VIRGIN BMW | F800GS ADVENTURE(2017-) 試乗インプレ

F800GS ADVENTURE(2017-)の画像
BMW Motorrad F800GS ADVENTURE(2017-)

F800GS ADVENTURE(2017-)

  • 掲載日/2017年03月13日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  文/山下 剛  写真/長谷川 徹

ミドルクラスアドベンチャーバイクの
魅力をますます深めた熟成の一台

2013年に登場したF800GSアドベンチャーは、798cc水冷並列2気筒エンジンを搭載するFシリーズのなかでもっとも新しいモデルだ。その名が示すとおり、F800GSをベース車両としたバリエーションモデルで、長距離航続を可能とする大型燃料タンク、防風性を高めるフェアリングや大型スクリーンなどを装備していることが特徴だ。

2017年モデルでは、主要諸元に大きな変更点はないものの、排気ガス規制値をユーロ4対応とするとともに、スロットル制御にライド・バイ・ワイヤが採用されたことで、ライディング・モード・プロを装備。走行性能と快適性がさらに高められ、アドベンチャーツアラーとしての性能と風格がますます深まっている。

また、公式なアナウンスはないもののサスペンションセッティングが見直されており、とくにオフロードにおける走行性能が飛躍的に高められた。これによってF800GSアドベンチャーは、ミドルクラスにおける存在感を増し、ますます魅力的なモデルになったといえる。

F800GS ADVENTUREの特徴

豊富な装備群で週末の冒険を成功に導く
至れり尽くせりのミドルクラスツアラー

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まずは、ベースモデルとなるF800GSとF800GSアドベンチャーの違いを見ていこう。

エンジンについては構成パーツやECU、吸排気系のセッティングに至るまで変更はなく、もちろん最高出力や最大トルクにも違いはない。ステアリングヘッド角やトレール、サスペンションストローク量、そして6速ミッションの変速比やフロント21インチ、リア17インチとなるタイヤサイズも同一だ。

もっとも大きな違いは、燃料タンクの容量だ。F800GSの16Lに対して8L増量となる24Lとなっており、これによって車両後部の幅が広がり、シート高は10mm高い890mmとなっている。また、燃料タンクが大型化したことに合わせてフロントのフェアリングが大きくなっており、ライダーの脚部に当たる走行風を大幅に軽減する。

これによって無給油連続走行距離が大幅に高められており、カタログ値である23.2km/Lの燃費を基準とする走行可能距離は558km。東京-大阪間を給油なしで走れる計算だ。ちなみに、車重はF800GSの217kgから15kgアップとなる232kgとなっている。

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そんなF800GSアドベンチャーは、2017年モデルではライド・バイ・ワイヤの採用によって「ライディング・モード・プロ」を標準装備とした。これはボタンを押すだけでエンジン出力特性、ABSとASCの効き具合をそれぞれ最適な設定へと変更できるもので、「ロード」「レイン」「エンデューロ」に加えて「エンデューロプロ」の4モードから好みの設定を選べる。

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また、ダンピング性能をボタンひとつで変更できる電子調節式サスペンションESAも標準装備となっており、タンデム走行や積荷の有無や重量に合わせた快適な乗り心地をもたらしてくれる。

センタースタンド、エンジンガードの他、燃料タンクガードを兼ねるパニアケースホルダーも標準装備されており、タフでハードな冒険ツーリングを楽しめるツーリングバイクとなっている。

F800GS ADVENTUREの試乗インプレッション

よりアグレッシブに冒険を楽しみたい
ツーリングライダーのための究極のバイク

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F800GSアドベンチャーのベース車両となるF800GSは、798cc水冷並列2気筒エンジンを搭載し、フロント21インチ/リア17インチのワイヤースポークホイールと、フロント230mm/リア215mmの長いストロークを持つサスペンションによって高いオフロード走破性を持つデュアルパーパスバイクだ。800ccという排気量ゆえにミドルクラスといわれるが、本格的なオフロード走行を可能としたカテゴリーでは十分にビッグサイズだ。

とくにF800GSアドベンチャーは大容量24Lの燃料タンクと、防風性を高めたフェアリングによって車格は大きくなっており、またがったときにダミータンク周辺から感じる威圧感もかなりのものがある。ローシートが標準装備となった日本仕様のシート高は860mmで、身長175cmの筆者の場合は両足のカカトが軽く浮く程度の足つきだ。誰もが簡単に操れる車格とはいいがたく、オフロードを走るなら相応の経験も必要といえるだろう。

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ローシートが装着されていると、相対的にハンドルグリップの位置が高くなり、ステップとシート間が短くなるために膝の曲がりがきつくなる。もちろんこのバイクでも同じ傾向があるが、違和感が残るものではない。とはいえ、身長が170cm以上あるのならハイシートを試してみる価値はありそうだ。

アイドリングからスロットルをわずかに開けたところで半クラッチをあてて走り出す。すぐに回転を上げずにじわりとスロットルをひねっていくと、極低回転域での扱いやすさが上がっていることに気づく。ライド・バイ・ワイヤを採用したことに加えてECUのセッティングも変更されているのかもしれない。さらにそこから高回転域までスロットルを開けていくと、トルクはなだらかに強くなっていく。滑らかさがさらに熟成された印象だ。

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ESAをコンフォートにセットした状態では、サスペンションの反応は鷹揚で、ペースを上げると長いストロークも相まって乗り心地はかなり柔らかい。足つき性を優先したり、ダートをスローペースで走ったり、あるいは高速道路を制限速度あたりで延々と走行するときは有効になるだろう。日常的に走らせるならノーマル、走行ペースや積載状態(タンデム含む)によってスポーツと、積極的に切り替えるとESAの恩恵を最大限に生かせる。

ライディング・モード・プロは、エンジン出力特性とABS、ASCの介入度を「ロード」「レイン」「エンデューロ」「エンデューロ・プロ」の4種類から選択できる。標準設定となるのはロードで、街乗りや高速道路、ワインディングなど、あらゆる舗装路に幅広く対応するセッティングで、F800GSアドベンチャー本来の性能を発揮できる。

しかしF800GSアドベンチャーの本領発揮となるのは2種のオフロード用モードだ。「エンデューロ」はスロットルレスポンスが穏やかになり、ABSとASCはオンロードタイヤでフラットダートを走るのに適したセッティングとなる。「エンデューロ・プロ」はさらにハードなオフロードに対応したモードで、ブロックタイヤで荒れた路面を走破するためのセッティングとなっている。さらにこのモードではリアブレーキのABSがキャンセルされるため、ブレーキターンも容易となる。

まずエンデューロモードでダートを走ってみた。スロットルレスンポンスはやや緩やかになったくらいの変化だが、スロットルを荒く操作すると、リアタイヤが空転した感触が一瞬伝わった後、すぐさまグリップを回復して路面にトルクを伝え出す。そのタイミングに唐突さや遅れはなく、スロットル操作に使う注意力を他に向けるぶん、路面の変化をいち早く察知できる。ライディングに余裕を生むこの安心感は、ハイペースでもスローペースでも変わらない。乗り手の技量にかかわらず、この恩恵を生かせるはずだ。

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また、これまでのF800GSアドベンチャーは大容量タンクによる重量増が挙動に表れやすく、とくに純正アルミケースをフル装備した状態ではリア荷重が強すぎ、フロントタイヤの接地感が足りない場面が多かった。しかし2017年モデルでは燃料満タン、かつフルパニア状態でもフロントの接地感がしっかりとあり、水たまりが連続するような荒れたシチュエーションでもスムーズに通過できるのだ。これはESAのモードがコンフォートでもスポーツでも基本的に同様で、ギャップで軽くジャンプした後でも車体の動きが乱れない。公式なアナウンスはないのだが、前後サスペンションのセッティングが変更されたか、あるいはフレーム剛性が高められたか、真相はわからないものの、とにかくダート走行における安定性は大きく向上している。車格が大きく、車重もかさむモデルだけに、この進化によるメリットは大きい。

排気量800~1,000ccクラスのデュアルパーパスモデルの中で、大容量タンクを装備した堂々たるアドベンチャーツアラーは、F800GSアドベンチャーが唯一だ。それだけに存在感は強烈だが、2017年モデルで採用された数々の装備はその地位を盤石にしている。21インチホイールによるオフロード走破性の高さは、R1200GSアドベンチャーよりも優れた点でもある。よりアグレッシブな冒険を求めるエンデューロツアラーを満足させるだけの動力性能と快適性、そして安全性を兼ね備えた究極の一台といえる。

F800GS ADVENTUREの詳細写真

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85psを発生する798cc水冷並列2気筒エンジン。ユーロ4対応とともにスロットル制御はライド・バイ・ワイヤが採用され、4種から選べるライディング・モード・プロも備わった。振動が少なく、極低回転域から高回転域まで扱いやすいトルク特性も特徴だ。
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排出ガス規制値はユーロ4に対応し、さらに環境性能を向上。それとともにサイレンサーのデザインも見直され、よりシャープで精悍な印象の外観となった。ステンレスの質感も良好だ。パニアケースホルダーは標準装備。
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ワイヤースポークホイールは2.15×21″で、タイヤサイズは90/90-21。フロントフォークはφ43mm倒立テレスコピックで、ストローク量は230mm。もちろんブレーキはABSを装備。2017年モデルはフォーク下部に反射板が設けられた。
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リアサスペンションはリンク式モノショックで、ストローク量は215mm。スイッチボタンを押すだけでダンピング性能を変更可能な電子調節式。スプリングプリロードは車体右側に設けられたダイヤルにて変更可能だ。
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リアホイールサイズは4.25×17″で、タイヤサイズは150/70-17。ワイヤースポークだが、クロススポークではないためチューブは必須。クロススポーク化や18インチ化のカスタムもおもしろそうだ。
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日本仕様にはローシートが装着され、シート高は860mm。オプションのハイシート(4万5252円)に換装すると、設計意図に沿った乗車姿勢をとれる他、シッティングからスタンディングへの移行がやりやすくなる。
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シート下に設置される樹脂製燃料タンクは24Lの大容量。満タン状態だとリア荷重になるため、林道走行直前の給油には注意したほうが無難だ。パニアケースを装着したままでももちろん給油可能。
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大型スクリーンが高速巡航時の快適性を高め、疲労を軽減。歪みは少なく、スクリーン越しの視界も良好。走行風や木の枝、飛び石などから手指を守るハンドガードも標準装備される。
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明るさも照射範囲も十分で、ナイトランの不安もない異型2灯式ヘッドライト。ロービーム時は左のみ点灯。ハイビーム時は左右同時点灯。フェンダーにデザインされたキドニーグリルはBMWならではの意匠だ。
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大型化された燃料タンクと合わせるように、ラジエターシュラウドも大型化。これによって防風性も高められており、ヒザ周辺への走行風を効果的に軽減。冬の冷たい風や雨への耐性が高く、苛酷な環境でも走行を続けることができる。
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防風性の高いシュラウドには今年からアルミ風に仕上げられた樹脂製バンパーが装着された。
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テールランプとウィンカーはコンパクトで耐久性が高く、十分な明るさを持つLEDを採用。
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ブレーキペダルはオフロードブーツ着用時にスタンディングとシッティングに対応するよう、踏み代の高さを2段階に調節できる機構が備わる。写真のように銀色部分を跳ね上げることでスタンディングに対応する。
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ハンドルスイッチはFシリーズで共通の仕様となっている。左側はパッシング、ハザード、オンボードコンピューターの表示切替、ABS、ESA、ウィンカー、ホーンのスイッチが並ぶ。
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右側のハンドルスイッチにはグリップヒーター、ライディングモード切替、シーソー式のセルスターターとキルスイッチが備わる。
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シート下にはECUなどの補機類が並ぶが、ETC車載器を搭載する余裕もある。大きく左右に張り出した燃料タンクがこのバイクのアイデンティティだ。
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メーターは指針式のスピードメーター、タコメーターの他に走行距離や時計、ギアポジション、残燃料、ライディングモードの表示など、様々なインフォメーションを表示する液晶パネルで構成される。
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オプションのアルミ製パニアケース(16万6060円)とトップケース(9万9381円)の施錠部分には、鍵穴の泥づまりを防止するキャップが付属する。ケースは堅牢でとくに左右パニアケースは転倒時に車体とライダーを保護する。

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