VIRGIN BMW | BMWバイク プロに聞く購入ガイド HP2メガモト(2007-) トピックス

BMWバイク プロに聞く購入ガイド HP2メガモト(2007-)

  • 掲載日/2008年02月19日【トピックス】
  • 講師/コクボモータース 小久保 宏登氏
HP2メガモト(2007-)の画像

HPシリーズの第二弾として、日本でも2007年8月から受注生産による販売が開始された究極のロードスポーツモデル、HP2メガモト。外観が似ているので、HP2エンデューロをモタード的にアレンジしたものと思われそうだが、実は全くの別物。オンロードでの性能をストイックに追求したスペシャルなモデルだ。

HPシリーズの第二弾
究極のロードスポーツモデル

HP2エンデューロに続くHPシリーズの第二弾として、日本でも2007年8月から受注生産による販売が開始されたHP2メガモト。外観が似ているので、HP2エンデューロをロードモデルにアレンジした派生モデルと思われそうですが、実はそうではありません。スタイルは確かにモタード的な雰囲気を漂わせていますが、モタードモデルにありがちなネガティブな部分を完全に払拭したうえで、正真正銘、究極のロードスポーツに仕立てられたモデル、それがHP2メガモトなのです。

安全性や快適性、環境性能を追求し、常にツーリングモデルに軸足を置いてきたBMWが、パフォーマンス重視路線に大きく舵を切った象徴としてHPシリーズを打ち出したのは皆さんご存知の通りです。その第一弾がHP2エンデューロで、これは純粋にダート性能のみを追求した究極のオフロードモデルでした。そして、今回ご紹介するHP2メガモトは、特定の性能を追求するというHPシリーズのコンセプトをオンロードモデルとして具体化した、究極のロードスポーツなのです。ですから、HP2エンデューロのデザインとパッションは受け継いでいるものの、そのキャラクターは全くの別物。今回の新車購入ガイドでは、そのHP2メガモトをご説明しましょう。

HPシリーズならではの割り切り
ロードスポーツとしての高い完成度

HP2メガモト(2007-)の画像
HP2メガモト(2007-)の画像

HP2メガモト(2007-)の画像

まず、HP2メガモトの車体構成をご説明します。HP2エンデューロでは、R1200GSのエンジンにアレンジを加えたものが搭載されていましたが、HP2メガモトにはR1200RT/STに搭載されているエンジンが採用されています。ロードモデルということで、不快な振動を抑制すべくバランサーシャフト付きとされ、低回転域からのトルクも十分。HP2エンデューロを遥かに凌ぐ110psのパワーと115Nmのトルクを発揮します。エンジンの味付けも若干変更されているようで、低速での扱いやすさとレスポンスの良さも抜群です。実は、そのエンジンの搭載位置もHP2エンデューロとは異なり、オンロードでのハンドリングを重視した結果、最新のスーパースポーツ同様かなり前方に搭載するという徹底したこだわりを見せています。

また、HP2エンデューロの大きな特徴でもあったリアのエアサスペンションユニットも、HP2メガモトでは実績あるオーリンズ社製のオンロード用フルアジャスタブルタイプに変更。ストロークは180ミリを確保しています。一方、フロント側は45ミリ径のインナーチューブを持つマルゾッキ社製の倒立タイプで、ストロークは160ミリ。HP2エンデューロのものと外観は似ていますが、オンロード専用のセッティングとなっています。このモデルのキャラクターを語る上で重要な前後のホイールも、HP2メガモトの専用品。見た目通り非常に軽量で、タイヤサイズはフロントが120/70ZR17、リアが180/55ZR17です。もちろん、ブレーキシステムの強化も怠りなく、フロントはダブルディスク化されています。ダブル・チャンバー式のエグゾーストシステムはアクラポビッチ製で、音量は控え目ですが、迫力ある排気音を楽しませてくれるでしょう。装備品や外装品に関しては、タンクカバーやヘッドライトカバーなどにカーボンパーツが使用され、高級かつ精悍な印象です。また、メーターユニットには、このモデルでは必需品とも言えるタコメーターが追加されています。このようにHP2メガモトは、セッティング変更というレベルをはるかに超えて、オンロード向けに徹底的に再構成されており、HP2エンデューロとは全く別物に仕上げられているのです。

あらゆるテクニックに応える
究極のハンドリング

HP2メガモトで走り出してすぐに気づくのは、そのハンドリングの良さでしょう。前後のサスペンションは非常に良く動くのですが、かなりダンパーが効いているという印象です。バイクの挙動を短いストロークの中でグッと吸収してくれるので、非常に正確なコントロールが可能になっています。また、モタードモデルにありがちな、勝手に前輪が切れ込むような兆候も皆無。レスポンスも良くニュートラルなハンドリングは、どちらかというと最新のスーパースポーツに近いと言えるかも知れません。HP2エンデューロと比較すると、ポジション自体もかなり前寄り。前輪に十分な荷重を与えるスポーティーな乗り方を前提としているようですが、これが街乗りなど、スピードが上がらない場面での乗りやすさにも繋がっています。状況が許せば、贅沢な日常の足としてこのバイクを使うことも十分可能なほどです。

さて、タウンスピードでも乗りやすいHP2メガモトですが、その本領を発揮するのはなんと言ってもワインディングでしょう。エンジンは、タコメーターの針がスケールの1/3ぐらいを指していれば十分過ぎるほどのパワーとトラクションを発揮してくれますが、高性能タイヤのグリップを当てにして、ほんの少し多めにアクセルを開ければ、秘められた強烈な旋回性能を垣間見ることが出来ます。バイクの挙動やハンドリングは適度な手応えを示すようになりますが、開ければ開けるほど旋回性能が高まり、狙った走行ラインを正確にトレースすることが可能です。おいそれとワイドオープン出来るバイクではありませんが、こういうポテンシャルはあって邪魔になるものではありません。また、エンジンの搭載位置が高めなので、ペタッと寝かすことも出来ますし、高剛性のフロント周りとコントロールしやすいブレーキを使って、フロントタイヤを押しつぶすようなハードブレーキングも可能。ライディングスタイルも自由自在です。腕の立つライダーやワインディングでのハイレベルな走りにチャレンジしたいライダーにとっては、あらゆるテクニックに応えてくれる最適なモデルと言えるでしょう。

HP2メガモト(2007-)の画像

走りに徹したストイックなモデル
オプション設定はほとんどなし

HP2メガモトに設定されているオプションはほとんどありません。HP2エンデューロ用のリアバッグなどは流用可能かもしれませんが、本格的なツーリングには収容力不足です。HP2メガモトはオンロードを走る楽しみだけを追求したスペシャルモデルですから、そのコンセプトをスポイルするオプション類も設定されていないということでしょう。それ故、ツーリング目的でこのモデルを選択することはあまりお勧めできませんが、逆にこのモデルのコンセプトを理解されている方にとっては、これほど満足度が高いモデルもないと言えるのではないでしょうか。

講師
小久保 宏登
はじめまして。東京・八王子の「コクボモータース」の小久保と申します。 既存のBMW Motorradとは一線を画した、HP(High Performance)シリーズ。HPならではの魅力やHP2エンデューロとは違った魅力を紹介させていただきます。参考にして頂ければ幸いに存じます
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