VIRGIN BMW | R1250GS HPにダートで試乗! 可変バルタイがもたらす、さらなる進化 トピックス

R1250GS HPにダートで試乗! 可変バルタイがもたらす、さらなる進化

  • 掲載日/2018年10月30日【トピックス】
  • Text / Tsutomu Matsui
    Photo / BMW Motorrad

R1250GS HPにダートで試乗! 可変バルタイがもたらす、さらなる進化の画像

エンジンが活きるダートでの走り
HPの持ち味をさらに加速させる

BMWが自信を持って送り込んだ新型水平対向2気筒エンジン、R1250GS用エンジンの一番の特徴といえるのが可変バルブタイミング、BMW ShiftCam(以下シフトカム)を採用したことだ。アイドリングから少し上のエンジン回転域、つまりこの排気量を持つBMWであれば実用域と呼べる領域すべてにおいて1200よりもトルクが大きくなり、パワーも拡充されている。

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これまでもR1200GSを走らせてパワー不足、トルク不足を感じたことはない。その特性も、BMWの水平対向2気筒エンジンの良さを昇華させたような、高出力や加速の鋭さをひけらかすものではなく、それでいて右手を捻るライダーの意思に忠実であり、引き出しやすいチカラが持ち味だといえる。

だからこそ長時間のライディングでも乗り手を急かさず疲れさせない。また、雨、滑りやすい路面のダートでも同様。このエンジンのキャラクターが大きな後ろ盾になっているGSは、だから何処でも走りやすいのだ。

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その辺を踏まえた上でR1250GS HPに跨がりダートに走り出す。このHP、タイヤはメッツラーのカルー3を履くほか、細身で一体式のラリーシートを標準で装備する。また、ステップ周りもワイドステップが標準装備となる。リアセクションはグラブバーが無い分、すっかりした仕上げであること、さらにR1200GS RALLYで選択ができるスポーツサスペンションを標準装備しているのが特徴となる。ブレーキキャリパーやリムの色がゴールドとなるなど、見てのとおり、オフロード指向を強めたGSといえるのだ。

ご注意いただきたいのは、現状まだ日本仕様が決まっておらず、この仕様がこのままフルスペックであるとは限らない、ということだ。

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では走りだそう。まず、発進からトルクが分厚い分、安心してスタートができた。これまでの1200は、駆動輪であるリアタイヤにしっかりとした駆動力がエンジンから伝わるのに後輪が半回転目から1回転ほどの助走が必用なイメージだった。それが1250では、停止時に路面に着いているブロックが僅かに転がり、トレッドの次のブロックからしっかりと路面を咬み車体を押し出す1/8回転程度でイメージどおりの加速がはじまる印象だ。

これはロードでも体験した通りだが、極低速からしっかりと駆動力が立ち上がる印象なので、バイクの動きが軽く感じる。特に、オフロードでは30km/h以下で旋回をしたり、ガレ場を乗り切ることが少なくない。低速時、低回転時のトルクが、ラインを選ぶ余裕を生み、スロットルワークにも的確に反応するので、荒れた場所や低速時の一体感が高い。

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もう少しペースを上げてみる。4,000rpm~5,000rpmともなれば、迫力満点の加速をダートでも楽しめる。その時、ASC(オートマティック・スタビリティー・コントロール)が介入するエンデューロプロモードであっても、駆動の抜ける印象が少なく、テールスライドしながらも増速する加速感が強い。つまり、ドリフトで横に逃げるばかりではなく、しっかりと向き変えと加速が同時進行するのだ。電子制御の進化なのか、エンジン特性の向上なのか断定できないほどマッチングが良くなっている。

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路面が砂やハードパック、さらにはギャップの多い場所でも同様の乗り味だったことを考えると、エンジン特性がライディングの幅を広げているのが解る。前後のサスペンションの吸収性も高く、HPが持つダートランナーとしての資質の高さはGSの世界をさらに押し上げた。

ASCをオフにして撮影用のテールスライドもこなしたが、発進時同様、アクセルを開けた瞬間からジワジワとテールが流れ出し、そのままレブリミッターに当たるまで、流れる角度を維持、コントロールするのがラク、そして楽しい。右手次第でスライド量をお好みでライダーが引き出せるのだ。

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その後、干上がった河原を含む20キロを越すダートライディングを楽しんだ。それでもまだ走りたい。R1250GS HPなら、丸一日、ダートで遊んでいたい、そう思わせる仕上がりだった。GSはBMWシフトカムを得て、大きく前進したことがダート路でもハッキリと確認できたのである。

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