VIRGIN BMW | 第7回 リアサスペンション HP2エンデューロ編

第7回 リアサスペンション

  • 掲載日/2012年07月23日【HP2エンデューロ編】
  • 執筆/モトラッド阪神 田中 建次
    このコンテンツは BMW BIKES Vol.33 (発行:2006.01.14)「ディーラーメカニックが解説する HP2 Enduro テクニカルディテール」掲載の記事を引用しています。

HP2エンデューロ分解レポートの画像

ついに BMW 初の体育会系ダートバイク、HP2 Enduro の登場です。R1200GS ベースというより、GS のエンジン等を使ったまったく別のバイクと表現すべきで、他のいかなる BMW バイクの系列にも属さない。オーナー以外では滅多に見られない細部をお見せしよう。

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注目のフルエアサスペンションユニット。ストローク (ホイールトラベル) は 250 ミリ。コンチネンタル社との共同開発で、スプリング効果だけではなくダンパー効果と調整もエアの流れで行なうしくみ。スプリングはおろか、オイルも入っていない。
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車体右側に少しオフセットマウントされる。下部はリンクを介さずスイングアーム直付け。太いので重く見えるが、スプリングが無いうえに金属部品も少ないため 2.3 キロと軽い。同等の普通のショックユニットに比べて 2.0 キロ程軽量になったとのこと。泥や砂を噛むことがないため、メインテナンスフリー。
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エアサスのバルブキャップ。タイヤバルブのキャップと同じカタチだが、驚いたことにアルミ製であった。持っているのがわからない程軽い。
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標準装備のメーター付きエアポンプ。もちろん、エアサスの調整用だが、タイヤにも使える。エアサスはタイヤ空気圧よりはるかに高圧なので、ポンプもそれに対応している。ツインショック時代にもポンプが標準装備されていたが、パンク修理用。
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ポンプはフレームとシートに挟み込まれており、一旦シートを浮かさないと外せない。ダート走行でも脱落の心配はないだろう。
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試しに使ってみた。微妙な調整なら問題ないが、一度抜いたエア圧をフルに充填するのはかなりの重労働であった。充填してポンプを外すときにモタモタしていたら、エアが漏れて車高が下がり、ちょっとあせった。このポンプは微調整か応急用と考え、エアの設定はエアコンプレッサーの使用を勧めておく。標準空気圧はライダー体重 (装備込み) 80キロで 6.5Ber。100キロ で 7.5Ber。タンデムで 9.0Ber。筆者の体重、装備こみ 70キロでは 6.0Ber ぐらいだろうか。もちろん、走行条件や好みに合わせて無段階に調整できる。現実的ではないが、エアをどんどん抜いていくとフルボトムまで車高を落とすことができる。
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フレーム右側の水準器。またがった状態でも見える位置にあり、乗車 1G で水平 (水準器で真ん中) になるようにエア調整する。最初はオマケみたいなものかと思ったが、必需品だとわかった。エア圧をポンプで調整していると、調整が無段階式なうえにストロークが長く、わずかな操作で車高が変わってしまうので基準位置がわかりにくいのだ。この水平位置がすべてのセッティングの基準となるようだ。足つきを良くするために、基準を外して低圧にするのは危険。
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バルブの回りのダイヤルがダンパー調整用。写真では見えにくいが、大きな切り欠きが水平ならハード (レース)。垂直ならソフト (スポーツ) である。要するに二段階しかない。これはこれでわかりやすい。リアサスを先に決め、それにあわせてフロントを細かくセッティングする考え方のようだ。
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ショックユニット後のリアフェンダーには、なにか筒状のモノをタイラップで固定するための窪みが作ってある。現状では不明だが、元の設計ではエアのサブタンクがあったのか? はたまた、エアサス無しバージョンの設定があって、ショックユニットのサブタンクを固定するためだろうか?

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