VIRGIN BMW | BMW Motorrad R1250RT /ボクサーエンジンを搭載したスポーツツアラー 試乗インプレ

BMW Motorrad R1250RT /ボクサーエンジンを搭載したスポーツツアラー

  • 掲載日/2019年04月19日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad  取材・写真・文/小松 男

BMW R1250RT(2019-) 試乗インプレッション

どのような条件下でもスポーティ
安全性という鎧をまとったスーパーバイクだ

BMW Motorrad R1250RT /ボクサーエンジンを搭載したスポーツツアラーの画像

スタイリングこそ従来モデルと変わらない新型R1250RT。大きな体躯や大容量のパニアケースを有するが故に、高速巡行ツアラーとして見られがちだが、これはれっきとしたスポーツバイクである。車両に跨るとライダーを包み込むようなコックピットを感じさせ、ハンドルへと手を伸ばすと自然なライディングポジションとなるように設定されている。上半身だけで言えば実はGSと大差なく、車体をコントロールする自由度が高いという印象。

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シート高はスタンダード状態で805/825mm、メーカーオプションでローシート、ハイシートの設定が設けられている。ステップ位置と着座位置の関係で、下半身は膝の曲がりが結構強い。これは歴代RTで言えることであり、このライディングポジションもスポーティさを助長するポイントとなっている。

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パニアケースに荷物を入れ、シート下にETCを挿し込み、エンジンを始動する。エンジン音は強め、しかし不快なものではなくむしろ刻まれるビートは心地よく感じる。BMWシフトカムを採用するにあたりカムシャフトの駆動をローラーチェーンからサイレントチェーンへと変更しているほか、エキゾーストシステムも一新されている。そのためかメカノイズはかなり抑えられている印象だ。

まずは込み入った都心の道を走り回る。大柄な車体ではあるが、ボクサーツイン特有の低重心が効いており小回りもしやすい。実はこれまでのRTでは極低回転域でのトルクが若干細く感じることがあり、乗り出した直後はゼロ発進時などに気を使っていたのだが、R1250RTはその部分が払拭されており、それだけでも排気量アップの恩恵を感じるものだ。

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高速に乗りクルーズを行ってみる。スロットルを大胆に開けると、後ろから蹴られるような加速を得られる。ハイカムに切り替わる瞬間こそわかるものではないが、確実に低回転域と高回転域でのキャラクターの違いを感じることはできるはずだ。ロード、ダイナミック、レインと3つの走行モードが用意されており、私の場合はロードモードをメインに使用していたが、時として高速やワインディングでダイナミックへと変更すると、特性の違いは明確であり、気分によってその変化を楽しめるものだ。

電動スクリーンを上げればほぼ走行風はライダーに当たらない。付属するオーディオの音も良く聞こえる。シートの出来も良く疲れるようなこともない。これならば一日に何百キロも走るようなロングツーリングでも快適にこなせるだろう。高速を降りワインディングロードへ差し掛かる。車重290kgもあるのに、その重量をまったく意識させないヒラヒラ感、これこそがRTの真骨頂だ。

新型エンジンのポテンシャルの高さはもちろんのこと、それよりも重い車体をしっかりと減速し、気持ちよくコーナリングモーメントへと導くシャシー、及び足まわりの良さが光る。ダイナミックESA、DTCによって安全かつ高次元なスポーツライディングを楽しむことができるのだ。

ヒトは上がりバイクと言うけれど、
これを楽しむなら若いうちが良いと思う

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今回のニューエンジンによってこれまで気にかかっていた低回転域でのトルクが太らされ扱いやすくなったうえに、さらなるパワーアップにより振り回して走らせた際のダイナミックな感触も引き上げられた。それだけでなく従来モデルに輪をかけたような安定感は、ハイペースになっていることを忘れさせ、自制心を持っていないと免許が無くなると思わせられる場面もあった。それほど卓越したスポーツツアラーとして成熟しているのだ。

所有こそしたことはないが、個人的にはRTモデルが好きだ。デーンとした見た目からして“とっつあんバイク”と思われがちなのはわかる。だが、実際に乗ってみると感じられると思うが、極上のスポーツバイクであるし、なんと言ってもシート/グリップヒーターやオーディオ、包み込まれるようなフェアリングなどでこの上なく快適に走ることができるのもいい。

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クルマ的な使い方ができるのみならず、機動力も高いのでどこに行くのにも使いたくなる。それがRTなのだ。だから私の場合だったら週末のツーリングスペシャルとして用意するのではなく、毎日乗る相棒として付き合うだろう。今回テストしてR1250RTをとても欲しくなったことは確かだ。ただし一点だけ300万円近いプライスというのは敷居が高い。

R1250RTの詳細写真は次ページにて
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