VIRGIN BMW | G650Xカントリー(2007-) 試乗インプレ

G650Xカントリーの画像
BMW Motorrad G650 Xcountry

G650Xカントリー(2007-)

  • 掲載日/2008年08月07日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  取材・写真・文/VIRGIN BMW編集部

BMWの確信的異端児
G650 X country

2007年5月に国内販売が始まったG650シリーズ。エンジンと車体を共通としながらも、エンデューロモデルのG650 X challenge(クロスチャレンジ)、モタードモデルのG650 X moto(クロスモト)、スクランブラーのG650 X country(クロスカントリー)という、それぞれ違った個性を持つ3台のXファミリーが同時リリースされ話題となった。今回取り上げるのは、その中でも最も汎用性の高いモデルと言われているG650 X country(以下、X country)だ。

R、K、Fなどの既存シリーズに加えて、"G"という新たな名称が用意されたためか、このシリーズはデビュー前からさまざまな憶測を呼んだ。そして、その概要が明らかになってからもエンジンが先代F650GSと同一だったため、その後継モデルとして見られることも多かったようだ。しかし、先ごろデビューを果たした新型F650GSがF800シリーズと同様の並列2気筒エンジンを搭載して正式な跡目を継いだため、ユーザーにとってはこのシリーズ自体のポジショニングが理解し難いものとなっているのではないだろうか。特にX countryは、曖昧と受け取られかねないスクランブラー的なモデルで、そのコンセプトが最も分かり難い存在だと言える。果たして、このX countryはいかなるモデルなのか、またその魅力は何処にあるのだろうか。

G650Xカントリーの特徴

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基本構成は兄弟モデルと共通
個性を際立たせるのは足回り

G650 シリーズの3モデルに搭載されるエンジンは、熟成に熟成を重ねてきた旧F650GSの水冷単気筒エンジンをさらにリファインしたもの。単体で2kgの軽量化と3馬力の出力向上を果たしたロータックス製ユニットは、DOHC4バルブにツインスパークを備えるヘッドを持ち、ボア100mm、ストローク83mm で排気量は652cc。最高出力53ps/7000rpm、最大トルク60Nm/5250rpmを発揮し、潤滑はドライサンプ方式という基本構造も先代 F650シリーズから受け継いでいる。インジェクションによって燃料供給が行われ、エンジン制御は扱いやすくもスポーティな味付けとなっているのが特徴だ。高々とアップされたマフラーには、もちろんキャタライザーを内蔵している。

そして、よりビビッドになったエンジンパワーを受け止めるために十分な剛性が確保されたフレームは、アルミとスチールの4ピース構造。ボルトと特徴的なサブフレームによって部材を連結する方式も3モデル共通となっている。すなわち、このモデルのキモとなるのは足回りの違いのみなのだが、これで見事に高性能スクランブラーとして成立しているのには驚くばかりだ。フロント19インチ・リア18インチのホイールにオンオフ両用タイヤを装着し、フロントフォークは45ミリ径のインナーチューブを持つマルゾッキの倒立タイプ、リアはザックス製のサスペンションユニットのコンビネーション。ストロークはそれぞれ240ミリと210ミリを確保している。サンスター製ソリッドディスクとブレンボ製キャリパーから成るブレーキや、質感の高いマグラ製ハンドルバー、いかにも剛性が高そうなリアスイングアーム、低重心を狙ってシート下にアレンジされた容量9.5リットルの燃料タンクなど、走りに関する装備には一切抜かりがないことが分かる。一方、シート後端には小ぶりながらも積載スペースが設けられているほか、シリーズ中唯一標準状態でタンデム可能なモデルであることも特徴だ。さらにActive LineとHi Lineの2仕様が用意され、後者にはABSが搭載されている点にBMWらしさが感じられる。

G650Xカントリーの試乗インプレッション

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BMWの認識が新たになる
意外なまでのスポーツ性

これまでさまざまなバイクに試乗してきたが、良い意味で、見事に予想が覆されたというのが率直な感想だ。G650は、BMWが既存ユーザー以外のライダーに向けてリリースした注目すべきシリーズであり、従来モデルとはまったく異なるコンセプトで構築されているということは認識していた。しかし、3モデルで車体とエンジンを共通化したミドルクラスのシングル。数値的にも目を見張るものがないうえ、スクランブラーというコンセプトにもピンとくるものが無かったのでX countryは完全なノーマークだった。ところが、実際に乗ってみると面白くて仕方がないのだ。試乗車を借り出し、スタートすべく取り回してみるととても軽い。燃料タンクがシート下に配置されていることも影響しているのか、まるで小排気量車のような手軽さだ。しかも、BMW従来モデルと比較すると、フロント回りの装備品をバッサリと切り落としたような潔さ。シート高も兄弟モデルと比べれば標準的なレベルにあるため、普段大型バイクに乗りなれているライダーなら、跨った瞬間から自由自在に操れると直感するのではないだろうか。試乗する側の気分もこのあたりから俄然盛り上がってくる。そして、軽快極まりない車体にトルクフルなエンジンの組み合わせは、その期待を裏切ることは無かった。

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満タン走行可能状態で168kgに抑えられた軽量な車体ゆえ、旧F650GSよりも一発一発の燃焼がハッキリと伝わり、地面を蹴り出す感触がとても強い。数値が示すよりも数段パワフルに感じられ、高回転域まで淀みなく回るこのエンジンだけでも十分に酔える。ハンドリングも絶妙だ。自由度が大きい上に過敏な反応を示すことがないので、ライディングは自然とアグレッシブになる。結果的に、街中でもワインディングでも振り回すような走り方になってしまうのだが、フレームはヨレる気配もなく、足回りもさまざまな荷重を余裕で受け止めている。

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メインフレームは華奢に見えるが、車体がエンジンに勝ったバランスであるため、不安になるような挙動が一切見られないのだ。この手のバイクでは車体の剛性不足がウイークポイントになりがちだが、それはまったくの杞憂だった。最後に、試乗車に搭載されていたABSについても触れておきたい。このABS、実はかなりスポーツ走行寄りのセッティングであると感じたからだ。見た目以上にグレードが高い足回りが執拗に路面を捉えて放さないということもあり、タイヤの滑る音が長めに感じられるほど作動はギリギリまで我慢する味付け。この ABSならオンでもオフでも邪魔になることはなさそうだ。こんなところにもこのモデルの真の目的が垣間見えたような気がした。

こんな方にオススメ

オン・オフ性能はほぼ50:50
両刀使いを目指す方にお勧め

傍らに置いておいても決して邪魔になることがなく、オーナーのひらめきや気まぐれに即座に対応できる。もし、あなたがそんなバイクをお望みなのであれば、このG650Xカントリーは最良の相棒になってくれるに違いない。

試乗はオンロードがメインとなったが、撮影のためにこのバイクで河原に下りてみた。そこで期せずしてこのX countryが想像以上の走破性の持ち主であることに気づいた。そう、やはりこのモデルはオンもオフも楽しく走れるスクランブラーとして忠実に仕立てられているのだ。兄弟たちと比較すれば圧倒的に足付きも良いので、オンロード主体のライダーやオフロードのビギナーがダートに挑戦するための相棒としても適任だ。オフロードなら、高性能で長い前後の脚を誇るX challengeという手もあるが、あちらはもっとストイックな楽しみを追求する存在でそれなりの技量も必要。オンもオフも適度なバランスの中で、精一杯のスポーツ走行を楽しみたいと考えているライダーにはこのX countryの方がお勧めだと言える。シリーズ中唯一タンデム可能なモデルであり、スポーティなデートバイクとしても使えるようになっているのは、 BMWのちょっとした遊び心か。

クローズアップ

G650シリーズのために用意された
複数素材からなる専用フレーム

3モデルから構成されているG650シリーズには、共通の車体が採用されている。つまり、オン・オフそれぞれで高いパフォーマンスを発揮するX motoやX challengeの車体とX countryの車体は全く同一のコンポーネンツから成り立っており、シティーランを含むさまざまなステージをバランスよくその守備範囲としているX countryが余裕たっぷりの車体構成となっているのは当然のことと言える。

シリーズに共通したフレームで注目すべき点は、それが極めて丈夫な4つのモジュールで構成されているということだ。まず、成型スチール部品を溶接し、スイングアームピボットに鋳造アルミ製部品をボルト留めしたメインフレーム。次に、エンジンを確実に所定の位置に固定するアルミ製ロワーセクション。そして、リアサスペンションに加えられた荷重を受け止める鍛造アルミ製補助フレーム。最後がメインフレームにボルト留めされたアルミ製リアフレームだ。厳選した素材と製法を適材適所で使い分け、負荷要件に合わせて調整を加えたことで、最大限の剛性を確保しながら総重量は最小限。シリーズ中の最重量モデルであるX countryですら、フルタンク時の車体重量はわずか160kgという軽さはこのフレームによるところが大きいのだ。もちろん、シリーズに共通した高い運動性に貢献していることは言うまでも無い。

さらに、複数のフレーム素材を組合せたことは、いくつものメリットを生んでいる。例えば、ライダーのブーツが接触する位置にあるスイングアームピボット周りの鋳造アルミ製部材には陽極酸化処理が施され、不要な汚れを残さないようになっている。また、チェーンのたるみを減らして駆動系のレスポンスを向上させるために、スイングアームピボットを限界近くまでドライブスプロケットに接近させることができたのも、複数素材による設計自由度の高さがもたらした成果である。また、アルミ製のリア・フレームは、高い荷重にも耐えられる設計としながらもメインフレームにボルト留めされており、仮に損傷を受けた場合にも比較的簡単に低コストで交換することが可能となっている。さらに、このシャーシに組み合わされるアルミ製スイングアームも、生産段階で熱処理を施し強度と安定性を高めたうえで、最上級の陽極酸化処理で表面を仕上げるという念のいれよう。比較的リーズナブルな価格でリリースされたG650シリーズだが、車体には相当なコストがかけられているのだ。

G650Xカントリー プロフェッショナル・コメント

ベテランをも魅了する
奥深さを持つモデル

G650 X countryは人によって見方が変わるとても面白いモデルです。車体の安定性が高く、エンジンは低速トルクも十分。軽量な車体で扱いやすく、エンストもし難いので、エントリーユーザーの方にもお勧めです。足付きも悪くないので小柄な方にも最適でしょう。でも、それだけではないのがこのモデルの面白いところ。剛性たっぷりのフレームや見た目以上に高品質な足回りなどによって、かなりのスポーツライディングにも対応します。そのようなことから、ベテランライダーの方々からも評価が高いのです。実は、他メーカーのバイクに乗っているお客様にX countryを試乗していただくことが多いのですが、皆さんから「面白い」と言っていただけます。恐らく、軽い車体にパワフルで鼓動感たっぷりのエンジンを組み合わせているからではないでしょうか。

新型F650GSがデビューしたこともあり、現行のラインナップの中ではやや地味な存在となりつつあるG650 X countryですが、軽くて乗りやすいミドルクラスを探している方や、軽量で振り回せる面白いバイクを探している方には是非とも試乗していただきたいですね。フラットダートを走るのも面白いですよ。(コクボモータース 小久保 宏登さん)

取材協力
住所/東京都八王子市元横山町 1-14-2
営業時間/10:00~20:00
電話/042-645-6105

G650Xカントリー の詳細写真

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兄弟モデルと共通のフレームとエンジン

3モデル共通のエンジンは味付けを変更されスポーティになっているが、熟成極り信頼性は十分。フレームは色の変化した部分でボルト連結される4ピース構造。内側に特徴的なサブフレームがある。
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シート下にアレンジされた燃料タンク

低重心を狙って燃料タンクはシート下に配置されている。ただし、容量は9.5リットルとBMWとしては最小限。走る喜びだけを追求した、従来のF650シリーズとはまったく異なるコンセプトが垣間見える。
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シンプル極まりないハンドル回り

小ぶりなデジタル速度計とインジケーター類のみで構成されたメーターユニット。シートからの眺めではハンドルバー前方には何もないかのような印象を受ける。左側グリップにはABSのカットスイッチが装備されている。
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最小限の利便性を考慮したリアセクション

シリーズ中X countryのみが標準状態でタンデム可能だ。シート後部はわずかながら積載性を考慮。ウインカーはオレンジのバルブ式だが、テールランプとブレーキランプは18個のLEDによって構成されている。
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