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オーバージャケットスタイルで楽しむドイツ・LACOの腕時計

取材協力/リンクアップ 取材・文/野岸“ねぎ”泰之 写真/堤 晋一 モデル/TOMO 構成/VIRGIN BMW.com 編集部

掲載日/2015年7月29日


緻密で質実剛健、職人気質なものづくりで世界に認められているのがドイツ。そのドイツで1920年代から時計づくりを続けているメーカーがLacoだ。激動の時代から現代まで、伝統と革新を織り交ぜながら脈々と息づくものづくり哲学は、BMW Motorradの世界とも相通ずる。そんなLacoの魅力に迫ってみよう。

ドイツ空軍パイロットの任務を支えた
信頼性の高い腕時計が現代に蘇る

Lacoは1920年代半ば、宝飾品や時計の生産で現在でも名高い、ドイツ南西部フォルツハイムで創業した。1925年、フリーダ・ラッハー(FRIEDA LACHER)とルードヴィッヒ・フンメル(LUDWIG HUMMEL)によって創業され、1936年、フリーダの息子であるエーリッヒによってエーリッヒ・ラッハー(ERICH LACHER)社として設立。「LACHER & CO」の頭文字をとって「Laco」としたのが名前の由来だ。

Lacoが創業したのは第一次世界大戦と第二次世界大戦のはざまに当たる時期で、飛行機や戦車、潜水艦など軍事用品によって科学技術や生産技術が飛躍的に発展した時代。当時、各国の軍事戦略では航空機による空中からの爆撃や偵察がより重要視されるようになった。まだGPSなどなかった時代、自機の位置を知るのに使われていたのは、太陽や月、星の方角を測って位置を割り出す“天測航法”。時間を測って速度がわかれば、目的地までの距離や時間までも見積もりが可能なため、時を知らせる機器である“ナビゲーションウォッチ”の正確さがパイロットの命に係わるほど重要であり、信頼できる時計が必要だったのだ。

第二次世界大戦中、高い精度と信頼性によってドイツ空軍へのナビゲーションウォッチの納入を認められたのは、IWCやランゲ・ゾーネなどのたったの5社しかなかった。Lacoもその5社のうちに含まれている。その中でも、自社製の精度の高いムーブメントを供給できたのは、ランゲ・ゾーネとLaco、この2社だけだったという。このことは、昔からいかにラコの品質に対する信頼性が高かったか、を今に伝えるエピソードだ。

創業からおよそ90年、パイロットウォッチの製造で成長を遂げたLacoは手巻き時計から自動巻き、そして電波時計にいたるまで、たゆまぬ努力と進化を続け、その品質と精度の高さを現代に受け継いでいる。

高品質の機械式時計は現在でも経験豊かで熟練したクラフトマンが手作業で組み立てているが、その製造をサポートするのは最先端のテクノロジーだ。文字盤や針の繊細な仕上げには特殊なカメラを使用、製造工程の最終段階では、同時に10本もの時計の防水性を検査できる高性能な設備を用いている。高精度の歩度計測器(時計の誤差を測定し、正しく調節する機器)を含むこれらの最先端設備はいつでも最良の状態で作動するようメンテナンスされ、定期的にテストを行っている。

また、時計に使われるすべての部品は厳しい検品を受け、部品供給の段階で選別を受けるだけでなく、製造過程においても厳しいクオリティコントロールがされ、最終検品へと続く。これらすべての工程は、商品の信頼性を高めるためのプロセスだ。そしてこの信頼性こそ、ライダーがバイクそのものやバイクに関するアイテムを選ぶ際に最も重視する要素である。その意味で、Lacoはライダーの期待に十二分に応える信頼性を持ったブランドといえる。

Lacoの製品の代表といえば、やはりパイロットウォッチだ。そのデザインは一般的な腕時計とは違い、大きめの文字盤と、その盤の上下を素早く確認できるよう12時の位置には三角形のマークが印字されている。針やインデックスは夜間でも読み取れるようルミナス(蓄光)加工され、リューズは分厚い手袋でも操作できるよう、オニオン型の大型のものが装備されている。これらはパイロットが使いやすいように工夫されたものだが、ライダーにとっても便利な装備や機構といえる。

そしてもうひとつ、ライダーにとって魅力的なのが、オーバージャケットベルトの存在だ。これは文字通り服の上から時計をはめるためのベルトで、オーバージャケットスタイルで時計を着用することで、ライディング中にいつでもすぐに時刻を確認できるという実用性に加えて、おしゃれで斬新なファッション性をも兼ね備えたもの。カーフレザーを使った上質なベルトはライディングジャケットとの相性も良く、シティランはもちろん、ツーリングでも他のライダーにないオリジナリティを演出できるアイテムとして注目したい。

細部まで美しい仕上がりは
ファッションアイテムとしても魅力

ドイツの職人が培った確かな技術と伝統、さらに先端テクノロジーによって生み出されるLacoのパイロットウォッチは、ライダーが身につけるのにふさわしい信頼性を誇る。そしてオーバージャケットスタイルでの装着は、十分な実用性、利便性とともにファッションアイテムとしても魅力ある存在だ。ここではその細部をじっくりと見ていこう。

トラディショナルなイメージのフェイス。インデックスは大きく刻まれた分単位と、内側に同心円状に配された12時間表示の2種類。

オーバージャケットベルトはループ状になっており、一文字状に解けないようになっている。

バックルの外側にあたる部分の革を二重にすることで、バックルをはめた際にピンが外側に露出しない。

通常のベルトを装着したイメージ。今回撮影したモデルは「パーダーボルン 42MM」で、ムーブメントはLACO24自動巻。ケースは直径42mm、厚み13mm。

オーバージャケットベルト(上)と通常のベルト(下)の比較。ベルト幅はどちらも20mmだが、上の径がかなり大きいのがわかる。

インデックスと針はそれぞれルミナス(蓄光)加工され、夜でもはっきりと読み取ることができる。また、針は焼入れによって色合いを出している。

ムーブメントの裏には観測用時計を意味する“Beobachtungsuhr”の文字などの刻印が入っている。

反射防止加工を施したドーム型のサファイアガラスを採用。ケースの側面には航法計測機器を示す当時の機密記号「FL23883」の文字が刻印されている。

大きなオニオン型のリューズはパイロットが分厚い手袋を外さなくても操作できるための工夫。ケースはステンレスにダークサンドブラスト加工を施している。

10存在感があるため、実用的であることはもちろん、ファッションアイテムとしても所有欲をそそる。デニムやコットン系のジャケットとも相性がいい。

10モデルを務めてくれたTOMOさんも、「いろんなファッションに合うデザインと存在感が魅力的。文字盤のフォントも機能的でキレイだし、BMWを選ぶライダーなら誰もが納得の時計だと思います」と気に入った様子。

BRAND INFORMATION

Laco
1925年にドイツ南西部のフォルツハイムで創業した時計メーカー。その技術力と信頼性の高さから、第二次世界大戦ではドイツ空軍にパイロットウォッチを納入することを許された。現代においてもクラフトマンシップとハイテクシステムをうまくバランスさせ、高品質な時計を世に送り出している。