VIRGIN BMW | BMWバイク プロに聞く購入ガイド HP2エンデューロ(2006-) トピックス

BMWバイク プロに聞く購入ガイド HP2エンデューロ(2006-)

  • 掲載日/2008年01月22日【トピックス】
  • 講師/プラッツ愛媛 仙波 博氏
HP2エンデューロ(2006-)の画像

2005年に発表されたHPシリーズの第一弾。常にツーリング性能を重視してきたBMWが、純粋にオフロード性能のみを追求したモデルを発表したためセンセーションを巻き起こした。レースでの活躍の場は限られるものの、そのパフォーマンスは強烈。まさに究極のビッグオフと言える。

HPシリーズの第一弾
究極のオフロードバイク

早いもので、HP2エンデューロがセンセーショナルなデビューを飾ってから2年以上の月日が経ちました。BMWが伝統的に重視してきた一般道でのツーリング性能や快適性を封印し、オフロード性能だけを追求したスペシャルモデルの登場とあって、このHP2エンデューロが多くの注目を集めたのは記憶に新しいところです。このHP2エンデューロを皮切りに、BMWが特定のパフォーマンスを重視したホットなモデルを矢継ぎ早にラインナップし始めたのは皆さんご存知の通りでしょう。

頑なにオートバイの安全性や快適性、環境性能を重視してきたBMWは孤高の存在というイメージがありました。しかし、実は10年以上も前から、BMWはエモーショナルで若い世代にも訴求力のあるブランドを目指すと公言してきています。その一環として打ち出したハイ・パフォーマンス路線が具現した最初のモデルとして、HP2エンデューロは記念碑的なモデルと言えるでしょう。今回の新車購入ガイドでは、そのHP2エンデューロについてご説明します。

際立つキャラクター
高純度のスポーツバイク

HP2エンデューロ(2006-)の画像
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HP2エンデューロ(2006-)の画像

HP2エンデューロ(2006-)の画像

R、K、そしてFシリーズに加わる新たなラインとして、ハイ・パフォーマンスの頭文字をとって名づけられたHPシリーズ。その第一弾として発表されたHP2エンデューロは、BMWが一切の妥協を排して開発したというだけあって、極めて高いポテンシャルを持つモデルです。しかしながら、HP2エンデューロはレース参戦を前提とせず、ユーザーが純粋にオフロード走行を楽しむためだけに開発されたモデルだと言われています。レースのレギュレーションを満たそうとすると開発にはさまざまな制約が発生しますが、そうでなければ市販車として自由な開発が可能だったからです。そのような環境から生まれたHP2エンデューロは極めて純度が高い趣味のスポーツバイクと位置づけることができるでしょう。

HP2エンデューロには、R1200GSのエンジンをベースに専用のチューニングが施されたものが搭載されています。モデルの性格に合わせてカウンターバランサーが省略されているため、振動はやや多めですが、その分ピックアップは鋭いと感じられるでしょう。また、オリジナルのR1200GSより35キロも軽量化された車体とあいまって、抜群のレスポンスと加速を実現しています。その上でGS用エンジンの良い部分はしっかりと残され、超フラットなトルクを活かして高めのギアで流すような走りも十分に許容してくれるのです。車体関係に目を移すと、フロントにはBMWお得意のテレレバーではなく、45ミリ径のインナーチューブを持つ倒立タイプのテレスコピック式サスペンションを採用。リアには空気圧の変更で車高調整も可能な軽量エアサスペンションが搭載されているのが大きな特徴です。また、名コンストラクター、HPNとの協力関係のもとに開発されたフレームやスイングアームなど、数々の優れたコンポーネンツによってハイパワーなエンジンを搭載するビッグ・オフロードバイクとして相応しい車体を構成しています。

独特のポジションは
200キロの車体を振り回すため

ライディングポジションに関しても、HP2エンデューロは独特の設定となっています。歴代GSが高速道路走行を含むツーリングに適したライディングポジションであったのに対して、HP2エンデューロはスタンディングでの操作性を優先したポジションです。これは、大幅に軽量化されているとはいえ、装備状態で200キロ近い巨体をオフロードで振り回すために必要な設定だと言えるでしょう。しかし、車体が大柄でシートとステップの距離も長いため、他のオフロードマシンと比較すると、ポジション自体はゆったりしたものになっています。もちろん、シート高が92センチと高いので、日々の足代わりに使うのは厳しいかもしれませんが、走り出してしまえばHP2エンデューロは意外にも乗り心地が良く、通常走行を十分にカバーする懐の深さも持ち合わせているのです。

さて、HP2エンデューロ本来のステージである、ダートでのパフォーマンスですが、これはもう強烈の一言。超フラットなトルクと105馬力のパワーを発生するエンジンは、明確なトラクションで車体をグイグイと前に押し出してくれるはず。優れた車体と足回りは、ダートでの良好なロードホールディングと直進安定性を約束してくれます。その走りっぷりは、装備重量200キロというビッグ・オフロードバイクとしては、異例のパフォーマンスと言えるでしょう。ボクサーエンジンを搭載したBMWでオフロードをガンガン走りたいと考えているライダーにとってはまさに究極の1台です。一方、ツーリングを含むオンロードでの走りですが、これはマシンのキャラクター故、R1200GSのようなオールラウンドな性能や快適性を望むべくも無く、我慢を強いられる場面が多くなることも覚悟してください。オフロード専用とも言うべき車体設定や各部のセッティング、13リットルと小振りな燃料タンクなど、ロングツーリングには不向きなモデルと言えるでしょう。これら全てはオフロードでのパフォーマンスを最優先した結果に他ならないのです。

HP2エンデューロ(2006-)の画像

最小限のオプションと
モタードマシンとしての可能性

HP2エンデューロに設定されているオプションは最小限となっています。車体と同時に発表されたオプションは、エンデューロタンクバック、エンデューロリヤバック、ハンドルバープロテクター、エマージェンシーバルブカバーキット、タイヤビートストッパ、ローシート(920mm→900mm)など極僅かです。キャリアなどもなく、積載性を考慮していないマシンのキャラクターを反映したオプション設定となっています。なお、HP2エンデューロをモタードマシンにモディファイしたいというニーズに応えるため、2006年7月に前後17インチホイールが付属するストリートホイール付車両が追加投入されました。

HP2エンデューロ(2006-)の画像

講師
仙波 博
はじめまして。プラッツ愛媛の仙波 博です。今回、HP2エンデューロの紹介記事を担当させて頂くことになりました。HP2エンデューロはBMWの中でも特別なモデルです。購入までじっくり悩む際のご参考になればと思います。
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