VIRGIN BMW | #16 全日本選手権岡山国際サーキット参戦 S1000RRの楽しみ方

#16 全日本選手権岡山国際サーキット参戦

  • 掲載日/2011年10月28日【S1000RRの楽しみ方】
  • 文・写真/淺倉 恵介
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開幕戦以来のエントリーとなった、全日本スーパーバイク選手権岡山国際サーキット大会。実は、このサーキット、高田さんは初走行。果たして、初めてのコースを高田さんは攻略できるのか?

事前テストは雨模様
難航するセッティング

去る10月9日、岡山国際サーキットで開催された全日本ロードレース選手権に参戦してきました。僕にとっては8耐以来のレースになります。走行会での先導やインストラクターとして、頻繁にサーキットは走っていますが、レースとなればやはり走りのモードも違います。エントリーしたのは国内最速クラス全日本 JSB1000 ですから、ハンパなことはできません。

実は、岡山国際サーキットを走るのは今回が初めてでした。知らないコースを走るのは、勉強にもなるし楽しいことなのですが、レースとなるとそうとばかりは言っていられません。良い成績を残すために、少しでも早くコースを攻略する必要があります。そのため、事前のテストにはしっかりと時間を取りました。

ですが、ここで天候に祟られました。事前テストは3日間を予定していたのですが、初日と2日目は雨が降ったり止んだりで、コースはずっとハーフウェットのまま。3日目にはマシンにちょっとしたトラブルが出て、まともに走れたものではありませんでした。なので、練習走行はしたものの、やっとコースの構成を覚えたくらいで、攻め方を考えるところまでは辿り着きませんでした。ましてや、マシンのセッティングなど手をつけられたものではありません。

初めて走った岡山国際サーキットですが、なかなか手強いコースです。ここは勢いだけで走ってもタイムが出ません。コーナーとコーナーを如何に上手に繋いで走るかを考えなければいけないタイプのサーキットだと感じました。こういうサーキットは、なるべくじっくりと走り込んで攻略法を練りたいところです。

レースウィークに入ってからも、なかなかタイムが上がりません。不慣れなコースであることもありましたが、マシンのセッティングが進まなかったのです。8耐の時にリアを随分と上げていたのですが、それがどうにもマッチしません。なのでリアの車高を2mmほど下げました。事前テストでフロントを3mm上げていましたし、8耐からすると相対的にリアが下がったセッティングになりました。これが良い方向に働きタイムも上がってきました。決勝前には、なんとか自分のマシンらしい動きを取り戻したのですが、それも良いセッティングが出たわけではありません。ここがマシンの基準点というレベルで、本来ならここからコースに合わせたセットアップを進めるべきなのです。

予選結果は芳しいものではなく、26位という後方のグリッドになってしまいました。決勝の周回数は20周だけですから、これはスタートに賭けるしかありません。ならばと気合いを入れた挑んだスタートだったのですが、クラッチにジャダーが出て更に順位を落としてしまいました。なにしろ僕の S1000RR のクラッチは、8耐を完走した後に大きなメンテナンスは行っていません。これではジャダーが出ても文句はいえませんね。

その後はひたすら耐えるレースでした。スタートで先行された数台のマシンより、自分の方がラップタイムが良かったのですが、慣れないコースでパッシングポイントを掴みきれていないため、なかなか前に出られません。レース後半になり、タイヤがタレてペースが落ちてきたところを狙って抜き返し、22位でフィニッシュしました。予選から順位を上げはしたものの、当然納得のいくレースではありませんでした。

このままでは終われません。次のレースは10月30日の全日本鈴鹿サーキット大会、今年の全日本ロードレースの最終戦になります。このレースは昨年も S1000RR で出場していて、ベストリザルトである11位に入っています。鈴鹿は得意なサーキットですし、今年のレースの総決算として悔いの残らないレースをしたいと思います。みなさんも是非、鈴鹿サーキットまで足を運んで、生のレースを楽しんでください。そして、サーキットにお越しの際には、S1000RR と高田速人への声援をお願いします!

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【8810R with MCR】 は少数精鋭。レースメカニックとしても、かなりのスキルを持つ高田さん自らが愛機のメンテナンスを行う。と、言えば聞こえはいいが、実際のところは人手不足。本来なら、ライダーである高田さんは、走る以外は身体を休めたいところ。とはいえ資金に余裕のないプライベートチームでは珍しくない光景でもある。
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車体のセッティングが決まらない状態で、初めて走るサーキット。さすがに高田さんをもってしても好成績を残すのは難しく、順位的には見るべきものがない結果に終わってしまった。高田さんは10月29日、30日に開催される、最終戦の鈴鹿サーキット大会にも参戦する予定。走り慣れた鈴鹿では、好成績を期待したいところだ。
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ピットウォークで観客にアピールするのも、プロのレーシングライダーの仕事。レースウィーク中は、難しい表情を浮かべていることの多い高田さんも、この時ばかりはにこやかにファンと接している。
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よほどの有力チームでもなければ、パドック内にパーソナルスペースなど無い。プライベーターである 【8810R with MCR】 の場合、ライダーの控え室はトランスポーターであるトラックの荷室だ。
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安全確保のため、サーキットは完全な一方通行。スターティンググリッドはピットレーンのすぐそばにあるが、グリッドにつくにはピットロードを出てそのままサーキットを一周する必要がある。
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グリッドにつき、レースのスタートを待つ高田さん。予選順位が良くなかったためスタートダッシュを狙っていたのだが、クラッチにジャダーが発生し更に順位を落としてしまった。
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セッティングが詰め切れなかった状態で、慣れないサーキットを懸命に走行する高田さん。健闘したものの、スタートミスで後退してしまった分を取り戻すに終わった。
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レース後、昨年の鈴鹿8耐でチームを組んだ戸田 隆選手と談笑。高田さんと戸田選手はプライベートでも付き合いのある間柄。戸田選手は S1000RR を駆り、全日本ロードレース選手権にレギュラー参戦中。
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戸田選手のレース結果は予選15位、決勝14位というもの。実は戸田選手もスタートミスし、順位を23位まで落としたのだが、9台を抜き去る猛烈な走りでリカバーしてのリザルトだ。
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【8810R with MCR】 のチーム員で、今年の8耐チームで第3ライダーとして参加した片平亮輔選手も参戦。片平選手は予選中にマシントラブルで大転倒。マシンのダメージも大きかったのだが、クルーの必死の修復作業により決勝レースに間に合わせた。
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前日に大転倒していても、ケロリとした顔で決勝レースを迎えた片平選手。さすが若いライダーはフィジカルとメンタルの勢いが違う。片平選手は17位でフィニッシュした。
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今回の岡山国際サーキット大会では計6レースが開催、エントラント数は200を超えた。全てのレースで予選と決勝が行われ、フリー走行まで含めれば使用されるタイヤ本数は莫大な数になる。高田さんが使用しているダンロップタイヤも、大量のタイヤを持ち込んでいた。
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国内最高峰のレースだから、関わる人数も多い。レースウィーク中は、広いパドックがトランスポーターとチームのテントで埋まる。
国際ライダー MFJ公認インストラクター
高田 速人
バイクのタイヤとメンテナンスの専門店「8810R」代表。1976年生まれ、東京都出身。中学2年でミニバイクレースを始め、高校卒業後はロードレースにステップアップ。1996年に国際ライダーへと昇格、全日本選手権や鈴鹿8時間耐久レースなど、豊富なレース経験を持つ。2010年は 【Tras & G-TRIBE + 8810R】 チームによる、S1000RR鈴鹿8耐への挑戦にライダーとして参加。2011年は S1000RR を駆り 、【Team Tras】 の第1ライダーとして鈴鹿8耐に参戦。15位獲得に貢献した。
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