VIRGIN BMW | パラレルツイン搭載のエンデューロマシン「F800GS」 GSナビ

パラレルツイン搭載のエンデューロマシン「F800GS」

  • 掲載日/2009年03月19日【GSナビ】

F800GS

BMWバイクGSシリーズの画像

専門分野はエンデューロ
その位置づけは明白

パラレルツインエンジンを搭載したエンデューロモデルとして、ヨーロッパでは2008年春にF650GS(エフロク・ツイン)と同時リリースされたF800GS。日本では2009年1月10日から発売開始され、エフロク・ツインの2008年4月発売から少し遅れての登場となった。開発自体は同時に進められ、エンジン、フレームなど、基本構成は同様ながら、その位置づけは明確に異なる。

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F800GSはエフロク・ツインのような、ビギナーからベテランまで、ライダーを選ばず幅広く抱擁する懐の深いオールラウンダー的キャラクターは薄い。タフなオフロードシーンにおいて、より上の領域を愉しみたいというライダーに応える、どちらかと言えばスパルタンな性格となっている。

新開発パラレルツインエンジンはそのポテンシャルを余すことなく発揮できるよう設定変更され、足回りなどの構成もエフロク・ツインとは明らかに異なる。前後スポークホイールを採用し、21インチの大きなフロントホイールと、太く長い倒立式テレスコピックフォークが象徴するように、純粋なオフロードマシンだということがうかがえる。オフロード走行において、タイヤとサスペンションがとても重要な役割を担っていることは言うまでもない。

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いわばF800GSは、R1200GSと比べれば軽量でボリュームも控えめなものの、実際のスペック数値では、798ccの排気量やシート高850mm(日本標準仕様)など“万人受けする扱いやすいモデル”とは言えず、脚長の堂々たる大型車と言える。単なる大きなデュアルパーパスマシンとしてではなく、ハイスペックなビッグオフロードマシンとして認識したほうが素直だろう。

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長い脚と大径フロントホイールから見てわかるとおり、エフロク・ツインとは違い、タフなエンデューロシーンを想定した専用設計となっている。

基本的にはエフロク・ツイン同様
違いはエンジン設定と脚にアリ

フレームやエンジン、排気量や電子制御インジェクションなど、基本的な車体構成はエフロク・ツインと同様ながら、明らかに方向性の異なる2台のキャラクターは、エンジンのチューニングと車体に組み合わされたサスペンションによって判断できる。

エンジンはよりエンデューロ的なパフォーマンスを発揮すべくカムシャフトを別物とし、それに適したマッピングが設定されている。最高出力はエフロク・ツインの71psに対して85psとパワフルになっており、これはF800S/STと同じ数値だ。しかし発生回転数は500rpm低い領域の設定。トルクはエフロク・ツインの75Nmに対して83Nmで、これもS/STの86Nmに近い。そして発生回転数もまた50rpm低いもの。つまり中速域で高出力を発揮する設定となっている。

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左右パニアケースとトップケースは、樹脂製ではなくR-GSアドベンチャーのような、堅牢で無骨なアルミ製が用意される。

このオフロードでのパフォーマンスに適したチューニングは、エフロク・ツインの良い意味でのソフトなレスポンスとは逆に、スロットル操作に対して鋭く反応し、ここぞというときの瞬発力や突発的な加速力を右手でコントロールしながら、十分なパワーを発揮するためのものだ。したがって乗り手にもそれ相応の心構えが必要となり、車体からはシビアなスロットルワークを要求されるだろう。

よりエンデューロ指向のエンジンを支える車体は、チューブラーフレーム、チェーン駆動、アルミキャストダブルスイングアームまではエフロク・ツインと同様だが、前後サスペンションともに、より高い耐久性と性能を持つものが組み合わされている。フロントサスペンションにはエフロク・ツインと比べてスプリングトラベルが50mm長い倒立式テレスコピックフォークを装備し、21インチのスポークホイールに直径300mmのディスクがダブルで組み合わされる。リアサスペンションも45mm長いストロークを持たされ、17インチのスポークホイールを履く。タイヤはチューブタイプだ。これらの装備から、よりエンデューロ指向の高い車体構成がF800GSの特徴となっている。

GSの本質を貫くキャラクター
旅もスポーツも1台でこなせる

2004年の登場以降、わずか数年で生産累計台数が10万台を突破したR1200GSをはじめ、BMWはエンデューロカテゴリに6モデルをラインナップする。そのなかでF800GSのポジションはというと、R1200GSよりも軽量で、長距離を高速巡航できる、積載性に優れたオフロードスポーツマシンということになる。

長旅やタンデムライディングに余裕をもって対応する積載性と巡航性、そしてフロントの高剛性倒立テレスコピックフォークと21インチホイールがもたらすオフロード性能。これはかつての“GS”に与えられた特性であり、その全てを同時に満たすモデルは、長らくBMWのラインナップで不在の状態が続いていた。そこへ登場したF800GSは、それらオフロード走行における基本構成を兼ね備えながら、湿式クラッチとチェーン駆動の採用で、ボクサーGSのような乾式単板クラッチの独特なフィーリングに気を遣うこともなく、車体コントロールに専念できるというメリットが与えられている。

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21インチのフロントホイールとゆとりあるサスペンションストロークによる、オフロードバイクらしい旋回フィーリング。

実際にまたがってみると、シートの着座位置とハンドルのグリップ位置との落差が意外と少ないことに気付く。まるでエンデューロレーサーやモトクロス車輌に近いポジショニングだ。高速道路ではオフロード車輌にありがちな、ある程度の速度域でユラユラと車体を揺らす現象とは対照的に、21インチホイールを採用しながらもかなり高い巡航速度を維持できる。これは効果的なウィンドシールドだけでなく1,578mmという、超ロングホイールベースがもたらす直進安定性によるものだろう。

市街地やワインディングでは、その長いホイールベースが逆に小回りの利かない動きを見せる。しかしアップライトで楽なポジションのまま、ゆっくりと深くバンクさせ、やや開け気味のアクセル操作で軽くクリアできる。舗装路では長いサスペンションストロークによって、路面のギャップをやわらかく吸収する。この路面コンディションに左右されない安心感は、長時間の走行において疲労軽減に大きく貢献する。

オンロードからオフロードにシチュエーションを移すと、これまでとは打って変わってパワフルな印象を受ける。エンジンのレスポンスが急に鋭く感じるのだ。ここはエフロク・ツインとの明確なキャラクターの違いが現れるところで、不用意にタイヤを空転させてしまう、というよりも、フロントが滑り出したとき、咄嗟にスロットルを大きく開けてテールスライドさせるための鋭さ、と言ったほうがしっくりとくるだろう。こういった操作に対して従順なところは、いわゆるBMWらしいマシン特性と言える。F800GSでオフロードに分け入ると、ただスルーしてしまうのではなく、このポテンシャルをもっと使いこなしたい、もっと高い次元でオフロード走行を愉しみたいという欲求が沸々と湧いてくることだろう。ビッグオフロードマシンに荷物を満載して高速道路を一気に移動し、目的地のダートセクションで思う存分オフロード走行を愉しみたいという、実際にオフロードを求めて走るライダーにとって、F800GSはとても魅力的な1台と言えるだろう。

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オンロードとは打って変わって、オフロードではガラリと表情を変え、優れたオフロード走破性を発揮する。

F800GSの特徴

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Fシリーズ共通のメーターパネル 視認性はいたって良好

アナログタイプの2連メーター。上が速度計で下が回転計。右の液晶パネルにはオンボードコンピューター(Hi Line装備)の情報が表示される。

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アプローチが容易なキーシリンダー ステアリングまわりの軽量化にも

イグニッションキーはダミータンクの上に配置。左隣には12Vの電力を供給するソケットも併設される。旅の道具という、BMWらしさも忘れていない。

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グリップまわりはRシリーズ同様 BMWならではのスイッチ類を装備

FシリーズにもBMW独自の左右独立式ウィンカースイッチが採用されたのは、パラツーFシリーズから。Hi Lineにはグリップヒーターが装備される。

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必要な工具は自分で揃える 車載工具は最低限のもの

シート裏に格納される車載工具はトルクスレンチ、ドライバー、オープンエンドスパナのみ。オプションで本格的な車載工具も用意される。

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先代Fシリーズから継承する低重心化のための燃料タンク

Fシリーズの特徴のひとつ、シート下に配置された燃料タンク。サイドスタンド停車時に上を向く給油口は、荷物積載時に塞いでしまわないよう注意。

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リアサスペンションは車載工具で調整可能

サスペンショントラベル215mmのリアサスペンション。可変ダンパーシステム搭載で、プリロードのほか、コンプレッション、およびリバウンド調整が可能。

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