VIRGIN BMW | BMW Motorrad G310GS (2021) 試乗記/ 普通2輪免許で乗れる「ベイビーGS」がモデルチェンジ 試乗インプレ

BMW Motorrad G310GS (2021) 試乗記/ 普通2輪免許で乗れる「ベイビーGS」がモデルチェンジ

  • 掲載日/2021年08月16日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad 取材・写真・文/野岸“ねぎ”泰之

BMW Motorrad G310GS (2021) 試乗インプレ/ 普通2輪免許で乗れる「ベイビーGS」がモデルチェンジして登場 メイン画像

BMW Motorrad G310GS (2021)
BMW Motorradの「GS」といえば、アドベンチャーモデルの代表的な存在だ。そのGSシリーズの末弟であるG310GSが2021年にモデルチェンジを行った。従来モデルとの変更点をおさらいしつつ、試乗してその魅力を確かめてみた。

G310GS 特徴

全灯火LED化や電子制御スロットルを採用
さらに乗りやすく生まれ変わった

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アドベンチャーモデルの先駆者ともいえるBMWのGSモデルは、1980年にR80G/Sが登場したことから始まった。GSはドイツ語でゲレンデ/シュトラッセの頭文字で、オフロードと舗装路の両方を楽しめるツーリングモデルという位置づけとなっている。もともとボクサーツインのエンジンを搭載したモデルだったが、並列2気筒を持つFシリーズにも拡大、そして2016年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)で、最小排気量となるG310GSが公開されるなど、シリーズのファミリーを増やしてきた。

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普通2輪免許で乗ることのできるアドベンチャー、G310GSの初代モデルは「ベイビーGS」と親しみを込めて呼ばれる。日本に導入されたのは2017年の11月。ロードスポーツであるG310Rとエンジンやフレームが共通で、パワーユニットは312ccの水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブを搭載している。そのエンジンは前方から吸気し後方に排気するという珍しい方式を採用しており、シリンダーもわずかに後傾するレイアウトとなっている。最高出力は25kW(34ps)/9,250rpm、最大トルクは28Nm/7,250rpmだ。

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タイヤサイズはフロント19インチ、リア17インチという組み合わせで、キャストホイールではあるがオフロード走行を意識したものとなっている。ボリュームのあるタンク周りやクチバシ状のフロントノーズなどは、GSファミリーの一員であることをしっかりとイメージさせるデザインだ。

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さて、2021年モデルはどのような点が変更になったのだろうか。まずは従来ハロゲンだったヘッドライトがLEDになったことが挙げられる。それと同時にウインカーもLEDとなり、灯火類がすべてLEDとなった。エンジン本体については従来モデルと同じだが、ヨーロッパの環境規制「ユーロ5」適合となり、電子制御スロットル(ライド・バイ・ワイヤ)が採用されている。また、アイドリングから発進時のエンストを防いでくれるオートマチック・アイドリング機能が搭載されたほか、自己倍力装置付きのスリッパークラッチも装備している。このほか、ブレーキ&クラッチレバーに調整機構が採用されるなど、使い勝手が向上している。

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G310GS 試乗インプレッション

オフロードバイクとツアラー
2つの側面を持った“遊べるマシン”

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G310GSを目の前にすると、かなり大柄なボディで迫力がある。特に前輪からタンクにかけての車体前部にボリューム感があり、堂々とした外観となっている。幅が広めで少し手前にセットされたハンドルバーは、オフロードマシンほど高くはないが、立ち気味で余裕のあるライディングポジションを実現している。シート高は835mmとそれほど低いわけではないが、単気筒エンジンで車両重量が175kgということもあり、大型のGSシリーズに比べれば、気負わずに乗ることができる。

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走り出してまず感じたのは、サスペンションの動きの良さだ。ストロークが長く、スムーズに動く様はオフロードマシンのようにしなやか。シティランではふわふわした感じにも思えるが、しっかりとコシのある挙動なので、路面が荒れ気味のバンピーなコーナーや交差点などでも不安のない走りができる。

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混雑する都市部ではゴー&ストップが多くなるが、オートマチック・アイドリング機能のおかげでエンストの心配はなく、また、スリッパークラッチの採用で左手の疲労感も格段に少なくなっている。このあたりの装備は、初心者ライダーにも嬉しいものだろう。スタートからの加速感はパンチのあるもので、250ccクラスのアドベンチャーモデルより頭一つ抜け出している印象。ライド・バイ・ワイヤの採用でアクセルレスポンスが良くなり、一般道でのキビキビ感が増したと感じる。

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郊外のバイパスや高速道路では、足周りの優秀さからくる乗り心地の良さが光る。100km/h付近での巡航は無理がなく快適だ。ただスクリーンが短いため走行風はかなり体に当たるので、長距離ツーリングが多いライダーはロングスクリーンに換装するとより快適なクルージングができるだろう。

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さて、最後に気になるダート走行について触れておこう。ヤマハの250ccトレールモデルを所有する筆者の印象は「なかなか遊べる」というもの。今回は河原のフラットダートで走っただけだが、フロント19インチの車体やショックをよく吸収してくれるサスペンション、押さえ込みやすいハンドル、大型マシンよりも軽めの車重のおかげで、けっこう気楽にダートを走ることができた。

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大排気量モデルに比べると低速トルクが細めなので、スロットルを多めに開けることを意識する必要はあるものの、車体バランスがいいため、フラットダートなら不安要素はほとんどない。もちろん本格的なオフロードマシンには及ばないが、この車格なら荷物を積んでキャンプ場へ向かったとして、アプローチでちょっとしたダートがあっても気をつかわずに済むし、身軽にツーリングしていて脇道に気になるダートを見つけたら、ちょっと入ってみようかな、と思えるなど、遊び方が広がるはずだ。道を選ばず気軽に乗れるアドベンチャーテイストあふれるツーリングマシン……G310GSにはそんな表現がふさわしいと感じた。

G310GS 詳細写真

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ヘッドライトとウインカーがLED化されたことで、一気に今風の顔つきとなり、精悍さが増した。

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メーターはフル液晶で、時計やギアポジションなども表示する多機能タイプ。各種警告灯などのインジケーターはパネルの左右に配されている。

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左側のハンドルスイッチはヘッドライト上下切り替え、ウインカー、ホーン、パッシングとなっている。従来モデルにあったABSのキャンセルスイッチは廃止された。

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右側のハンドルにはスターターボタンとキルスイッチのみ。ハザードはぜひ装備してもらいたい。

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シートは前後一体型のオーソドックスなもの。グラブバーを兼ねたリアキャリアはトップケースの台座にもなるもので、がっちりとした構造だ。

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シート下には標準装備のETC2.0車載器が設置されている。バッテリーへのアクセスもしやすい。

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樹脂製のアンダーガードを標準で装備する。ダート走行が多いライダーは金属製に換装すると安心感が高まるだろう。

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プリロード調整機能付きのリアサスペンション。白いスプリングがアクセントになっている。

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シリンダーを10°後傾させ、前方吸気、後方排気としたエンジン。燃焼効率の向上やマスの集中化、低重心化などメリットが多いという。

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ステップのラバーは簡単に着脱ができるようになっている。ダート走行の多いライダーにはありがたい配慮だ。

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シュラウドやカバーによってボリュームアップされた燃料タンクは、「GSらしさ」を追求したデザインだ。

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フロントのタイヤサイズは110/80 R19、メッツラーのツアランスを履く。ブレーキはバイブレ製の4ピストンラジアルキャリパーを採用。ディスク径は300mmだ。

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リアのタイヤサイズは150/70 R17。シングルピストンのフローティングタイプで、ディスク径は240mmとなっている。マフラーの跳ね上がり具合がスパルタンなイメージだ。

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シンプルで小ぶりなデザインのテールランプは従来からLEDを採用していたが、ウインカーもLED化されたことで一層引き締まった表情になった。

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試乗したのはGS生誕40周年記念カラーの「コスミック・ブラック」。タンクカバー上部にロゴマークがあしらわれている。

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テスターは身長170cmで足は短め。G310GSのシート高は835mmで、両足だとつま先が着く程度。片足だと母指球までしっかりと接地するので、それほど不安はなかった。

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