R259系以降のGSシリーズ
その魅力を改めて考える
今やBMW最大の人気シリーズとなった“GS”。1994年にデビューしたR259、つまり空油冷4バルブボクサーを搭載したR1100GSが世界中で大ブレークし、新たに加わったF-GSもヒットを記録。これらの後継モデルも成功を収め、以降、GSは人気シリーズの頂点に君臨し続けている。このページではR259以降のGS歴代モデルを振り返りつつ、その魅力を探ってみたい。今回はその1回目としてR1100GSが生まれるまでの歴史をご紹介する。
BMW最大の人気シリーズGSは
1台の無骨なモデルから始まった
ISDT(International Six Days Trial)やダカールラリーなどのオフロード競技に積極的に参加してきたBMWは、1980年に無骨な姿をしたニューモデルを発表した。それが現在まで連綿と続く“GSシリーズ”の祖、R80G/Sである。今でこそいくつも例がある大排気量デュアルパーパスデルだが、その当時、750ccオーバーの大排気量パワーユニットと高い剛性を誇るダブルクレードルフレーム、豊かなストロークを与えられた前後サスペンションを組み合わせた大型オフロードモデルの出 現など誰も予想していなかった。それだけに、突然姿を現したR80G/Sが市場に与えた衝撃の大きさは想像するに難くない。
R80G/Sは大柄に見えたが乾燥重量はわずか167kg。エンジンは50馬力/6500rpmの出力と5.8kgm/5000rpmのトルクを発生 し、最高速度は168km/h以上をマーク。また、フロントはコンベンショナルなテレスコピック式フロントフォークであったが、リアはモノレバーと呼ばれ る方持ち式のスイングアームを備え、オンオフ問わず高い走行安定性を誇っていた。
エクスキューズは一切なし
世界を驚かせた真のビッグオフ
車体構成を見ても、R80G/Sが伝統的な水平対向エンジンを使った単なるバリエーションモデルではないことは明確であった。世界中のジャーナリストをモ ロッコに招集し執り行われた発表会で、R80G/Sはオフロードでの高い走破性ばかりではなく、オンロードでの軽快な走りを披露。“G/S”は全く新たな モデルとして華々しいデビューを飾ったのである。 モデル名に与えられた符号“G/S”は“ゲレンデ・シュポルト”をの略で、それはまさに走る場所を選ばないデュアルパーパスマシンであることを意味し ていた。パリ・ダカールラリーでの実績があるとはいえ、額面通りにありとあらゆる場所を走る能力が与えられたR80G/Sは驚きと賞賛をもって市場にも 受け入れられたのである。
世界のオフロードシーンを席巻
市販車になってもGSは別格
その後、BMWの撤退に伴いダカールラリーはホンダNXRなど日本製マシンが席巻していた。その一方でBMWは、1987年にR80G/Sの後継モデルとも言うべき R100GSとR80GSを発表。シャフトドライブ特有のテールリフトを抑制するリアのパラレバー式スイングアームもこのモデルとともにデビューしている。また、R100GSのパワーユニットはダカールに参戦したマシン同様980ccまで拡大されていた。この頃になるとアフリカツイン(ホンダ)、DRビッグ(スズキ)、スーパーテネレ(ヤマハ)など日本製ビッグオフが登場するが、それらと比較しても“GS”はより本格的な走破性を与えられていたと言えよう。それゆえ、ラリーモデ ルのベースとしてチョイスされ続けただけではなく、何より信頼できるツールとして多くのライダーから認められ、世界中の道に轍を刻むこととなったのである。
そして1994年、4バルブヘッドを持つ当時の最新ユニットを搭載したR1100GSがついにデビューを飾った。それまでのGSがISDTやダカールラリー など、古典的なオフロードシーンに根ざしていたのに対して、R1100GSは時代が要求した性能を追求していたのが特徴だ。現代の交通事情に即した動力性 能や快適性、環境性能などを満たしつつ、「もっと遠くへ」というライダーの根源的な欲求に応えるGSスピリットはその後のモデルに受け継がれていくのである。