VIRGIN BMW | BMWバイク比較インプレッション「F800S vs F800ST」 特集記事&最新情報

BMWバイク比較インプレッション「F800S vs F800ST」

  • 掲載日/2006年12月13日【特集記事&最新情報】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  コメンテーター/青木 タカオ、青木 武史
BMWバイク比較インプレッション「F800S vs F800ST」

新設計のパラレルツインを搭載した
一卵性双生児、F800SとF800ST

BMWから、まったく新しい798ccのパラレルツインエンジンが登場した。これを搭載したのが「F800S」と「F800ST」だ。新設計の水冷並列2気筒エンジンは、バランサーコンロッドやセミドライサンプ、湿式多板クラッチ、水冷式オイルクーラーなどを採用。S、STともに最高出力85ps/8500rpm、8.9kg-m/5800rpmを発揮する。両車ともフレームはアルミツインスパーで、フロントフォークにはテレレバーやデュオレバーではなく、一般的なφ43mm正立式テレスコピックフロントフォークが採用される。フロントブレーキはφ320mmディスクローター&ブレンボの対向4ポットキャリパーの組み合わせ。リヤサスペンションはリンクレスモノショックで、プリロードと伸び側減衰力調整が可能。アルミダイキャスト製のスイングアームは車体右側で片持ち式、駆動方式はメンテナンスフリーのベルトドライブを採用している。

さて、今回は基本構成をともにする一卵性双生児、F800SとSTの2台から好みの1台を選び抜くわけだが、それぞれの違いを先ずは明確にしておこう。F800Sはセパレートタイプのハンドルで、STはバータイプのハンドルバーを装着。トップブリッジも異なり、ハンドルの高さも幅もそれぞれ違っている。Sのスクリーンはロータイプで、STはハイスクリーンを採用。最大の特徴はサイドカウルの形状・長さで、Sはミニで、STはロングとなっている。価格設定は、ABSブレーキシステムとグリップヒーターを工場装着した「セット・オプション装着モデル」で、F800STが121万5714円(消費税抜き車両本体価格)、F800Sが113万5238円(消費税抜き車両本体価格)と非常にリーズナブル。さらにシンプルなベーシックラインなら、F800STは104万5714円(消費税抜き車両本体価格)、F800Sなら99万5238円(消費税抜き車両本体価格)と100万円を切ってしまう。

今回も試乗し、自らのお気に入りの1台を選び出すのはBMWビギナーの青木武史さん。それをサポートするのは、BMW専門誌をはじめ二輪誌各誌で活躍するフリーライター青木タカオの青木コンビだ。最新のパラレルツイン対決、さぁさぁ、青木武史さんはどちらがお好みかな!

BMWの2気筒は水平対向、いわゆる「ボクサーツイン」ってイメージする昔からのファンには、今回新しく登場したパラレルツインって「えっ、並列2気筒!」って意外に思うのかもしれません。けど、ボクみたいな最近初めてBMWに乗った層からすると、「また新しいモデルが出た!」って、嬉しく思いますね。最近のBMWって、次々に魅力的なモデルがリリースされ続けて、メーカーに対して積極的なイメージを持つようになりました。K1200シリーズの時もそうでしたけど、伝統的な良い部分はしっかり引き継がれていて、新しい部分はものすごく良い。今回のF800S/STも乗る前から楽しみですよ。

実車を見ると、すごくスリムでコンパクト。「BMW=大きい」のイメージを見事に裏切ってくれました。これは日本人にはジャストサイズでしょうね。フレームやエンジン、サスペンションやブレーキなど基本構成は共通なのかな。スタイリングはカウルまわりが若干違うなぁという印象ですが、よくよく見るとハンドルや、スクリーンの高さが違うことに気づく。ここらへんがキャラクターにどう影響してくるか楽しみです。

タンクはずいぶん大きいですけど、これはダミータンクってことですね。給油口がタンデムシートの右横にありますから、シート下にガソリンタンクが収められているというわけでしょう。片持ち式のスイングアームはスポーティでカッコイイ。ベルトドライブは耐久性も良いそう。それから、BMW motorradのホームページで「クリス・ファイファー」という人がエクストリームショーをやってるカッコイイ映像を見ましたけど、その時のバイクがF800なんですね。BMWのイメージがガラッと変わりましたよ。(BMWビギナー青木武史さん)

現行のF650シリーズと同様に、燃料タンクはシート下に配置。タンク容量は16リットルで、残り4リットルをきるとメーター内の警告灯が点く仕組みだ。ダミータンク内にはエアクリーナーなどが収まっている。  ベルトドライブはメンテナンスフリーで耐久性も高い。初回点検の際に張りを調整すれば、交換するまでメンテナンスの必要がないほどだ。

また、BMW motorradのホームページで青木さんが見たというクリス・ファイファーは、ヨーロッパでBMW F 800を駆り、スタントライディングの競技でワールド・チャンピオン(2003)を獲得している有名なライダー。F800Sの日本発売を記念して来日。さまざまな会場で【Unlimited: Wow】なパフォーマンスを繰り広げた。

スリムな車体は体格に自信のない人や、女性でも気軽に乗れそうですね。175cmのボクが跨がった場合は、わずかにカカトが浮く程度でしっかり足が届く。車体も軽いので、まったく恐怖心を感じません。 ポジションは、ハンドルが違うだけで大きく変わりますね。セパレートハンドルのSは前傾気味になってスポーティなポジションに。バーハンドルのSTは、リラックスしたポジションで長距離ツーリング向き。ステップは共通だから、上半身の前傾姿勢が変わるだけで、ずいぶんバイクのキャラクターって変わってきちゃうんですね。驚きです。シートは長い時間乗っても疲れない快適なシートでした。ホールド感もよく、スポーティに走りたい時も良かったですよ。(BMWビギナー青木武史さん)

セパレートハンドルによりスポーツ指向なSに対し、バーハンドル仕様でロングツーリング指向になっているSTのポジション。青木さんが言うようにシートやステップは共通なので、ハンドルの違いだけでポジションは大きく変わっている。足つき性は良く、日本仕様のシート高は両車とも790mmだ。

車両重量は満タン走行可能状態でSが210kg、STが218kg。車体がスリムで取り回しも楽チンなので、数値で考えるよりも遥かに軽く感じられる。メーカー側のカテゴリー分けでは、Sが「スポーツ」。STが「スポーツツアラー」となっているが、ポジションはまさにその通りである。

エンジンは低速域からギクシャクしないでスムーズに回っていきますね。このエンジンの滑らかな吹け上がりは素晴らしい。K1200のようにドカンとパワーが出はしないけど、加速感は十分。5000rpm以下で街乗りしてても、キビキビ走れますね。車体がコンパクトだから、市街地もスイスイ意のままに走れる。ハンドルも切れるので、交差点を曲がる時やUターンも神経を使わずにガンガンいけました。

フロントサスペンションは、BMWではお馴染みのデュオレバーやテレレバーではないのですね。BMWのテレスコピックフォークって、どんなだろうって思いましたが、一般的なテレスコピックフォークよりも安定している気がしました。ガツンとフロントブレーキをかけた時やコーナーに進入する時に気がついたんですが、嫌な挙動を感じない。ガソリンタンクの位置や片持ちスイングアームなどのおかげだったりするんでしょうね。(BMWビギナー青木武史さん)

青木さんが言うようにF800S/STは、車体が軽いにも関わらず明確な接地感があり、自由自在に操れる。ハンドリングは非常に軽快で、切れ込んだりフラフラしないので、ビッグバイクビギナーでも安心して扱えるだろう。このモデルは、既存のBMWユーザー以外を獲得しようという狙いが感じられる。フロントサスにテレスコピックフォークを採用し、デュオレバーやテレレバーを導入しなかったのは、たしかにコストの兼ね合いもあるだろうが、BMW以外のユーザーが取っ付きやすいということも考慮されてのことだろう。普段、テレスコピックフォークの車両に乗っている青木さんには、F800S/STのフロントフォークは路面状況のインフォメーションが明確で、扱いやすかったようだ。

ものすごい瞬発力というのはないけれど、ハンドリングが軽くて素直に曲がりますね。スパッと寝かし込んでいってもゼンゼン恐怖心がなく、バンク角も深いのでどんどん寝かせられる。特にセパレートハンドルのSはポジションも戦闘的で、ワインディングが面白い。バーハンドルのSTは、少しノンビリした気分になりますね。とは言うものの、STだって気持ち良く峠道を攻められました。

扱いやすいエンジン特性で、どこからでも加減速できるから、気楽にコーナーを回っていける。なんたってエンジンが元気ですね。Sは「徹底的に攻めてやろう」って気になるし、STは「峠道はノンビリ行けばいいや」という走り方もできるし、「徹底的に攻めてやろう」っていう気持ち、両方に応えてくれる。試乗したモデルには、ABSが付いていたからなおさら安心。ブレーキのタッチや制動力も申し分なかった。ベルトドライブは初体験だったけど、何も違和感ない。言われないと気がつかないでしょうね。(BMWビギナー青木武史さん)

K1200SやR1200Sに通じる元気さを持ったF800Sは、ワインディングでその魅力をさらに発揮する。セパレートハンドルが作り出すスポーティなポジションで、峠道を大人しく走るのは相当な自制心が必要。軽快なハンドリングと扱いやすいエンジンフィールで、みるみるうちにペースが上がってしまうのだ。もちろん、それはSTでも同じ。ただし、目を吊り上げてコーナーを限界まで攻め込もうという気にはならない。高いアベレージでコーナーをクリアしつつも、ゆったり感を持ってワインディングを楽しむという方向性になる。そういう点では、R1200STにも通じるキャラクターだと言えよう。

扱いやすさが強調されるが、この2台をエントリーモデルとのみ評価するのはナンセンスだ。伝統的なパラレルツインは、エンジン特性、軽さ、スリムなルックス、どれをとっても玄人好みでもある。大型化していくBMWラインナップの中で、1200クラスからの乗り換え組もたくさんいるはずだ。

BMWの素晴らしさを最も感じるのは、いつも高速道路だけど、1200クラスに比べて排気量が400ccも少ないF800S/STはどうなのか気になるところでした。  パワーはK1200に比べれば、ドカンとパワーが出てくるような盛り上がりがないけれど、フラットに回っていく扱いやすさが好印象。回していけば、どいこまでも回っていくような伸びを感じましたね。引っ張れば9000rpmぐらいまで回っていきます。1200クラスにも常識的なスピードレンジなら、余裕でついていけるでしょう。

防風効果はSTの方がやっぱり高い。スクリーンの高さが違うだけじゃなく、サイドカウルが大きいのも影響しているみたい。  両車とも高速道路のハイスピードカーブで、予想以上の安定性を保ってましたね。フレームにエンジンがぶら下がった構造だから、見た目に剛性感の不安を抱いたものの、ドッシリと路面に貼り付き、安心してスピードを上げていける。小さくてコンパクトなバイクに乗っているイメージは感じませんね。(BMWビギナー青木武史さん)

F800S/STのエンジンは、扱いやすさだけがウリと思ったら大間違い。7000rpmくらいからパワーがガッチリ出てきて、8000rpmでピークを迎える。それでも滑らかなに吹け上がるエンジンは、9000rpmあたりまでも引っ張っていけるのだ。その気になれば1200クラスにもついていけるだろう。

STの防風効果は申し分なく、上級機種のスポーツツアラーの乗り味を彷彿させる。さすがはBMWと唸ってしまうほどの高速安定性を持っている。Sは上体を伏せての走行となるので、長距離ではSTよりも疲労を感じるはず。それでも、国産のスーパースポーツバイクに比べれば、快適な部類。Sでもツーリングを楽しめるのは言うまでもない。

基本構成を共通としながらも、サイドカウルやスクリーン形状、ハンドル、リヤキャリアなどの違いで巧みにキャラクターの違う2台に仕上げられているのは見事です。乗っているとエンジンの特性とかサスのセッティングが違うのでは、と錯覚してしまうほどでした。

さて、どちら1台を選ぶとしたらですが、ボクならSTです。ワインディングではSのスポーティさが際立ったけど、トータル的に見ればスポーツツアラーであるSTの方がボク好み。ツーリングはもちろんのこと、仕事やタンデムデート、チョイ乗りなど普段の足としてもバイクを使うボクとしては、オールラウンダーなSTに軍配を上げます。

スタイル的にもサイドカウルが長いSTの方が好み。逆にSは、いままでのツアラー的なキャラクターだったBMWのイメージを払拭させてくれるスタイルだったり乗り味だった。若い人にもオススメかもしれませんね。こういうモデルが出てくると、いままでBMWには興味のなかった人たちも、どんどんBMWが欲しくなるんじゃないかな。この2台は、日本でかなり売れそうですね!(BMWビギナー青木武史さん)

コメンテーター

K1200S、K1200R、R1200GSの3台に試乗していただいた皆さんをご紹介いたしましょう。 みなさん、国産バイクのオーナーの方々で、BMWに乗るのは今回が初めて。

プロフィール
青木 タカオ
二輪誌を中心に執筆活動を続けるフリーライター。16歳で中型二輪免許を取得して以来、バイク歴は17年と長い。’89年式BMW R80を所有しているが、最近は最新モデルにも興味津々。年齢33歳、身長174cm、体重67kg。
プロフィール

青木 武史

アイドルのグラビア撮影など、売れ筋一般誌でも活躍中の新進気鋭の若手実力派フォトグラファー。10代の頃はレーサーレプリカでヒザを擦って走っていた走り屋さん。現在の愛車はFJR1300。年齢27歳、身長175cm、体重75kg。

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