VIRGIN BMW | 第1回 エンジン F800R編

第1回 エンジン

  • 掲載日/2012年04月10日【F800R編】
  • 執筆/モトラッド阪神 田中 建次
    このコンテンツは BMW BIKES Vol.48 (発行:2009.09.15)「ディーラーメカが解説する 世界一細かい F800R テクニカルディテール」掲載の記事を引用しています。

F800R編分解レポートの画像

800cc パラレルツインの新生Fシリーズ。スポーツツアラーの S/ST に始まり、オフロードバイクのGSに続く F800R は、欧州市場で人気のストリートスポーツだった。あえて強力なライバルがひしめく戦場に投入された F800R がいかなるものか、S/ST や GS との違いとともに、その詳細を紹介していこう。

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新車到着。木枠を壊してバイクを引き出し、整備と点検をしながら走行可能状態にセットアップしていく。ごらんの通り前輪が付いているので開梱が楽だ。F650 / F800GS は (背が高いので) 前輪が別梱包で、フォークリフトで吊り上げながら組み立てる。
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すでにおなじみの F800 の心臓部。並んだピストンが同時に上下する 360 度クランクパラレルツイン (並列2気筒)。ミドルクラスと呼ばれているが、堂々のビッグツインである。ボア×ストローク 82×75.6mm の 798cc。これはシリーズ共通のスペック。最高出力 87ps を 8000rpm、最大トルク 86Nm を 6000rpm で発生する。S/ST は 85ps / 8000rpm、最大トルク 86Nm を 5800rpm、GS は 85ps / 7500rpm、83Nm を 5750rpm で発生する。それぞれ微妙にチューニングが異なる。
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GS のように黒塗装のエンジンだが、シリンダーの前傾角度は S / ST と同じ。GS では大径フロントホイールと長いストロークを確保するため、かなり立ててマウントしていた。
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シリンダーヘッドの右側。ウォーターポンプは吸気カムシャフトで直接駆動され、エンジンとラジエターを最短距離でつないでいる。これは、ギア等による駆動ロスとホースの曲がりによる流動抵抗を減らすためだ。
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エンジン右カバー内には、クランクシャフト直結のオルターネーター。400W / 14A と充分なスペックだ。エンジン幅を詰めるため、ギアやチェーンを介してクランクケース背面に移動させる手法もあるが、駆動ロスとギアノイズの発生を嫌ったレイアウトだろうか。
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エンジン左サイドにはカムチェーントンネルとクラッチが配置される。
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シリーズ共通のツィンカム4バルブヘッド。 黒い半月状のゴムパッキンはカムシャフトジャーナルの加工跡をふさぐための部品。その間隔の狭さから、バルブ挟み角が非常に狭い ( IN10° / EX11°) のがわかる。
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エンジン最下部にはドライサンプ機構のオイルタンクが内蔵されている。Kや旧シングルFも同じドライサンプだが、オイルタンクは別部品だった。
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以前にエンジンを分解したときの画像。クランクケース下には、同時に上下する二つのピストンとコンロッドと同じ質量を持つ、慣性バランサーウェイトが設置される。
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上下対向三気筒エンジンのようなもので、一次振動と二次振動を打ち消す仕組み。ギアやチェーンを使わないので低騒音でフリクションロスが少ない。同じような慣性重量バランサーを採用しているのは、ヤマハの TMAX500 とドゥカティの SUPERMONO くらいしか記憶にない。
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二気筒だが、三気筒エンジンのようなクランクシャフト。バランサー機構の分だけエンジン幅が広くなる。
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オイルタンクには深い冷却フィンが刻まれている。単独で取り外すことができるのでメインテナンス上便利だ。
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Fシリーズのエンジンはラバーマウントではなくフレームに直付けされる。エンジンを車体の強度部材とするためだ。基本的に S / ST と同じレイアウトをとる。
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エンジン前の四角い箱はヒートエクスチェンジャー (熱交換器・水冷式オイルクーラー) である。冷間時は水温によってオイルを暖め、温間時は水温によってオイルを冷却する。互いの温度の干渉により、エンジン温度を安定化させる仕組み。燃費向上や排ガス減少を狙った採用だろう。一般的な空冷式オイルクーラーは走行風で冷却するので、速度が一定でなければ油温変化が大きいのだ。
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エンジンオイルのレベルチェック。エンジンは完全暖気 (電動ファン作動状態) で、一分以上アイドリング後、停止。すぐにゲージをゆるめて抜く。
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よく拭いてからゆっくりと差し入れる。ねじ込まなくていい。もちろん、車体は直立状態である。
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ゆっくり引き出してレベルを読む。MAX と MIN の間 (0.3L) にあれば良い。総量は 3.0L である。オイルは 15W – 40 が指定粘度である。
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ドレインプラグは左下に横向きに付く。フレームにアンダークレードルが無いので、路面にヒットしての破損を防ぐためだろう。ドライサンプにもかかわらず、オイルタンクがエンジン内にあるので、ドレインプラグはこの一個だけである。二面幅は 24mm。締め付けトルクは 40Nm。ガスケットは毎回交換すること。
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オイルフィルターはカートリッジタイプ。RやKと基本的に同じ部品だが、エンジンの色に合わせて黒色。オイル交換2回ごとの交換を推奨する。エンジンオイル関連の整備性は抜群に良い。
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エンジン最前部のスターターモーター。ギアで減速され、クランクシャフトを回すしくみ。スターターワンウェイクラッチはオルターネーターに内蔵されている。
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深い冷却フィンが刻まれたボルテージレギュレーター。
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ラジエターは一般的な長方形の平面成形。容量は 1.5L である。ファンは 105℃ で作動する。115℃ まで水温が上昇すると、メーターパネルの警告灯が点く。
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クーラント (冷却水) のサブタンクは右カウル内。このスリットから量の目視点検をするのだが、ちょっと見にくい。

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