VIRGIN BMW | ブレーキングシステム編 BMWバイク テクノロジーガイド

ブレーキングシステム編

  • 掲載日/2006年02月10日【BMWバイク テクノロジーガイド】
ブレーキングシステムの画像

初心者もベテランも
同じブレーキが可能になる

BMWのモーターサイクルを語る上で欠かすことができないのが、ABSシステム。二輪車では難しいとされる中、いち早く実用化したのがBMWだからだ。ABSはすでに自動車で有名であるが、改めてその機能付いて説明しよう。

「ABS(Antilock Brake System)」とは、直訳で「ブレーキをロックしない機能」。そもそもブレーキがロックするとはどういうことなのか。例えば、雪の日に強めにブレーキを踏むと、ABSのない自動車はタイヤがロックしてしまいタイヤが回転しないままに走行することになる。タイヤは回転していないと方向を変えられないため、これではロック中に障害物があった場合よけられなくなってしまう。非常に危険な状態というわけである。

一方でABSは、タイヤをロックさせない。つまり、ABSが作動すると、タイヤがロックしようとしても、ABSが断続的にブレーキ圧を緩めて、ポンピングブレーキ(※踏力を一定にせず、足ポンプで空気を入れる要領で何度も踏んだり離したりするブレーキの踏み方)をかけているような状態にする。タイヤは回転をし続けているので、急ブレーキをかけた時でも方向転換ができ、クルマの安定性も保たれるというわけだ。

モーターサイクルにこれを搭載するのが難しいといわれていたのは、このポンピングブレーキのような断続的なブレーキ圧の境界が激しくなり、転倒リスクが生じる可能性があったためである。しかし、BMWはモーターサイクルでも充分に扱えるリスクのないABSを開発、搭載している。

EVOブレーキのサポート
それが先進のサスペンション

φ320mmの大きなディスクと焼結メタルパッドで構成される「EVOブレーキ」。このブレーキの威力は絶大で、驚くほどのストッピングパワーを発揮する。通常、あまりに効くブレーキだと逆に乗車姿勢が前のめりになったり、タイヤのロックが怖かったりとデメリットも目立つ。

しかし、BMWの場合は違う。BMWには強力なEVOブレーキをサポートする、驚くべきシステムが用意される。そのひとつが「フロントサスペンション」である。「デュオレバー」、「テレレバー」がそれである。これらは特殊な構造により(詳細はリンク参照)、急制動時にも前のめりにならない。EVOブレーキの強力なストッピングでもライダーは放り出される心配がないというわけだ。

このおかげで、ライダーは躊躇なくフルブレーキングすることが可能となる。しかも、「ABS」でタイヤのロックを防ぐときているのだ。この超強力なブレーキを初心者であろうと合理的に制御できる。まさに、歴史を変えてしまうほどの「無敵」と言っても過言ではないブレーキシステムだ。あらゆるコンディション下で私たちは守られていることを実感できるだろう。

ボクサーの系譜を受け継ぐ
頂点のツーリング性能を求める

しかし、驚くのはまだ早い。BMWのブレーキングシステムはこんなものではない。「インテグラルブレーキ」と「電子サーボ」も忘れてはならない重要なシステムである。それぞれについて解説しよう。

インテグラルブレーキ

本来、モーターサイクルのブレーキングは前後輪両方で行われるのが基本。しかし緊急時は、ベテランでも片方だけのブレーキ入力になってしまうことが多いようだ。そこでBMWは初心者でもベテランでもいや、人間として避けられない「ミス」についても製品力でカバーしようとする。この「インテグラルブレーキ」は、片方の入力で前後輪両方へブレーキをかけるという画期的なシステム。ミスブレーキでも、制動力は最小限にとどめるというのだ。

※RTでは、フットペダルを操作するだけでフロントブレーキも連動する「フルインテグラルシステム」が採用されているが、スポーツ走行も念頭に入れたRシリーズでは、あえてフットペダル操作ではリアのABSブレーキのみが作動する「パーシャリーインテグラルシステム」となっている。

電子サーボ

非力な人でもしっかりとブレーキ入力を行えるようサポートするのが「電子サーボ」システム。最小の力でも最適のブレーキ入力としてサポートし「最善に止まれる」ようシステムが調整してくれる。特に女性にはありがたいシステムである。

この数々のブレーキ・テクノロジーによって私たちはより安全にモーターサイクルを操ることができる。 「純粋にライディングを愉しむ」。BMWのコンセプトを改めて感じ取れたのではないだろうか。

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