モーターサイクルのタイヤ、特にロードモデルの場合は、様々なシチュエーションでの走行が考えられるために、設計段階から入念な計算を行い、テストも度重なり繰り返されることは容易にわかるが、例えばサーキットでのラップタイムを縮めるようなピュアスポーツモデルと、ロングライフを求めるようなツーリングモデルとでは、そもそも相反する性能を求められているわけで、そのバランスと言うのが重要となってくる。
そんな背景のもと、タイヤのトレンド傾向というのは、その時々によって異なってきているのだが、やはり多くのライダーが求めるところは、ハイグリップでありながらもロングライフというタイヤであるのだろう。今回テストしたコンチスポーツアタック3はスーパースポーツモデルに向けて開発されたハイグリップモデルだが、前述したような欲張りなユーザーを満足させるものだ。
先代モデルにあたるコンチスポーツアタック2は、高いグリップ感とロングライフで定評があるものだったが、そのベース部分はそのままに、さらに扱いやすい設定となっている。昨今のスーパースポーツモデルはハイパワーハイスペックを誇るものとなっており、どちらかと言うとしっかりとタイヤを潰すことでより強力な接地感を得て走らせるという方向性を求めがちなのだが、はっきり言ってしまうと一般道でそのような走り方をするステージはほとんどない。
そうなると、タイヤを潰さずとも高いグリップ力を発揮しなければならない。その点に関してこのコンチスポーツアタック3は秀でていると言えよう。新採用のシリカコンパウンドによって、路面低温時やウエットであってもグリップ感を得られるうえに、タイヤベルトの改良により、ライディングスキルを問わずにスポーツライディングを楽しめるものとなっているのだ。
走り出した時からある程度のグリップ感があり、徐々に温まってくるにしたがって、その感覚はさらに増す。これだけならば他のスポーツタイヤとあまり変わりがないように思えるが、その先にあるのがコンチスポーツアタック3の世界だ。まずトレッド面の形状によって、浅いリーンアングルでも車体をグイグイと曲げていく。
グリップ力が高いということは、加減速に対してもメリットがあると言うことであり、スロットルをワイドオープンして一気に加速する際にもしっかりとしたトラクションを路面へと伝え、ブレーキングもパフォーマンスが引き上げられたかのような錯覚を覚える。ドイツのバイク雑誌が行った比較テストのスーパースポーツ部門で最高評価を得たというのも納得できる仕上がりとなっている。
コンチネンタルの特徴でもあるザラザラしたトラクションスキンを持つトレッド面。アグレッシブなパターンでありながらも排水性に優れ、ウエット時にも安心してライディングに集中することができる。低温時から限界走行時まで高いパフォーマンスを発揮するため幅広いシチュエーションで楽しめるスーパースポーツタイヤだ。