VIRGIN BMW | 小松原 恵子(F800ST) インタビュー

小松原 恵子(F800ST)

  • 掲載日/2008年01月13日【インタビュー】
VIRGIN BMWインタビューの画像

免許もなくスタートしたBMWライフ
今では走りにこだわる本格派ライダーへ

青と白のカラーリングに「SHOOTING STAR」の文字が映えるF800ST。東京都の小松原さんの愛車で、小柄な彼女の体格に合わせて、足回りやポジションなど随所に手が入れられている。約半年前に購入したばかりだが、オドメーターの数字はすでに1万2000km! というのも、今年は神戸の実家に1往復、秋田には3往復もしているからだ。今でこそ全国あちらこちらへ一人で出かける小松原さんではあるが、1年ほど前まではいつもご主人と一緒でないと走りに出かけられなかったという。何がきっかけでそう変わったのか? 小松原さんのBMWライフについて伺ってきた。

犬の散歩で見たファンデューロ
免許もないのに一目惚れ

ー小松原さんのバイク歴はそんなに長くないと伺いましたが。

小松原●BMWとの出会いは本当に偶然でした。神戸に住んでいた6年ほど前、犬の散歩で通りがかったBMWのディーラーに赤いF650ファンデューロが置いてあったのを見て一目惚れしてしまったんです。それまで見たバイクはラインが入っているなど惹かれるモノはなかったのですが、BMWはとてもシンプルなデザイン。赤なら赤、白なら白と単色でとても綺麗に見えました。それで「これに乗りたい!」と思いディーラーに入ったんです。

ー衝動的にBMWに乗りたくなってしまった、と(笑)。

小松原●ただ、その赤は試乗車で販売できなくて「コッチなら…」と白が出てきました。日本車に真っ白のバイクなんてそんなにないでしょう? それにヘルメットも当時は色が合わせられるというので。それが気に入って契約してしまいました。免許を取りに行ったのはそれからのことです。バイクに乗りたいと思ったのではなく、BMWに乗りたいというので免許を取ったんですよ。あの偶然の出会いがなかったら、今も免許は取っていなかったかもしれませんね。

ー免許取得は大変ではなかったですか。

小松原●まず普通二輪を取ってから大型二輪をとりました。普通二輪はスムーズに取ることができたのですが、教習車が4気筒ということもあって大型二輪のときにはちょっとパワーをもてあましてしまいました。免許が取れてからファンデューロに初めて乗ったときも怖いと思ってしまいましたね。見た目で買ったので単気筒と4気筒の違いも知らず、4気筒の教習車はなんとかなっても、単気筒のファンデューロはどうしてもうまく運転できなかったんです。そこで教習所の先生の勧めで、先生達が通っていたオフロードコースに、カワサキのKX80というモトクロッサーを買って通うようになりました。

ーいきなりオフロードコースとは本格的ですね。

小松原●1年ほどはほとんどファンデューロに乗らずに、KX80でオフロードコースを走るのに熱中していました。でも、ようやくバイクに乗ることが楽しくなった頃に、ジャンプで失敗して転倒し、肋骨を3本折ってしまったんです。1本は肺に刺さっていたそうです。これでは仕事もできないし子どもにも迷惑がかかるというので、バイクをやめようと思ったんです。それで、バイク用品を手放すときにネットオークションで出会ったのが、今K1200Sに乗っている主人なんですよ。

ーご主人とはヤフオクが結ぶ仲ですか!

小松原●出品していたバイク用品を主人が落札したのをきっかけに、東京から神戸に来てくれたんです。それから結婚までは早かったですね。結婚後は私も主人の住む東京にやってきました。一応、ファンデューロも乗るかもしれないということで一緒に持ってきましたがほとんど走ることはなかったですね。主人もバイクが大好きで何度かはフォンデューロで一緒に走ったことはありますが、ロードが怖かったという記憶しかありませんでしたから。

ーそこまでバイクに対してネガになっていた小松原さんが変わったのは?

小松原●主人が当時出入りしていたショップにバイクを修理に預けたときに、私も付いていったときがきっかけでした。修理を待っている間に他のバイクに乗ってみるよう勧められました。それで、そこにあったF650GSに乗ってみたら、とても乗りやすかったんです。初心者の私でも曲がる感じが違うのがわかるんですね。「ああ、同じBMWでもバイクによって乗り味が違うんだな」と、ここで初めて気が付きました。

ー同じF650でもファンデューロとGSでは乗り味も違うんですね。

小松原●その後しばらくして、別のBMWディーラーに主人が行くというので付いていったんです。そこにあったのが真っ白のF650CSスカーバー。本来、スカーバーには白はないのですが、そのディーラーがオリジナルで「ボイーズレーサー」というコンセプトでカスタムした車両でした。真っ白なボディにブルーのホイール、そしてポジションもハンドルが手前に引いた乗りやすいものになっていたんです。もう「これだ!」と思いましたね。私の中で白というのはキーポイントですから。それでスカーバーに乗り換えることになりました。

ーそのスカーバーが小松原さんのバイクライフを変えたと。

小松原●もうひとついい出会いがあったのもきっかけです。ネットオークションでオフロードをやっていたときの物を売ったときに、それを買ってくれた人が「F650ML」というメーリングリストを紹介してくれました。その集まりが長野県であるというので、主人と恐る恐るスカーバーで行ったんです。それまでは長くても100kmくらいしか走ったことがないので、なるべくトラブルを防ぐために全部高速で行きました。そこで出会ったのがとても楽しい人たちで、今もよく一緒に走りに行ったりしています。また、同じ頃に「不良中年友の会」というグループとも知り合いになったのが、再びバイクにはまって行くきっかけとなりました。

ーその人たちと一緒に走って学ぶことが多かった?

小松原●一緒に走るようになると、いままで気が付いていなかったことに気がつかされました。コーナーを曲がると前がいなくなっていて、私の後ろは大渋滞。「私はへたくそなんだ」と思いましたね。主人と二人だと、主人は必ず私のペースに合わせてくれるので、これまで気が付かなかったんです。バイクにうまいとかヘタという意識がなかった。とにかく前に進んでコケさえしなければいいと思っていたんです。その頃から再びバイクを操ることの面白さに目覚めたんですね。

ーバイクの面白さとはどんなことでしょうか?

小松原●私はもともと負けず嫌いなんです。だからあまりにもヘタクソな自分が許せない。バイクって楽しければいいというけれど、ヘタクソだと自分の気持ちの中で楽しくない。景色を見る余裕もないし周りに気を遣ってしまうでしょ。「うまくなりたい」、そう思い始めて、BMWのライダートレーニングに通うようになりました。そこでしっかり基礎を教えてもらうことで、「バイクってこんなに簡単に曲がるんだ」と、KX80でコースを走っていた頃のことを思い出しました。一人でおにぎりを持って奥多摩にもよく走りにいって練習もしましたよ。決して飛ばすんじゃなくてゆっくりしたスピードで、体重移動やヒザでバイクを押すとか、ハンドルに入力するとか、いろいろやってみましたよ。するとどんどんできていなかったことができるようになっていきました。

ー苦手意識があったファンデューロからスカーバーに乗り換えたのが功を奏しましたね

小松原●自分で操れるバイクというのはポイントでした。ファンデューロの時には私はバイクに乗せてもらっていて、思う通りに走れなかった。スカーバーはある程度乗りこなしたときに自分でちゃんと自分の意志をバイクに伝えて、思う通りに操作できるようになっていたので楽しいんです。自分の手足のようなものなので恐怖心もありませんでしたしね。

スカーバーからF800STへ
走りを追求した結果の乗り換えでした

ーそんなスカーバーからF800STに乗り換えたのは?

小松原●ある程度乗れるようになってくると、単気筒は低回転の力がないので、ずっと回して乗っていないと楽しくないということに気が付いたんです。ワインディングなんかだと、2速3速で頻繁にギアチェンジしないといけない。そんなときに、今乗っているF800が出たんですね。スカーバーもすごく気に入っていたので買い替えにはとても悩んだのですが、800ccならもう少し楽に走れるかと思ったんです。

ー他メーカーやBMWの他のモデルは考えなかったのですか?

小松原●とにかくこだわったのは自分で操れること。その中でもやはりBMWに乗りたかった。ブレーキの性能や長距離を走ったときに疲れないということは、BMWに乗った人でないとわからないことです。私は身長156cm、体重が50kgそこそこ。ムリすればR1200STとか主人のK1200Sにも乗れます。でも、自分で操っていることにはならないんですよ。バイクの大きさや重さを考えたら、またバイクに乗せてもらうことに逆戻りしてしまう。すると選択肢はF800しかなかったんですね。

ーF800を選ぶ女性ライダーが多いのはそんな理由があるのかもしれませんね。

小松原●BMWは誰にでも乗れるというけれど、それは170cmくらいの男性を想定してのことだと思います。私の身長と体重を考えるとF800でも少し大きかったり重かったりします。だから新車で購入すると同時に手を入れました。リヤサスを交換して車高を下げて足付き性を改良、ハンドルも交換して少し手前に来るようにしました。そして少しでも軽くするためにマフラーもチタン製のものに換装してあります。タイヤも軽い装備重量に合わせたものに交換してもらいました。

ーメカニカル的なカスタムもそうですが、塗装も相当こだわっているようですね。

小松原●以前乗っていたF650CSも最初のファンデューロも真っ白でした。F800も本当は自分のテーマカラーである真っ白にしたかったのですが、フルカウルなので車体全部を白にするとのっぺりしてしまいます。それで、元々のブルーとの2トーンにしました。ホイールにもブルーのピンストライプを入れるために、青を塗った後に黒を塗るという手間のかかる塗装をしてもらったんです。

ーこのカラーリングには何かテーマがあるんですか?

小松原●バイクを擬人化してはいけない、話しかけてはいけないといいますよね。でも私の中ではバイクのイメージがあるんです。前のF650CSにも名前をつけていたのですが、F800STには“彗星”というイメージがあって、「シューティング・スター」という名前をつけたんです。だから私の中ではこのバイクはF800STではなくて、あくまでもシューティング・スター。他の誰が乗ってもいいバイクではなくって、私だけのオンリーワンなんですよ。

ーこのF800STは小松原さんにとってパートナーのようなものなんですね。

小松原●そうですね。だからバイクにも話しかけますよ。「今日もがんばろう」とか、一日走り終えたら「おつかれさま」とか。気持ちよく走れて自分の意志をバイクに伝える。バイクを操るというのは自分の思う通りにバイクが動いてくれること。当然自分で操作はしているのだけど、それによってバイクが反応して思う通りに動いてくれる。「今日もこけずによくがんばったね、ありがとう」って、感謝したりもします。自分にとっての相棒です。

ー信頼できる相棒だからこそ最近はご主人の手を離れて一人でロングツーリングもできる?

小松原●なによりバイクのおかげですね。高速の移動は800ccくらいの排気量、それもBMWになるととても楽です。秋田を朝7時に出て、途中に大洗に寄って海鮮丼を食べて、地道をけっこう走って、夕方東京に帰ってきても、その日の洗濯をして片付けもして、晩御飯の用意ができる元気がある。疲れたナーと思いながらも、「ご飯は何にする?」と洗濯機を回しながら普通の生活ができる。BMWってそんなバイクなんですね。

ー最期に小松原さんにとってBMWとは?

小松原●主人と一緒に日本全国を旅するには当然クルマの方が楽だし安い。でも道中を考えたときにバイクのほうが道も楽しめる。クルマだと「高いお料理を食べていい旅館に泊まって」ということになるんですが、バイクだと友達のところに泊めてもらって面白い郷土料理を食べて、といったことがこの歳でも楽しめます。あと何年バイクに乗れるのかを考えたときに、BMW以外のバイクには乗れませんね。ドゥカティやハーレーにも乗ってみたいけれど、選択肢として何台ももてないのであれば、一台ですべて楽しめるBMWがいい。私の場合最初に乗ったのがBMWなので最期に乗るのもBMWだな、と思います(笑)。

プロフィール
小松原 恵子
東京都東村山市在住。BMWに乗るために40代で大型二輪免許を取得。一時はBMWから離れた生活を送るも、現在のご主人との出会いをきっかけにバイクライフに復帰。F650CSスカーバー、F800STを乗り継ぐ。現在はK1200Sに乗るご主人と二人でBMWライフを楽しむ。

Interviewer Column

小松原さんのF800STは一目でカスタムしてあるとわかるグラフィックスが特徴。本人は「見た目から入りますから」と謙遜するが、足回りやポジションなどのカスタムは、すべて小柄な小松原さんのライディングのためにこだわり抜かれたもの。インタビュー中も言葉の端々に、走りに対するこだわりがビシビシ伝わってきた。ツーリングの捉え方はひとそれぞれだが、小松原さんの場合は景色、料理、宿、人との出会いを求めながらも、その道中にいかに自分の描いたイメージの走りをするかということにこだわるのがツーリングなのだ。そんな小松原さんのツーリングに応えてくれるのが、彼女のF800ST「シューティング・スター」。取材中、ひっきりなしに愛敬を振りまいてくれた愛犬テンテン、そして、K1200Sに乗るというご主人とともに、シューティング・スターは小松原さんにとって大切な家族の一員なのだと感じた取材だった(八百山ゆーすけ)。

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