VIRGIN BMW | 小久保 宏登(コクボモータース 店長) インタビュー

小久保 宏登(コクボモータース 店長)

  • 掲載日/2008年02月12日【インタビュー】
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定休日には林道を走る
いつまでも一人のバイク好き

東京の西郊、八王子市で40年前から“街のバイク屋さん”として親しまれるコクボモータース。BMWディーラーとしての歴史も古く、BMWジャパン発足当時からの正規販売ディーラーであり、西東京エリアでは知らない人はいないほどのショップである。ここの店長、小久保宏登さんは、定休日である火曜日になると、愛車のF650GS Dakarを駆り、東京・埼玉県境の林道を一人で走っているという。休日は家庭の用事もあるため午前中のわずかな時間の楽しみであるが、林道ツーリングを行っている。小久保さんにとって本当に楽しいひと時だとか。休みの日はバイク以外の趣味を楽しむバイク店もあるようだが、そういう意味では小久保さんは根っからのバイク好きと言えそうだ。その小久保さんを毎週のように林道に駆り立てるのは、F650GS Dakarの扱いやすさと楽しさに他ならない。そんな小久保さんにBMWの魅力を伺ってみた。

最初は興味の対象外
しかし、その秘められたスポーツ性に衝撃を受けた

ーコクボモータースはBMWディーラーとしてはかなりの老舗ですよね。だとすると、小久保さん自身は若い頃からBMWに接してきているのでしょうか?

小久保●BMWの正規ディーラーになったのは、BMWジャパンができたのとほとんど同時ですから、もう20年以上になりますね。でもその頃の私はBMWにはまったく興味がなかったんですよ。というのも当時のBMWといえばR100RSやR80といったモデルの時代で、私にはボテッとしていてジジくさいバイクというイメージでしかなかったんです。当時はホンダのCBRをはじめ、レーサーレプリカが全盛の時代でしたから、中学や高校生の私にとってはほとんど関心がありませんでした。

ーバイクに興味がなかったわけではありませんよね?

小久保●もちろんありましたよ。高校生の時に免許を取って、最初はスクーターから始めました。ヤマハのJOGだったかな。その後、いわゆる中免を取ってホンダのVT250Fを買いました。八王子の西に大垂水(おおだるみ)という峠があって、当時は走り屋のメッカだったんですが、学校の授業が終わると、仲間と毎日のように通っていました。当時はバイクでコーナーを走るのが楽しくって、よく転んでいましたよ。

ーいわゆる“バイク小僧”ってことでしょうか?

小久保●そんなにのめり込んでいたわけではありません。当時の高校生はみんな通った道ですよ。イジる方も好きで、VT250Fは自分の好きなように改造して楽しんでいました。でも、ある日突然、学校から帰ってきたらバイクがなくなっていたんです。親父が「お前のバイク、売っちゃったから」と。さすがバイク屋です(笑)。

ー大型バイクに乗るようになったのはいつごろですか?

小久保●限定解除をしたのは19歳の時だったかな。クルマの免許を取る前に、友人から「俺も取るから、オマエも取れよ」という感じで。限定解除して最初に乗ったのはホンダのCB750F。その次にドゥカティのSS900マイクヘイルウッドレプリカに乗りました。これは乗りにくいバイクでしたね。だから、ほとんど乗らずに置きっ放しでした。

ーなかなかBMWの話が出てきません(笑)。小久保さんとBMWとの接点はいつごろなのでしょうか?

小久保●大学を卒業してから他のBMWディー ラーに就職しました。ある時、お店のツーリングがあって、私が同行することになったんです。当時は自分自身のバイクは持っていなかったので、お店のK75Sを借りて行きました。そうしたらもう衝撃的でしたね。「何だこりゃ、すごく乗りやすいバイクだな」ってね。

ーというと?

小久保●それまで乗っていたCB750Fやドゥカティと全然違って、ハンドリングが軽いし、コーナーではとてもよく寝てくれました。重心が低いのがいいんでしょう。とにかくコーナリングが楽なんです。初めて行くワインディングでも全然怖くない。BMWディーラーのツーリングですから、参加者はベテランライダーばかり。まだ大型バイク歴が浅い私が、そんな人たちを追いかけていくのにもスイスイとまったく平気なんですね。それがとにかく驚きでした。

ーそれまで“ボテッとして、ジジくさいバイク”だったBMWのスポーティさに驚いたわけですね。

小久保●さらにビックリしたのがR1100RSでした。これも店の試乗車を借りて一日ツーリングに行ったんです。そうしたらK75Sよりももっと衝撃を受けてしまって…。テレレバーやパラレバーの効果は、それまでに体験したことがないものでした。特にブレーキをかけた時の動きが、BMW以外の大型バイクと全然違うんです。普通のフロントフォークを持つバイクで柔らかいサスペンションだったりすると、下りのコーナーでつんのめったりしておっかなびっくりでしか走れませんでした。ところがR1100RSだと、そんな挙動が全くなくって、ブレーキをかけても何事もないかのようにスーッと入っていけるんです。調子に乗ってどんどんスピードが上がっていきました。

ーそれまでのバイクと違う、BMWの乗りやすさに衝撃を受けたと?

小久保●バイクでコーナリングする時って、遠心力とか重力とか様々な力がバランスしなくてはならないですよね。BMWではそういった微妙な力関係から解き放たれたように感じられて、安心して曲がることができる。例えばドゥカティだったら、コーナリング中にいろいろ考えて走らなければならない。さまざまな条件がピタッと合ってないと気持ちよく曲がれない。それがBMWだと、どんなシチューエーションでも気持ちよく曲がれる。そこがBMWの良さだと思います。

ーその衝撃を受けて、自分のBMWに乗り始めたわけですね?

小久保●いや、それでもしばらくは自分自身のバイクとしてはBMWには乗っていなかったんです(笑)。コクボモータースがハーレーも扱っている関係があって、他のBMWディーラーからコクボに移ってからも、しばらくはハーレーに乗っていました。

一時はエンジニアを目指した視点で
今でもBMWの先進技術に興味津々

ーハーレーと比較してBMWの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

小久保●ドイツとアメリカというお国柄による違いでしょうか。BMWは質実剛健でカチッとしていて、たとえ壊れても修理しながら長く乗れるバイクというイメージですね。かたやハーレーはアメリカ生まれですから、オープンで何でもOKという感じ。ただ、こればっかりは好みの問題もありますから、どちらが良いとは言えませんね。

ーでは、ライダーの小久保さんとして見ると、どちらが好みですか?

小久保●私は旅行としてのツーリング、ロングツーリングが好きなので、そういう意味では旅バイクであるBMWの方が好きですね。時間に制限がある場合に、より遠くに疲れずに行けるのもBMWでしょう。今の仕事だと本当に自分自身のための時間といえば、定休日である火曜日の午前中しかありません。午前中、せいぜい午後1時くらいまでにどこまで行って帰ってこられるか、というのは私にとっては切実な問題なのです。

ーその点でハーレーとBMWはどう違いますか?

小久保●ハーレーだったら、多分BMWの半分くらいの距離しか稼げないと思います。それがBMWだったら長野まで行って、走り回って帰ってこられる。その上帰ってきても、それほど疲れていなくて、しっかり家の用事ができる。そういう使い方ではBMWですよね。それにせっかく遠くまで行くのですから、そこのワインディングも気持ちよく走りたいですよね。コーナーをスカーッと走りたくても、ハーレーだとステップをガリガリ擦ってしまうのではないかと心配してしまう。BMWだったら転ぶ心配も少ないし、安心です。気持ち良く走って、たっぷりおなか一杯になってこられるという意味で、今の私にとってはBMWの方が合っていると思います。

ー初めてのBMWに選んだのは、どのモデルだったのでしょう。

小久保●F650GSです。スペインで開かれた新車発表会に参加して、そこで初めてオフロードバイクであるF650GSに乗ったのですが、そのインパクトは大きかったですね。ニューモデルのF650GSがとても扱いやすくて、オフロード初心者の私でも結構楽しめました。それから程なくして今乗っているF650GS Dakarを手に入れました。

ーF650GS Dakarでは林道を走っているそうですね。

小久保●お店の定休日の火曜日に、平日にしか行けないような林道に通っています。土日だったらハイカーの人に迷惑をかけてしまいますが、平日だとほとんど人気がないので安心して走ることができます。今、一番面白いのは大名栗林道です。この辺の林道にしては長い林道で、片道20km、往復すると40kmも走ることができるんです。林道に一人でフラッと走りに行ってリフレッシュするのは気持ちがいいですよ。ひとり気ままに、誰にも制限されずに。山の上に行くと。鹿に遭遇することもあります。バイクを止めると風の音しか聞こえません。林道を走るようになってからまだそんなに時間が経っていないので、今一番面白い時期ですね。

ーGSといえば今R1200GSが人気ですが、BMWの顔ともいえるフラットツインには興味はないのですか?

小久保●もちろんありますよ。フラットツインはいつか欲しいですね。ディーラーの人間が言うのもなんですが、F650GSに比べると高価でしょ(笑)。それにオフロードは初心者なので、いきなりR1200GSに乗るよりは、小さい排気量から始めていずれR1200GSをうまく乗りこなせるようになれればと思っています。それでF650GSから始めていこうかと。そういう意味でもいいバイクだと思いますよ。

ーそうすると、次のバイクとして昨秋発表されたF800GSも気になりますよね。

小久保●もちろんです。ただ今年は日本に入ってこないようですね。ステップアップするにはちょうどいいのですが…。あと気になるところでは、やはりHP2 Sportでしょうか。あの新しいDOHCのヘッドはメカニカル的にすごいと思います。DOHCにすればSOHCよりもヘッドが大きくなって当然ですよね。それが今までのSOHCとほとんど変わらない大きさで実現できている。ヘッドを開けてどうなっているのか見てみたいですね。

ー小久保さんはすっかりオフロードの人かと思ったら、ロードスポーツにも興味があるんですか?

小久保●いいバイクであればオフロードにこだわっていません。そういう意味では、BMWにはオフロードモデルもあればツーリングモデルもある。そしてHP2 Sportのようにサーキット向けのようなバイクもあって、選択肢が広いのもいいですよね。ハーレーだとそうはいきませんから。

ー昔は峠に通っていた“バイク小僧”ですから、ロードスポーツにもいまだに興味はある、ということですね。

小久保●最近はそんなことしませんから(笑)。HP2 Sportの場合はどちらかというとメカニカル的なことに興味があります。仕事でメカニック作業はやっていませんが、もともとエンジニア的なことが好きなので、HP2 Sportも雑誌の記事などをじっくり眺めたりしています。

ー小久保さんは機械系の学校を出ていらっしゃると聞きましたが。

小久保●そうですね。本当はエンジニアになりたかったんです。だから大学は機械工学系の大学に進んで、就職活動はメーカーの企業説明会に行ってました。自動車メーカーに入ろうと思ったこともあるんですよ。

ーそれでBMWの技術に興味津々なのですね。

小久保●BMWの技術には常に先進性があります。サスペンションやエンジンにも面白い機構を使っていたり、いち早くABSを採用したり。すべてにおいてどのメーカーよりも一歩先に行っています。量産車のインジェクション化も早かったし、キャタライザーもBMWが最初でしょ。環境、安全面に関しては先駆けですから、そのうちハイブリッド化するのもBMWが一番じゃないでしょうか。

ー最後に改めてBMWの魅力を教えてください。

小久保●とにかく安全に楽しく走れること。月並みな言葉ですが、やはりそれが一番だと思います。満足いくまで走って、帰ってきても笑顔でいられる。そしてその後に、家庭の用事ができればすべてハッピーだと思います。クタクタに疲れて帰ってきたのでは、それが出来ませんからね。そういう意味で、BMWは誰でも楽しく安全に乗れるバイクだと思います。今、国産バイクに乗っている人も、BMWだからといって敷居が高いと思わずに、気軽に乗ってください。その点では、コクボモータースは街のバイク屋さんと同じ感覚でBMWを見に来ていただけるディーラーであることを昔から心がけています。

有限会社コクボモータース

  • 住所/東京都八王子市元横山町1-14-2
  • 電話/042-645-6105
  • 営業/10:00~20:00
  • 休日/火曜日
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プロフィール
小久保 宏登
39歳。コクボモータース店長。大学卒業とともに関西のBMWディーラーに入社し、その後、家業であるコクボモータースに入社。現在は店長としてBMW、ハーレー、ビューエルと、3つのブランドを扱う店舗全体を統括する。現在の愛車はF650GS Dakar。

Interviewer Column

東京の多摩地区に住む者にとって、コクボモータースは昔からBMWディーラーとして名の通った存在。それだけに、取材に行くまではどこか敷居の高さを感じていたのだが、実際に訪れてみると小久保さんのおっしゃるとおり、まさに街のバイク屋さんという雰囲気であった。それは、街並みに溶け込んだ店構えだけでなく、気さくに話しかけてくださる創業者である小久保さんのお父さんや、平日の日中にもかかわらずひっきりなしにやってくるお客さんとお店のスタッフのやり取りを見ていても感じられる。正規ディーラーというと、そこに行くお客さんも構えてしまいがちだが、コクボモータースにそのような雰囲気はない。失礼だが、今でも“バイク小僧”の面影が残る小久保さんの“バイクが好き”というピュアな気持ちが、街のバイク屋さんならではの親しみやすい雰囲気を生み出しているのではないかと思った(八百山ゆーすけ)。

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