VIRGIN BMW | 野崎 正博(AMC Tokyo 店長) インタビュー

野崎 正博(AMC Tokyo 店長)

  • 掲載日/2008年07月17日【インタビュー】
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ビギナーのユーザーと
同じ視線でBMWを楽しむ

東京都大田区にあるAMC Tokyoは、BMW Motorradのディーラーとして20年以上の歴史を誇る。そんな、伝統あるディーラーの店長は、約半年前に就任したばかり、31歳という若さの野崎正博さん。同じ羽田ホンダ販売グループの国産バイクを扱うお店の店長から異動してきた。そのため、BMWというブランドを新しい感覚で捉え、その楽しみ方をユーザーに提供している。店長になってから初めてBMWオーナーとなり、自ら購入したG650X challengeでお客さんと一緒にダートツーリングを楽しむ姿勢は一般ユーザーと変わらない。そんな野崎さんにBMW Motorradの魅力について伺った。

BMWに乗って初めて
バイクそれぞれに味があると知った

ー野崎さんは店長になって、初めてBMWオーナーになられたと聞きましたが。

野崎●はい。僕はBMWのビギナーなんです。会社に入ったのは10年くらい前なのですが、それまではBMWがバイクを作っていることすら知りませんでした。もちろん、16歳で免許を取ってバイクには乗っていたのですが、若かったということもあってBMWのバイクというものに関心がなかったんですね。

ー初めて乗ったBMWを教えてください。

野崎●R1100Sがデビューした頃に、お店にあった試乗車に乗ったのが最初です。当時ホンダのCBR900に乗っていたのですが、同じようなスーパースポーツということで興味を持ち、日光までツーリングしてきました。

ーBMW初体験の感想は?

野崎●単純にスペックだけを比較するとCBR900の方が圧倒的に高性能。R1100Sはパワーがないし、重たい。でも、実際に乗ってみるとR1100Sは重心が低くて安定性があり、とても走りやすいバイクだと思い知らされました。国産車はまずオートバイありきで、それにライダーが合わせていくという感じでしょうか。BMWはまずライダーがいて、それに機械が合わせていく。乗り手が中心なんですね。国産車だとバイクに振り回されてしまうのだけれど、BMWはオートバイが急かすことがない。ライダーに従順な機械、というのが最初の印象です。

ーでも、CBR900のようなスーパースポーツのオーナーにとって、パワーが控え目のBMWはつまらなく感じませんでしたか?

野崎●まったく思いませんでしたよ。逆に乗っていて気持ちいいと思ったくらいです。私はCBR900の後にヤマハのYZF-R6に乗り換えましたが、これら日本製スーパースポーツの高性能は、結局使い切ることができません。こういったバイクはサーキットではとても気持ちいいのですが、街中はサーキットとは違います。だから、街中で走らせるのには気を遣わなければならず、それが知らず知らずのうちにストレスになっているんです。BMWはそういうことがなく、その結果、気持ちよくいいペースで走れてしまう。パワーがないのに、CBR900よりも少し高いレベルで走ることができたのには驚きました。

ーこういうキャラクターの違いは、日本とドイツのオートバイに対する考え方の違いなのでしょうか?

野崎●そうかもしれません。お恥ずかしながら、私はBMWに乗るまでオートバイによってそれぞれ“味”があるとは知りませんでした。日本製のオートバイは、細かいコンセプトは違いますが、乗っているとどれも同じように感じてしまうんです。でも、BMWは明らかに違う考え方を持った人たち、違う国の人たちが作ったオートバイなんだな、と実感しました。

ー野崎さんはスーパースポーツ系がお好きなんですね。でも、実際にオーナーとなったのはエンデューロモデルのG650X challengeですよね。

野崎●実はYZF-R6のほかに、ホンダのXR250BAJAを持っていまして、これでお客さんと一緒に林道に行ったり、ちょっとしたクローズドコースも走ったりしていたんです。その後、BMWから本格的エンデューロモデルが出たというので実際に見てみたら、かっこ良くて一目ぼれ。即買いでしたね。

ーG650X challengeの印象はいかがでしたか?

野崎●車重はBAJAより40kgくらい重いのですが、パワーがあって足回りにはグレードの高いパーツが付いているので、ダートでの走りが頼もしいです。また、排気量が大きいからかもしれませんが、高速道路の巡航性能が高く、追い越しや合流の加速がとっても楽。よくアクアラインを使って千葉の林道に行くのですが、その行き帰りがとても快適なのがいいですね。今では毎月のように同じG650X challengeに乗るお客さん達と走りに行くようになりました。

ー野崎さんがG650X challengeを楽しむ姿を見て、お客さんの中にも同じバイクに乗りたいという方が出てくるのではないですか?

野崎●はい、少しずつ増えていますよ。先日もGS Challengeにお客さんと一緒に参加してきたのですが、よそのディーラーの方に「そんなにGシリーズばかりがまとまっているのは初めて見たよ」と言われました(笑)。確かにBMWエンデューロモデルの定番はGSですが、ウチはG650の参加率が高かったですから。人数としては決して多くはないのですが、なかなか街中で見ないモデルがこれだけ揃うと目立つんでしょうね。

ーGSに乗る方はとても多いですが、G650シリーズはまだ少数派ですものね。それにしても、一目見て惚れ込んでしまうほどG650X challengeとの出会いは印象的だったんですね。

野崎●確かにそうなのですが、実は今、F800Sもいいな、と思っているんです(笑)。先日箱根で試乗会を開いたときに、お客様の後をF800Sでついていきました。そのときに箱根のワインディングを走るF800Sがとっても気持ちよかったんですよ。いまさらですがF800Sもよかったな、と思っています。最近は今持っているYZF-R6からF800Sに乗り換えようか思案中です。確かにYZF-R6はすばらしいオートバイですが、うまく乗らないと乗れている気がしません。その点、F800Sならいつでもその楽しさを引き出してくれると思ったんです。だから、最近は奥さんをいかに説得するか、画策中です(笑)。

ーF800SはBMWエントリーモデルとして人気が高いようですね。

野崎●F800シリーズを選ぶ方は、圧倒的に若い方が多いですね。ベテランの方がRTやGTから乗り換え、というケースはあまりないようです。どちらかというと、私と同じように日本製の600ccや1000ccのスーパースポーツに乗っている方が購入することが多いですね。ちょうど一昔前、国産レプリカに乗っていたライダーがみんなネイキッドに乗り換えたような現象に似ているかもしれません。F800シリーズはマルチに使えるモデルだからでしょうね。

ー昔のようにBMWというブランドに憧れて乗るのとはちょっと違いますね。

野崎●確かに、BMWに乗る方々の年齢は若返っていると思いますよ。一昔前のBMWといえば、パニアケースを付けてばっちり純正ウェアで決めてツーリングするという、どこかトラディショナルなイメージがありましたよね。私も国産中古車のスタッフだったときには、BMWといえば年配の方のバイクというイメージを持っていました。それがここ数年でGシリーズやFシリーズのようなモデルが続々と登場してきて、変わってきたと思います。BMWというブランドの裾野が広がったというか、いろいろな方向性で楽しめるようになったのではないでしょうか。

ー野崎さんをはじめ、AMC Tokyoのスタッフの方はとても若くて、お店の印象がフレッシュな感じですね。

野崎●もちろん、いままでBMWに乗ってこられた方々、そしてBMWというブランドイメージは大事に守っていきたいと思っています。その一方で、まだBMWを知らない人たちや、国産車から乗り換えてくださるような方々に向けては、あまりガチガチのBMWの世界観を押し付けないようにもしたいと思っています。例えば、ツーリングや林道に行くときには純正ウェアでビシッと決めるのですが、普段使いのときにはお気に入りのファッションでBMWというバイクを楽しんでいただく。そんな、ライダーが中心となった楽しみ方を提案したいと思っています。

ーこうしてお話を伺ってくると、野崎さんはBMWの世界に入ったばかりのお客さんと同じ目線を持っていらっしゃるようですね。

野崎●私は店長ではありますが、BMWというブランドに対してはまだまだビギナーでもあります。だからこそ、純粋にBMWというオートバイを使ってとにかく“遊びたい”と思っています。最近、私がG650X challengeでハマっているオフロードなんかは、まさにその遊ぶという感覚そのものです。

ーもう少し具体的に教えていただけませんか?

野崎●オフロードは速度レンジがオンロードに比べて低いため、少々転んだくらいでは怪我をしません。また、ロードモデルで転ぶとどうしてもバイクのダメージが大きくなってしまいますが、オフロードモデルでは転倒して傷ついても、そうした傷がかえってカッコよく見えたりしませんか? 僕のG650X challengeは傷だらけですが、そう思っています。オフロードであれば、そんな“転がして遊ぶ”という非日常性が手軽に楽しめるわけです。やってはいけないようなことをやってしまう感覚とでもいいましょうか。子どもにいけないおもちゃを与えてしまったような。そういった“非日常”の遊び方を、BMWというブランドを通じてもっと提供していきたいと思っています。

株式会社羽田ホンダ販売 AMC Tokyo

  • 住所/ 東京都大田区新蒲田2-4-3
  • 電話/ 03-5711-1101
  • 営業/ 10:00~19:00(11月から2月までの日曜日は 10:00~18:00)
  • 休日/ 水曜日・第2火曜日・祝祭日
プロフィール
野崎 正博
31歳。同じ羽田ホンダ販売グループのU-BIKE CENTER店長を務め、約半年前にAMC Tokyo店長に就任。それまで約10年間、国産バイクを扱ってきた経験を活かし、フレッシュな感覚でBMW Motorradの楽しみ方を提案する。店長になって初めて買ったBMWであるG650X challengeで、ユーザーと一緒にダートツーリングに行くのが毎月の楽しみ。

Interviewer Column

インタビュー中、終始とてもいい笑顔を絶やさない野崎店長。31歳という年齢もさることながら、一般のお客さんと等身大のスタンスが、AMC Tokyoという伝統のあるディーラーに新しい風を吹き込んでいる。買ってからまだ半年、わずか2000kmという走行距離とは思えないほど、あちらこちらに傷がある野崎さんのG650X challenge。「まだ店長になって半年なんです」という野崎さんだが、実はしっかりBMWというブランドを自分のものにしていると思った。(八百山ゆーすけ)

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