VIRGIN BMW | 軽量・高強度のヒミツはフラクタル構造にアリ。ダイネーゼ・プロアーマー 特集記事&最新情報

取材協力/Dainese Japan  Text / Ryo Tsuchiyama
この記事は、BMW Motorrad専門誌『BMW BIKES』Vol.74に掲載した内容を再編集したものです
掲載日/2016年4月27日


自然界にヒントを得た
新構造のプロテクター

ライダーのためのセーフティとは何か。創業以来、この普遍的なテーマを地道に研究し続けているダイネーゼ。人間工学に基づいた緻密な設計で彼らが生み出されるギアの数々は、常にモーターサイクルセーフティの分野でのパイオニアとして業界をリードしてきた。そんなダイネーゼが先だって新たに発表したのが、独特の幾何学模様を持つプロテクター、プロ・アーマーだ。

一見するとクモの巣のようにも見える網目。中心部では三角形だが、中心から離れるにしたがって平行四辺形や六角形へと変化していく。規則性と不規則性をあわせ持つようにも見える不思議な構造体だが、この形状は自然界でよく見られるフラクタル構造をヒントにしたものだ。

フラクタルとは、幾何学の概念のひとつで「ある形の一部分を拡大してみても、それは全体像の相似になる」という『自己相似性』を意味する言葉。こうした概念は建築や測量など産業界をはじめ、デジタル技術やアートにいたるまで、さまざまな分野で応用されている。

フラクタル構造の代表例

右は自然界にあふれるフラクタル構造の例。(写真左)原子の周りを回る電子のモデル図は、太陽系の惑星が太陽の周りを周回する様子と同じ。極大・極小の世界での近似といえる。(写真右)シダ類の葉は、小さな葉がいくつも集まって小さな葉の形に似た大きな葉を作る。自己相似形の典型例だ。

ダイネーゼが自然界をモチーフにしてプロテクターを設計するのは何もこれが初めてではない。これまでにも甲殻類や亀、アルマジロといった自然界の生物たちの持つ身体的特徴をプロテクターへと応用し、進化させてきた。何千、何万年もの時間をかけて進化を遂げてきた自然界の生き物たちが持つ構造は、実に理にかなっていて無駄がない。ダイネーゼはいち早くそのことに気づき、ライダーの安全を高める技術に応用してきた歴史があるのだ。

動物の身体的特徴をモチーフにした製品例

左はダイネーゼ社のバックプロテクター、WAVE D1 AIR。本体を複数に分割することで、背中の曲げ伸ばしにプロテクターが追従する。攻撃されると身体を丸くして身を守るアルマジロの皮膚も、さまざまな動きに追従する独特の甲殻となっており、WAVE D1 AIRはその構造をヒントにしている。右はMANISという動物の甲殻をモチーフにしたバックプロテクターMANIS D1。

このプロ・アーマーは、これまでのハードタイプのプロテクターと同様の衝撃吸収力を持ちながらも、肉抜きされたような構造によって重量は超軽量で、通気性も申し分ない。さらに、中心部から周辺部にかけて三角形の構造体が徐々に密度を減らしていくような構造によって、プロテクター本体はとてもフレキシブル。つまり、装着部によくフィットしてライディング時の激しい身体の動きも阻害しない。今回ラインナップされたのは、特に動きの大きな「肩」と「肘・膝」の2種類。いずれもプロテクターが取り外し可能な従来製品に対応したプロテクター形状となっているので交換も簡単だ。

DAINESE Pro Armor

フラクタル構造を採用したプロ・アーマーは、肩用と肘・膝用の2種類をラインナップ。価格はそれぞれ5,940円(税込)。写真右は肘・膝兼用。本ページトップの製品が肩用となる。

フィット感の向上、蒸れ防止、ウエアの軽量化など、さまざまなニーズに対応できるプロ・アーマー。ぜひ店頭で手にとり、その新しさを確かめてみてほしい。

Dainese Pro-Armor Promotion Movie

自然界にインスパイアされたダイネーゼのプロ・アーマーシリーズ。そのコンセプトや製品特徴がわかるムービーがこちら。プロ・アーマーがどのように身体にフィットするかも確認できる。