VIRGIN BMW | 冒険旅の必須アイテム ツラーテック製品の実力 特集記事&最新情報

冒険旅の必須アイテム ツラーテック製品の実力
    取材協力/ツラーテックジャパン  文/櫻井 伸樹 写真/増井 貴光 構成/VIRGIN BMW.com 編集部
    掲載日/2013年01月09日(水)

今や冒険バイク旅に欠かせないブランド
ツラーテックというものを知る

BMW の GS 系や KTM 990 ADV などのアドベンチャー的なバイクが好きなライダーなら、ツラーテック社の製品を一度は目にしたことがあるだろう。同社は 1984 年にドイツで発足したアフターパーツメーカーで、これまで「大陸横断的冒険ツーリング」において、世界中のライダーをバックアップしてきた。

 

現 CEO であるハーバート・シュバルツ氏はもともと電気技師であり、自作のメーターやパニアケースをアフリカ旅で使ったことがこのメーカーの起源。以来、氏はシリア、ヨルダン、トルコ、アルジェリアなど世界のさまざまな土地を自らバイクで巡り、オリジナル製品を熟成させ、小規模ながらアフターパーツメーカーとして事業を展開してきた。CEO 自らが生粋の旅好きであるがゆえに製品の信頼度は徐々に上がり、やがて BMW ラリーチームがロードブックホルダー「RB-TT」とともにパリダカールラリーに参戦したことがきっかけで、ツラーテック社は躍進。BMW や KTM にパーツを OEM 供給するまでに成長した。現在では全世界 37 ヶ国のディーラーネットワークを持ち、とにかくタフで、機能的な製品を開発しているメガアフターパーツメーカーである。

 

BMW GS シリーズを中心に、KTM ADV、トライアンフ・タイガー、ハスクバーナといった海外モデルはもちろん、ホンダ・アフリカツイン、ヤマハ・スーパーテネレ、カワサキ・ヴェルシスなど、あらゆるアドベンチャー系のバイクに装着できるパーツをラインナップしている。

 

そのパーツの種類も実に豊富で、パニアやトップのハードケースを中心に、スクリーンやシート、ライト、マフラー、そして各種ガード類など、バイクをよりタフな仕様にするためのパーツがめじろ押し。さらにはウェアやバッグにいたるソフト物まで、ありとあらゆる商品を取り揃えている。

まるで辞書か?というほど厚いカタログにはパーツの詳細ばかりでなく、コンプリートマシンの写真や、過去に世界中を旅したツーリングライダー達の冒険の様子も掲載されている。

昨年ヨーロッパのモーターサイクル市場において、『もっとも成長率が高かった企業』として表彰されるなど、ツラーテックは世界に名を轟かせる存在となっている。

 

余談だが、その膨大な商品ラインナップを掲載した同社のカタログは 1700 ページ以上という規格外のため、一見“辞書”かと思うほどの分厚さに驚愕しつつも、冒険旅の様子なども掲載されており、時間を忘れて見入ってしまうことが多い。

TOURATECH Japan

ツラーテック ジャパン
TOURATECH Japan

住所/千葉県船橋市本中山7-8-15-102
Tel/047-383-9326
Fax/047-383-9327
営業/10:00~18:00
定休/水曜、祝日

ウェブサイト >>

今回インプレッションするツラーテック製品
今回インプレッションするツラーテック製品

COMPANERO メンズ・ジャケット&トラウザー

冒険ツーリングに最適な同社のオリジナルウェアがこの「コンパネーロ」だ。ジャケットは背、肩、肘に、トラウザーは腰、膝にそれぞれCE対応プロテクションを装備し、各部の切り替えしにより運動性能を確保するとともにアジャスターによって体にフィットさせることが可能。アウターにはゴアテックスをライニングすることで、高い防水性を誇る。この上下ウェアの最大の特徴は、ライナーがそれぞれ春夏用のウェアになっているということ。通常は内側に保温性の高いライナーを採用するものだが、このウェアの場合はその考え方がまったく別物。しかし気温3度の夜間走行でも寒さはいっさい感じなかったのだから、充分な保温力を持っていると実感した。正直価格の高さは否めないが防護・防寒・防水のレベルが高く、動きやすいうえに各部のベンチレーションにより温度調節も容易。なんといっても一年中着られるのだから、他に類を見ない秀逸なウェアと言わざるを得ない。

COMPANEROメンズ・ジャケット

価格:152,880円(税込)

COMPANEROメンズ・トラウザー

価格:91,665円(税込)

 

Touratech サスペンション リア用ショックアブソーバー
BMW F 800 GS タイプ:レベル2

BMW F 800 GS 用に専用設計されたツラーテックオリジナルのリアサスペンション。本体上部のダイヤルグリップによってプリロードの調整が容易にでき、また伸び側はボディ下部の調整ボルトにヘックスレンチを挿して行なう。ツラーテックの場合、一人乗車&荷物の積載無しから、トップおよび左右のパニアケース&二人乗車までのさまざまな負荷条件を考慮し、低負荷から通常では視野に入れないような高負荷までいろいろな加重状態に対応するため、非常に幅の広いセッティングが可能となっている。そのプリロード調節幅は、純正のサスに比べて約 50 パーセントも幅広くなっており、より高荷重での悪路走破に特化された世界で唯一のサスペンションだ。

Touratech サスペンション
リア用ショックアブソーバー
BMW F800GS タイプ:レベル2

価格:112,455円(税込)

パニアシステム ZEGA-PRO シリーズ

同社が誇るハードケースで、その質実剛健さは数あるハードケースの中でもトップクラス。1.5 ミリ厚のアルミと補強の樹脂で構成されたボディは、各部がラウンド形状で衝撃を逃がす作り。もちろん完全防水仕様で、外した状態ではイスとしても使えるほどの堅牢さ。トップケースは 38L と 25L の2種類。サイドケースは 45L、38L、31L の3種類が用意され、カラーもアルミ無垢、アンドS (シルバーアルマイト塗装)、アンドブラック (ブラックアルマイト塗装) の3色から選べる。今回はトップに 25L、右に 45L、左に 38L を装着。オプションのインテグラルロックを装着することで、防犯対策もばっちりだ。

ZEGA-PRO トップケース 「And-black」 25L ラピッドトラップ付

価格:54,180円(税込)

ZEGA-PRO ケース 「And-black」 45L片側のみ【マウントキット装着済み】

価格:56,385円(税込)

ZEGA-PRO ケース 「And-black」 38L片側のみ【マウントキット装着済み】

価格:55,650円(税込)

インプレッション

サスペンション

今回テストしたサスペンションはレベル2というモデルで本体から大きく突き出したこのグリップが特徴。これを回すことで油圧によりプリロード調整が簡単に行なえる。このほか、この操作を電子制御化した レベル2E もラインナップされている。

サスペンションの下部にヘックスボルトが顔を覗かせているが、これは伸び側の調整専用ボルトで、付属の専用工具で調整できる。シチュエーションに合わせて細かくセッティングできるのは大きなメリットと言えるだろう。

パニアケース

45 リットルを誇る最大サイズのケースなら、ご覧のようにオフロードヘルメットもすっぽり入ってしまう。そのうえで上部にはまだ余裕があるので、キャンプ道具も楽々収納可能だ。

パニア本体はこの丸い金属パーツを締めたり緩めたりすることで、ステーから着脱する。構造がシンプルで壊れにくく、たとえ壊れても修理しやすいことが大陸ツーリングでは必要だからだ。

ケースのロックは左手人差し指部分を押さないと解除されない安心構造。これにより鍵がロックされていなくても不意にケースのふたが開くようなことは皆無だ。

ジャケット&トラウザー

アウターを装着した状態。脱ぐと非常に重いのだが、着てしまうとフィットし、動きやすく重さは感じない。今回はシックなブラックを着用。基本、どんなバイクでもマッチするデザインだ。

トラウザーはアウター、インナーともに裾がガバっと膝周辺まで広がる仕様なので、オフブーツを履く際も苦労はなかった。インナーの場合は裾をブーツに入れることも可能だ。

アウターを外すとこのインナー状態に早変わり。肩、肘、背中のプロテクターはすべてこちら側に装着されているので問題なし。ベンチレーション、腰部の大型ポケット、袖のパスケースなど機能も充実している。

左がアウター装着状態で右がインナー (春夏用) のみ。膝のプロテクターはインナーに装着されている。またアウターは腰のポケットを開けるとそのままインナーにアクセスする作りになっている。

ツラーテックジャパンは
冒険野郎にとって宝の山

千葉県船橋市に本拠を置くツラーテックジャパン。外資系の日本法人というのは、直販をせずに小売店に卸すことが多いが、ここには店舗があり実際にパーツを見て触って決めることが可能なのだ。店内にズラリと並んだカスタムパーツはまさに宝の山。しかも最近では製品取り付け業務も始めたので、自分で装着が心配なライダーにとっては非常にうれしい限り。同店には冒険好きなライダーも集まるため、同じ趣向を持った者同士の情報交換の場としても貴重な場所だ。

パーツはもちろん、数々のツラーテック製品が装着されたデモ車もディスプレイされているので、自分のバイクに装着された際のイメージが容易にできるのだ。

どんな過酷な状況にも耐えうるバイクを所有する
その喜びを知るツラーテックの開発力に驚嘆

今回ツラーテックの製品が多数組み込まれたバイクとウェアを試させてもらったわけだが、率直な感想としては“どこにも無理がない”ということ。これだけさまざまなパーツを装着すればバランスや操作性に影響が出るのではないかと思ったが、乗りにくさや違和感はまったくなかった。これはやはりツラーテック社が BMW にパーツを OEM で供給するほどのメーカーだからできることなのだ。バランスを崩さずプロテクション効果を高め、パーツや荷物などの重量が増した分、サスペンションでしっかり調整するなど OEM メーカーとして車体を知り尽くしているからこそ為せる業なのだろう。

 

またジャケットに関して言えば、単体で持った場合「マジか」と思うほど重さを感じるのだが、着てしまうと体にフィットし、重さも感じなくなるから不思議。さらにこの「春夏ウェア」をアンダーにしてしまうという発想力にドイツ人らしい合理さを感じ、しかもそれが高い次元で効果を発揮しているのだから恐れ入る。

 

車両にしてもウェアにしても、強く感じるのは“開発陣が本当に旅好きな人間”であるということだ。大きな会社組織ともなると目的と無関係 (この場合は旅をしない、バイクに乗らない) の人間が開発に携わることは多々ある。しかしツラーテック社ではすべての人間がバイクに乗って過酷な旅を経験しているからこそ、これだけ目的のはっきりした、ユーザーが必要とするものを開発できるのだ。

 

大陸から比べれば狭い「島国ニッポン」では、なかなかこのツラーテック社の製品の実力をフルに発揮する場面は少ないのかもしれないが、そんなことより「自分のバイクがどんな過酷な状況にも対応するタフな仕様である」という事実は、なにものにも代えがたい心の豊潤なのではないだろうか。

世界で実証されてきた防護性と積載性を搭載した F 800 GS に、悪天候を快適に過ごせるハイクラスウェア。このセットならきっと、このまま海外に行っても、まったく問題なく旅ができるだろう。