので、安心だし気持ちいい。自分は R1200GS を旅の友としました。

欧州のベストシーズンは6月か9月と言われます。ちょうど日本では秋ぐらいの感じで、気温は9月初旬のミュンヘンで 15~20℃ ぐらい。残暑厳しい日本よりだいぶ過ごしやすいですが、山岳地帯では昼でも 10℃ 以下はざらで、イタリアなど南のほうでは逆に 30℃ を超えることもあります。昼と夜、標高によっての寒暖の変化が激しいのが欧州の特徴。つまり、日本での夏~真冬並みの装備が必要になるということです。雨も普通に降るので、ウェアはオールウェザーのジャケット&パンツが理想的。脱着式インナーなどで保温性や通気性を調整できるタイプがいいですね。速度レンジも高いので、安全を考えるとプロテクター入りであることが必須です。同じ理由でヘルメットもフルフェイスか、道を尋ねたいときに顔面を開放できるシステムタイプなどがおすすめ。足元はしっかりした、それでいて観光地なども歩きやすい革製ブーツを。宿では疲れを癒せるよう、ゆったりできる服装と、洗濯も毎日は辛いので下着は多めに用意したほうが楽です。

ツアーで行くなら、迷子になることもないとは思いますが、旅の臨場感を味わうためにも、現地の地図を空港などで入手しておくと便利です。ツーリングで使うなら、エリア全域をカバーできる5万分の1スケールあたりが使いやすいはずです。そして、いざというとき心強いのが GPS ナビ。世界中で使われているのは Garmin 製で、現地でもよく見かけました。ちなみに私は地図とスマホの GPS 機能を使っていました。これは自分の現在地が正確につかめるので大変便利です。ただし、海外でスマホを遣うとデータローミング料などが別途加算される場合があるので、事前に調べておく必要があるでしょう。

BMWヨーロッパツーリングの画像
360度、見渡す限りの壮大なパノラマが広がる欧州のアルペンルート。これは現地でなければ絶対に味わえないもの。速度レンジと激しい気温差を考えると、装備は本格的にならざるを得ません。

一番大事なのは
健康な体とタフな心

そうそう、当たり前ですが海外で運転する場合、パスポートと国際免許も必要ですね。日本のように普通自動2輪・大型自動2輪などの区分はありませんが、提示を求められる場合もあるので、日本の免許証も持っていったほうが無難です。また現地で乗るのはレンタルバイクになるでしょうから、車両保険の適用範囲と免責の金額、ロードサービスのシステムなどを確認しておくべきです。ちゃんとしたレンタル会社なら、そのあたりのサービスは日本と同等レベルに整備されているはずです。万が一のアクシデントに備えて、短期の傷害保険にも加入しておいたほうが安心。このあたりの事務的なことは、やはり専門としている旅行会社に任せたほうが楽だし確実です。医薬品も念のため風邪薬と胃薬ぐらいは持参しておくと心の支えになります。そして一番大事なのは、健康な体とタフな心。ちょっとしたトラブルなどには負けないだけの気持ちの準備さえできていれば、あとは何とかなるものですよ!

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イタリアとオーストリアの国境にまたがるステルビオ峠。標高 2700m にある山頂には、欧州中からアルプス越えを目指すライダーが集まってきます。気温は9月で 5℃。やはり BMW が多いです。
プロフィール
佐川 健太郎

モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌やWEB等で活躍中。本サイトではニューモデル試乗やライディングテクニック講座【スマテクで乗りこなそう!】で講師を担当。公道で役立つ実践的な安全運転スキルからサーキット走行まで造詣が深く、ライテク関連の記事や映像も数多く手掛ける。『MOTOCOM』編集長。『ライディングアカデミー東京』校長。MFJ公認インストラクター。

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