VIRGIN BMW | #01 はじめまして! 高田速人です。 S1000RRの楽しみ方

#01 はじめまして! 高田速人です。

  • 掲載日/2011年04月26日【S1000RRの楽しみ方】
  • 文・写真/淺倉 恵介
S1000RRの画像

VIRGIN BMW.com では、BMW初のスーパースポーツマシン S1000RR を存分に楽しむための企画をスタートします。メインキャラクターには、2010年の鈴鹿8耐参戦チームでライダーを務めた高田速人さんをフィーチャー。高田速人って、いったいどういう人? その疑問には、前代未聞の3回連続掲載でお答えします。

はじめまして!
高田速人です

VIRGIN BMW.com 読者の皆さん、はじめまして。今回から、こちらでコラムを担当させていただくことになりました、レーシングライダーの高田速人と申します。よろしくお願いいたします。いきなりそう言われても、誰?と思う方も多いのではないでしょうか。ですので、まずはボク高田速人と S1000RR とのかかわり合い、そしてボク自身について知っていただこうかと思います。

昨年、日本デビューを果たした S1000RR は、BMW初の本格的スーパースポーツ。そのパフォーマンスは大きな話題となりましたし、いきなりの鈴鹿8時間耐久レース参戦も高い注目を集めました。VIRGIN BMW.com 愛読者の皆さんなら、Tras新田さんの8耐参戦記で、その様子をご存知かもしれませんね。ボクは、その参戦チーム【Tras & G-TRIBE + 8810R】にライダーとして参加させていただきました。

S1000RRの画像

8耐は初参戦ながら18位という好成績を残すことができましたし、ボク自身も S1000RR というバイクの持つ可能性に惹かれ、8耐の後も全日本スーパーバイク選手権のもてぎラウンド、鈴鹿最終戦にエントリーしました。

そういうワケで、ボクはこの1年ほどレーシングマシンとして、S1000RR と付き合ってきました。とは言うものの、実のところ BMW を良く理解した玄人というわけではありません。もちろん BMW のバイクという存在は知ってはいましたし、何台かは試乗した経験もあります。ですが、レースにせよストリートにせよ、自らの愛車として走り込んだのは S1000RR が初めてです。そういう意味では、ボクも皆さんと同じ“BMW初心者”といえるかもしれません。

このコラムでは、皆さんと一緒に BMW というバイクを、より深く理解していけたら良いなと思っています。また、レース歴はそれなりに長いですし、レーシングライダーとしての目線から、S1000RR の楽しみ方を提案できるように考えています。

自己紹介代わりに
ボクのバイク人生を聞いてください

ボクは、国際ライダーとしてレースに参戦していますが、普段はオートバイタイヤの販売交換と、メンテナンスを行うショップを営んでいます。昨年の8耐参戦チームの名前にある「8810R」とは、ボクのやっているお店の名前です。仕事もプライベートもバイク一色、こんなバイク漬けの毎日を送るようになったのは、やはりレースの存在が大きいのです。そこで、高田速人という人間を知っていただくために、ボクのレース歴、バイク歴をお話ししようと思います。

ボクは1976年生まれの35歳。レースを始めたのは中学2年生の時ですから、もう20年以上前のことになります。レースを始めたのは「とにかくバイクに乗りたかった」のが、その理由。中学生ですから当然バイクの免許を取ることはできません。合法的にバイクに乗るには、サーキットなどのクローズドコースで走るしかありませんでした。元々レースがやりたかったわけではなく、ただただバイクに乗りたかっただけなのですが、サーキットを走っているうちに自然とミニバイクレースに出場するようになりました。

16歳になるとすぐ自動二輪免許を取って街乗り用のバイクを手に入れましたが、その頃はすっかりレースに夢中になっていたので、ほとんど乗った記憶がありません。レース資金捻出のために早々に手放してしまいました。ミニバイクレースとはいえ、お金はかかります。ボクの親はレースをすることに反対はしませんでしたが「支援はしない。自分の力でやりなさい」というスタンスだったので、高校生のボクにとってレースにかかる金額は大きな負担でした。アルバイトを3つも4つも掛け持ちし、レース資金を稼ぎ出していたのですが、その分学業が疎かになっていたことは言うまでもありません。

それほど情熱を注ぎ込んだミニバイクレースだったのですが、実のところたいした成績は残せていません。今でこそ、国際ライダーという肩書きを持っていますが、ミニバイク時代はけっして速いライダーではありませんでした。数回は表彰台に上がりましたが、何度もレースに出ていればタマにはあることです。どこにでもいる、ごくごく平凡なライダーでした。レース自体、元々バイクに乗りたいだけの理由で始めたものでしたし、芽の出ないレースをこのまま続ける意味があるのか? と悩み、一時バイクを離れた時期もありました。ですが、半年もせずにレースに復帰しました。

今にして思えば、このレース復帰がひとつの転機でした。19歳の頃、とあるチームから当時流行していた NK-4 に乗らないか? との誘いがあり、それまでのミニバイクレースからロードレースに転向することになったのです。自分にはロードレースの方が合っていたのか、タイムも出て成績も残るようになりました。1996年には RS250 で選手権にも参戦し、その年の成績で国際ライダー昇格を果たすことができたのです。この年は鈴鹿4時間耐久の SP400 クラスで優勝できましたし、レースを初めて以来というような上り調子の一年でした。

S1000RRの画像
S1000RRの画像
S1000RRでの鈴鹿8耐初挑戦を18位という好成績で終えた【Tras & G-TRIBE + 8810R】チーム。パーマネントなレーシングチームではなく、8耐のためだけに結集した急造チーム。監督はBMWジャパンの武藤氏、メカニックは各地のディーラーから手弁当で集まったマイスター達が務める。第1ライダーはS1000RRで全日本を戦う戸田 隆選手、第2ライダーは高田選手、第3ライダーはBMW乗りとして知られる齋藤栄治選手の3人。
S1000RRの画像
1996年の鈴鹿SP-4耐SP400クラスで優勝を果たし、その表彰式後のスナップ。右の人物は高田さんの実兄である慎吾さん。慎吾さんは、高田さんのレース活動を支えてきた一人。
国際ライダー MFJ公認インストラクター
高田 速人
バイクのタイヤとメンテナンスの専門店「8810R」代表。1976年生まれ、東京都出身。中学2年でミニバイクレースを始め、高校卒業後はロードレースにステップアップ。1996年に国際ライダーへと昇格、全日本選手権や鈴鹿8時間耐久レースなど、豊富なレース経験を持つ。2010年は 【Tras & G-TRIBE + 8810R】 チームによる、S1000RR鈴鹿8耐への挑戦にライダーとして参加。2011年は S1000RR を駆り 、【Team Tras】 の第1ライダーとして鈴鹿8耐に参戦。15位獲得に貢献した。
ピックアップ情報