K1600B(2017-) スペックと燃費現行モデルカタログ

K1600B(2017-)のモデルカタログ写真

K1600B（2017-）

北米市場をターゲットにしたK1600B
バガースタイルながら、Kならではの走りは健在

2016年にアメリカLAで開催されたモーターショーで登場したK1600B。従来のK1600シリーズをベースに、北米市場で人気の「バガー」と呼ばれるカスタムムーブメントに呼応したモデルだ。

車両説明の前に簡単にバガーについて解説しよう。バガー（Bagger）とは、ハーレーを中心とした大排気量のカウル付きツアラーモデルのカスタムスタイルを意味する。主な内容としては、大幅な車体のローダウン、上質なカスタムペイント、クロームメッキやポリッシュを多用したパーツの装着、大径のビレットフロントホイールへの換装など、基本的にはゴージャスな方向性のカスタムである。

特徴的なのは、その多くが純正または純正同等の形状をキープしたカウルやパニアケースなどツアラーならではの装備を残したままである点だ。K1600BはそうしたバガーカスタムのセオリーをBMW流に解釈して製作されたモデルだ。そしてそのルーツは2015年にアメリカのカスタムビルダー、ローランド・サンズ（Roland Sands）が製作したConcept 101である。このConcept 101は2015年にイタリアのコモ湖で開催されたコンクールデレガンス「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ（Concorso d’Eleganza Villa d’Este）」にも出展され話題を呼んだ。

K1600Bのエンジンやフレーム、足周りなど、基本的な車体構成は従来のK1600シリーズがベースとなっているが、フレームの後半部分を完全に新設計してリアの車高を大幅にローダウンさせている。このため、シート高は780mmとほかのK1600Bに比べると足つきはかなり良好だ。また、リアのパニアケースは流麗なロー＆ロングなスタイルを優先して取り外し不可の固定式となり、左右ケース後端にテールランプ＆ウインカーを振り分けるなど、リア周りのデザインは完全に専用設計となっている。

また、フロントカウルやサイドカウルの意匠もK1600シリーズをベースにしながら、ショートスクリーンや専用ミラー、クローム・エンブレムを採用するなど独自の方向性にシフトしている。しかし、ツアラーとしてのユーティリティはキープしており、電動式ウインドスクリーンやライダーへ走行風を提供するウインドディフレクターなどの装備はしっかりと残されている。

ローダウンした車体で気になるのはその乗り心地だが、そこもBMWらしく抜かりはナシ。電動調整式のDynamic ESAは専用セッティングとなり、ROADとCRUISEの2種類を用意。特にCRUISEモードでの高速巡航は、路面の細かな凹凸による車体の突き上げをほぼ感じないほどに乗り心地が良い。一方ROADモードでは路面からのインフォメーションもしっかりしており、峠道などキビキビ走りたい時にしっかり応えてくれるセッティング。

K1600Bはスタイル優先のバイクと勘違いする人もいるかもしれないが、その正体はBMWの最新モデルに相応しいライディングプレジャーを体現したラグジュアリーツアラーなのである。