



はじめまして、福田モーター商会の山本と申します。
Virgin-BMW編集部から「“新車では買えない絶版モデル”について連載コラムを」と依頼を受け、筆を取らせていただくことになりました。長くBMWに携わってきて、私の中では「ちょっと前」の感覚のモデルが、気がつけば10年以上前に絶版になっていることもあります。新しいBMWも素晴らしいモデルですが、BMWには旧いからと言って色褪せることがない魅力があります。このコラムでは今では絶版となってしまっBMWを1台ずつ紹介していく予定です。今後ともお付き合いください。
R100GSパリダカール(以下、PD)はR100GSの発売から約1年後の1989年7月に発売されました。発売当初は134万円、R100GSが116万円、R80GSは96万円で、PDの最終価格は145万円です(消費税はまだ3%の頃ですね)。当時PDはその巨大さのため、メーカーは初年度70台程度しか輸入していません。最終入荷は1993年中頃で、R1100シリーズの発売と重なり最後はPDが売れ残っていました。しかし、今ではPDは非常に人気が高く、中古車を見つけるのはとても大変です。販売店にとっては必ず売れる代表的なモデルなので、下取りなどで入庫すれば間違いなく店頭に並ぶと思いますがなかなか入ってこないのが現状です。また、最終販売から14年も経過しているので、いわゆる極上車は無いと考えた方が無難でしょう。ちなみにある資料によるとBMWディーラーが2006年に販売したPDの台数はたったの5台、内1台は事故処分車でした。2007年はまだ0台のようです。販売価格の平均的は7,80万円台ですが「走行距離が少ない、外観がきれい、しっかり整備されて履歴があるモデル」だと120〜130万円位になることもあるようで、驚きです。
R100GSパリダカールの特徴はなんといっても樹脂製のあの大きな燃料タンクでしょう。容量は34L、中央部分に5L程のカギ付小物入れがあり、500mLの缶ビールなら縦に5本収納でき何かと重宝する物入れです。ガソリンタップは左右に装着されており、リザーブは4L程ですが0.3Lは使えずに残ってしまうようです(筆者経験済み)。タップは左右どちらか一方だけ操作しても左右のキャブにガソリンは供給されます。ただし、タップをリザーブ位置にすると残り1L程で左右のガソリンは分離してしまうので注意が必要です。ガソリンタンク以外はほぼR100GSと同じ構造です。
GS系の特徴として、クロススポークホイル=スポークホイルながらチューブレスタイヤの装着が可能なことが挙げられます。前21インチ、後17インチのチューブレスオフロードタイヤは各社から販売されており、タイヤ種類の心配はありません。口径40mmの大型キャブレターと大型バルブヘッドは動力性能・特にトルクの向上に寄与していますが、2000回転以下で使用する時はRS系の32mmのキャブレターの方が優れています。スイングアームはパラレバーと呼ばれる機構をGS系で初めて採用しました。シャフトドライブ車の特徴でもあるアクセルON-OFF時の姿勢変化(車体の上下挙動)を軽減すると共に、トルクがかかっている時のリアタイアの路面追従性を大幅に向上させています。R1200GSの時代になってもR100GS系が好まれる理由は色々とあるようです。緩やかにしか効かないブレーキ、ガチャガチャうるさいエンジン、時速140kmも出すと振れ始めるフレーム…それでもR100GSは人気者です。
7年前に走行距離6万kmの中古車を購入し、最近10万kmを越えたところです。その前はR1100GSに乗っていたんですが盗難されまして、パリダカに乗り換えることになったんです。GSを探していたときにたまたまこのパリダカに出会ったのですが、以前から気になっていたモデルではありました。R1100GSのテレレバーの挙動に違和感を感じていましたから、正立フォークのパリダカもいいかもしれない、と2バルブボクサーに対する不安はありませんでした。
パリダカはツーリングに使用するのがメインで、オフは走ったことはありません。遠出するときは日に500kmくらい走りますが、タンクの容量が大きいので1度ガソリンを入れれば1日中走れてしまうのがいいですね。高速道路も問題なく乗れてしまいますし、旧いモデルだから、と走り方が制限されることはありません。だから旧いバイクに乗っていると意識することがないんですよ(笑)。2バルブボクサーは今の道路事情でも普通に乗れるバイクですね。10万kmを越えたときに念のためにバルブガイドを打ち換えたくらいで、トラブルが少なく手がかからないバイクですよ。
前後ホイルの不具合にはご注意ください。リムの歪みは致命傷です。ホイルを構成する部品は全て個別に販売されておりますが、組み立てられるプロがおりません。一般的なスポークホイルを簡単に組むプロでさえもバラバラの状態からこのホイルを組み立てるのは敬遠するほどです。2,3本スポークを入れ替えるのは大丈夫ですが、一本ずつ全てを入れ替えようとすると必ず縦横共に振れが発生し、取り返しが効かなくなります。なお、リアホイルはドラムブレーキと兼用のため、いつの日にか交換することとなります。摩耗の限界値が設定されているので計測すれば一目瞭然です。ただし、前後共に1本10万円以上するのでおいそれとは交換できない部品でもあります。
GS系はスングアームの作動角度が多く取られているために、ドライブシャフトのジョイント部分に負担が集中します。オンロード走行がほとんどの使用では10万キロ以上使用してもさしたる不具合は出てきません。ただし、オフロードをガンガン走る車輌と1990年モデル以前の車輌は、その動きに注意をする必要があります。センタースタンドをかけてリアタイアを手で回してください。ゴリゴリと大きな振動を感じるようであれば、そのドライブシャフトまたはベアリング類を交換しなければなりません。なお、1990年以前でトランスミッションのアウトプットシャフトとそのベアリングを交換していない車輌は、いずれ必ず交換することとなります。場所が場所だけに簡単に見るわけにいかないので判断に窮するところです。
1. 劣化していてはいけないゴム部品の状態。
2. スイングアーム前後のオイル漏れ。少しのにじみはOK。
3. セルモーター使用時の明らかな異音。
4. 左右シリンダー周辺からのオイルにじみは心配無用。
5. シリンダーヘッド周辺からの大きすぎる打音。
6. 重すぎるクラッチレバーの引きはクラッチプレートの摩耗が原因。
7. クラッチレバーを握らない時のエンジン周辺からのカタカタ音は心配無用。
8. 頑丈なモデルですがいつかは壊れます。オーナーになる方の気構えが一番大切。