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可変バルブタイミングシステム「BMWシフトカム」とは

  • 掲載日/2018年10月20日【トピックス】
  • Text / Tsutomu Matsui
    Photo / BMW Motorrad

可変バルブタイミングシステム「BMWシフトカム」とはの画像

BMW ShiftCam
可変バルブタイミングが生む可能性。

BMWモトラッドが誇る水冷水平対向2気筒エンジンが2019年に向け進化をした。2020年からはじまる新しい環境規制、EURO5に適合するための改良なのだが、静粛性アップや排出ガスレベルをクリアしたのはもちろん、注目は大幅なトルク、パワーアップを果たしたこと。新しいボクサーについて紹介をしてゆこう。

新型水平対向エンジンのポイントは3つ。まず排気量を拡大した。2013年に登場した水冷ユニットの排気量は、ボア×ストローク・101mm×73mmから1,169ccを得ていた。新型のR1250ユニットでは、ボアを1.5mm拡大、ストロークを3mm延長し、85ccアップの1,254ccしている。また、静粛性向上のため、カムチェーンにサイレントチェーンを採用するなど、メカノイズ低減の改良も施された。そして、もっとも大きな変更点といえるのが、吸気側に可変バルブタイミングを採用したことだろう。

BMW ShiftCam(以下シフトカム)と名付けられたこのシステムは、吸気カムに低負荷低・中回転用カム、高負荷・中高回転用カムの2種類のカム山を持たせ、ライダーのアクセル操作や、5,000rpmを境に、ローカムとハイカムが切り替わるというもの。気になるその可変方法は、カムシャフトの一端に可変用ガイド溝があり(この溝はシフトドラムの溝に似た構造だ)、そこにアクチュエーターにより駆動されるピンが出てくることで適宜可変するというもの。ピストン位置としては圧縮上死点時にカムが横にスライドし、それを可能にしているのだ。

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この可変カム方式でユニークなのは、2本ある吸気バルブのうち片方のリフト量を減らすことで吸入時に吸気渦を造り、充填効率を高めていること。これら細かな最適化技術により、アイドリングは従来より100rpm低く設定されてもスムーズな回転を得ている。また、WMTCモードで4%燃費も向上させているのだ。

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ここまで読み進んだ段階で「なるほど、環境規制対応エンジンか」と思ったとしてもムリはない。が、シフトカムエンジンがスゴイのはそのスペックだ。最高出力は9%増の100kW(136ps)/7,750rpm、最大トルクは14%アップの143Nm/6,250rpmとなっている。どの回転域においても、10~20Nmが上乗せされたトルクカーブを持つというから興味津々だ。

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開発者は「R1200のエンジンも素晴らしいが、このR1250エンジンを体験すると、どちらが良いかは明確だ。」と言い切るほど自信を見せる。一つのエンジンに二つのキャラクターを備えるエンジン、全く新しいレベルのパワーとトルク、アナタは新たなライディング体験をする……等々、刺激的な表現が飛び出す概要説明期待は膨らむばかり。さて、その走りはどれほど変わったのだろうか。

次回、試乗インプレッションをお届けする。

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