VIRGIN BMW | BMW Motorrad GSトロフィージャパン 2014 カーボン職人Tras新田の初挑戦レポート トピックス

BMW Motorrad GSトロフィージャパン 2014 カーボン職人Tras新田の初挑戦レポート

  • 掲載日/2014年06月27日【トピックス】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  取材・撮影・文/松井 勉
GS TROPHY JAPAN 2014の画像

GS トロフィー 2014 の会場となった岩手焼走り国際交流村。キャンプもコマ図ツーリングのスタートもここ。晴れていれば広大なキャンプエリアから岩手山が顔を出すハズ。ちょっと雲がかかっていますが、予報は雨だったからこれでも奇跡(笑)。

GS トロフィー初挑戦記
岩手の道は最高の GS ロードだった!

こんにちは、新田 正直です。私は全日本ロードレース選手権 JSB クラスや鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦する『チーム・トラス 135 エイチ・ピー』の代表であり、本業は試作専門カーボン成形メーカーの代表です。つまりカーボン職人。MotoGP マシンやドイツのニュルブルクリンクでの先行開発を目的としたテスト車両のカーボン製品なども製作しています。レーシングチームは、2014年シーズン、BMW モトラッドのオフィシャルサポートチームとして HP4 で参戦。ゼッケンは 135 です。HP4 はご存じのとおり、新型の R 1200 GS でもお馴染みの電子制御のセミアクティブサスペンションを搭載しています。“市販状態に近いマシンでどこまで戦えるのか? 各サーキットのセッティングデータをユーザーと共有できないか” なども参戦テーマのひとつです。

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R 1200 GS アドベンチャーで走る。それこそが大きな挑戦。齢 50 を過ぎて GS でオフロード熱にかかるとは!

取材で訪れた岩手が舞台と聞き、参加を決意する

私自身、BMW とは縁が深く、R 1200 RT や HP2 メガモトユーザーでもあり、BMW BIKES の誌面作りを時々お手伝いさせてもらっている縁もあって、人生初の GS トロフィーに参加することになりました。実は昨秋、BMW BIKES の企画『冒険の旅』の取材で訪れた岩手が今回の GS トロフィーの舞台と知って「とにかく行きたい!」が、ことの発端でした。

今まで GS トロフィー(旧称:GS チャレンジ)とは、林道やキャンプに馴れ、スキルチャレンジに挑戦するような上級者が参加するイベントという印象でした。しかし “コマ図ツーリングで岩手の道を走れる” “食事も用意されている” “イベントも盛りだくさん” “仲間も参加する”、それならばと参加を決意したわけです。

今回は VIRGIN BMW.com が R 1200 GS アドベンチャーを用意してくれました。GS オフロード歴は林道ツーリング5回程度。「これは荷が重い」と思いました。しかし実際に乗ってみると、昨年来、何度か走らせた新型の R 1200 GS 同様、取り回しが重くなく、走り出すと「あれ!」と思うほど意のままに走れてしまう。

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現地での準備は至って簡単。バイクのスクリーンにゼッケンを貼りつけて完了。雨、降るなよ。パニアの中身はカラだけど、レインウエアとちょっとした小物だけ持って行こう。この時、周りを見ればもっと身軽な人が多いことに気がついたのに……。
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GS トロフィー岩手のルートは、例年にないほどダート区間が長かったそうだ。かつて経験した林道とはちょっと違って、登って下って、という感じではなく、一定の高度を繋ぐように走る印象だった。森が深い!

みんなで楽しむことが GS トロフィーの真髄

岩手に向かった金曜日、大雨の中の移動開始です。静岡の自宅を出発し、都内を通過するころにはヘルメットの内装までズブ濡れ。そんなとき、岩手に向かう仲間から「荷台が空いているけど乗って行く?」と “渡りに船” な連絡が。アドベチャーを荷台に収め、助手席へ。その道中、東北道ではワイパーすら機能しないほどの雨も体験。「助かった!」と思いました。その夜、岩手の会場に各地から集まる仲間を待ちつつ晩酌。ちょっと夜更かしをしました。

翌朝、眠い目をこすり開会式、そしてスタートの準備。天気は悪くありません。予報は雨だったのに太陽が出ています。メインイベントのコマ図ツーリングでコマ図を見ながら走る自信がなかったので、ラリー参戦歴もある仲間に先導を頼み、走りに集中することにしました。途中、林道へと向かう小径で地元の方がうれしそうに手を振ってくれています。和みました。ありがとう!

R 1200 GS アドベンチャーは最高のツアラーです。林道では最初こそおっかなびっくりだったものの、少し走ると肩の力が抜け、ノーマルタイヤということを忘れるほど安定した走破性に驚きます。これならいけそうだ。時間を追うごとに楽しさが増し、どんどん夢中になります。林道の途中には岩手で牧野(ぼくや)と呼ばれる草地(そうち)に出て視界が広がります。山道からいきなり広大な場所にポンと出る。すごいぞ、岩手! めくるめくツーリングに心躍ります。無機質なコマ図(私は見ていませんが)から繰り出される風景と草の匂い。頼もしい仲間。最高です。“GS トロフィーは、GS 乗りが一緒に楽しむイベント” なんですね。最高の想い出ができました。「もっと早く挑戦すれば良かった」それが私の結論です。

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ダートの道をゆく。時折、広大な景色の中にポン(本当にそんな感じ)と出ることがあった。おおお! って声が出るんですよ。これはすいごい、とね。これは岩手の魅力だと思います。
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八幡平アスピーテラインは標高が高く、雲の中に入るような道でした。その途中、ひと休みしたパーキングでハイカーの人が「今日は BMW が多いですけど、何かあるんですか?」と。僕たち、見られてますね。大人カッコ良い運転をしたいものだ、と思いました。
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ゲレンデクルーズの終着点、ゲレンデの頂上。コマ図ツーリングの終着点となったスキー場は、緩斜面のゲレンデで、しかも長い。数キロはゲレンデを登ってきた印象です。こんな場所までノーマルタイヤで来られる GS って!!

フォトTOPICS(写真点数/35枚)

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01四輪のケータハムディーラーを営む篠原さんが、僕とアドベンチャーを東京からトラックに載せて来てくれました。クルマを乗せるローダーに砂漠を走るトラック風なホロをかけたスペシャルなトランポ。ありがとう、助かりました。
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02篠原さんは R 1200 GS を所有しながら HPN のエンスージアストでもあり、HPN でモンゴルのラリーにも参加する手練れ。GS トロフィーのコマ図ツーリングも篠原さんの手にかかれば本各的なマップホルダーやトリップメーターで万全のナビゲーションが可能。
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03私も準備を進めます。と言っても、持って行くものを詰めてほかは下ろす、というくらい。この時 R 1200 GS アドベンチャーにしたことが正しかったのかどうなのか、実は自信が持てないでいました。これから岩手のダート、しかも例年よりダートの距離が長いとか……。
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04今年で9回目を迎える GS トロフィー。その開会式に参加者が集まる。地元ライダーの菅野さんや、行政、会場など、さまざまな協力があって開催されているのだな、とオーガナイズの妙を感じるわけです。岩手まで 600 キロほど。この地への距離感は薄れていたので、今日をめいっぱい楽しみます。
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05コマ図ツーリングの情報が主催者から張り出されました。コマ図の修正箇所など注意点があったので、携帯で写真を撮っておく。ナビゲーションは仲間にまかせるけど、情報はシェアできるように。
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06この日のコマ図ツーリングには 122.5 キロのルートが用意された。最初のダート区間に入ったのが 21.3 キロ地点。ここからたっぷり 20 キロのダートが始まったのです。最初は緊張しました。でも、R 1200 GS アドベンチャーの乗りやすさに、しだいに体がほぐされ、走りが楽しくなるのです。
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07いざツーリングがスタートすると、百数十台の仲間たちはルートに散り、意外と出会わないのですが、休憩に適した場所があると、こうして再会を楽しめます。これ、1人だったらちょっと不安でしょうね。でも仲間がいれば安心。すでにこの時点で GS トロフィーを大いにエンジョイしています。
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08でも実は、パニアケースを装着していた重みをかみしめていたのです。仲間の1人がパニアケースを外した R 1200 GS アドベンチャーに乗っていたので、迷わず「ちょっと交代してもらえない?」とバイクを乗り換えました。これが大正解。走るのがとってもラクに。仲間は馴れた人なので、結局そのまま走ってもらいました。
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09雪解けから間もない山間部の道路では、補修のためか新しい砂利(バラス)が多く入っている箇所があり、そうした場所を走るのがラクに(気楽に?)なったパニアなしアドベンチャー。キャンプ道具満載で会場入りした参加者も、ちゃんとパニアは外してきている様子。次回からは僕もそうします。ますます楽しい!
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10地元の人が牧野(ぼくや)とか草地(そうち)と呼ぶ場所。ここは放牧された家畜がいないので、草地だと思います。牧草を育てる畑、と言えばわかりやすいでしょうか。ハーブのような良い匂いがするし、風景の広がりもあってひと休み。気分最高。
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111日目は曇りでしたが気温は 25 度くらあって、林道を走ると体温も上昇。122.5 キロ中 50 キロ弱のダートがありました。途中、交差点を右折するポイントにあったコンビニでクールダウン。アイスを食べます。この草地はコンビニの駐車場の隣なんです。岩手、すごいでしょ!
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12朝のブリーフィングで「後半は標高の高いワインディングルートです」と言っていたが、我が人生、初の八幡平アスピーテラインです。曲がりくねったスノーシェルターを駆け抜ける。R 1200 GS アドベンチャーはこうした道でも最高の走りをしてくれます。いいなぁ、アドベンチャー。どんどん好きになります。
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13標高が上がると視界には、山肌に残る雪が道路脇まで迫ります。さっきクールダウンしたばかりだけど、今はグリップヒーターのスイッチを入れようか、と思うほ気温が低い。車載の外気温計は 13 度。ラリースーツのベンチレーションを開けたままでは寒いに決まってる!
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14どんどん標高は上がり、雲の中へ。雨も時折落ちてくる。下界の気温からするとほとんど冷蔵庫。でもこんな風景の中に導かれるコマ図ツーリング、すごいですね。地元に詳しいライダーがガイドしてくれているようなもの。林道は風景の変化があって楽しいし、舗装路も最高。GS トロフィー、楽しいゾ!
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15一般道でも、コマ図ツーリングで通る道は里山やこうした綺麗な道が多い。雪が降っても走りやすいように道が設計されているのか、まるでヨーロッパの道をツーリングしているような世界観を味わえます。岩手を走るって BMW にぴったり、という印象を持ちました。
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16そしてこのスキー場がコマ図ツーリングのゴール地点。122.5 キロをたっぷり楽しみました。スタートしてから5時間くらいでしょうか。どうりでお腹が空いたわけだ。さ、昼飯、ひるめし。
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17ゴールしてみると、あらためて参加者の多さにびっくり。ゲレンデ麓にあるレストハウスでサイズの大きいとんかつが載ったカツカレーをいただきました。
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18このゲレンデはスキルチャレンジの会場でもある。緩斜面を使ってナンバリングされたパイロンを回る大きなスラローム。ただ、斜面の土や草が生えた路面が一見簡単そうなそれを難しくしている。コースを設定した BMW モトラッド公認インストラクター山田 純さんも、そういう微妙なところを楽しませてくれる。
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19登ってパイロンを右回り、そして下りになって途中でまた左ターンに向かって登る。そのときにゲレンデを横切るのだけれど、斜面で向きを変えるのはかなり難しそう。R 1200 GS アドベンチャーのライダーも途中から苦戦していました。
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20スキルチャレンジの会場では “ゲレンデクルーズ” というイベントも行われていました。希望者は先導付きでこのゲレンデを登る、というもの。「どこまで行くのかわからず行けるか!」と思いましたが、帰ってくる人の笑顔を見て参加を決意します。
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21そして走り出します。グループツアーなので最初は埃が凄い。馴れてきたら車間距離を開けてクリアな視界を確保します。スキーで言えば緩斜面ですが、バイクで、しかも R 1200 GS アドベンチャーのノーマルタイヤで登るにはインパクト充分。途中、深いギャップで電子制御セミアクティブサスペンションに助けられました。
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22一緒にクルーズに参加した中には、2008年の GS トロフィーチュニジア大会に参加された方も。こんなオフロードの手練れと一緒に楽しめるのもバイクの性能のおかげです。とにかく楽しいバイクです R 1200 GS アドベンチャー。このバイクだからこそここまで来られたのだと思います。
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23スタート地点、岩手焼走り国際交流村に戻り、付帯施設の温泉で汗を流し、キャンプグランドで宴の始まりです。このあとスキルチャレンジの表彰式、震災で痛手を受けた東北へ贈るチャリティオークションなどが行われました。
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24ゲレンデコースのスキルチャレンジで記録したタイム順で、上位のライダーが進んだファイナル。焼走り国際交流村の一部を使った特設コースです。みなさん上手い! 来年は僕もスキルチャレンジに参加しようかな。
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25スキルチャレンジのフィニッシュは、このような登り斜面の先にあるバイク1台分のスペースでピタリと停める技術も求められます。それにしても GS をはじめ、BMW のバイクはオフロードでの楽しさもかなり追求しているのがよくわかりました。
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26宴が進み、スキルチャレンジの表彰式です。好タイムを出したライダーたちはFやRシリーズの2バルブ、4バルブ、Gシリーズ、ウイメンズクラスなどに分かれて表彰式が行われました。BMW モトラッドから楯、副賞のラゲッジバッグ、そして協賛メーカーであるメッツラーやコールマンからも賞品が手渡されます。
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272日目のコマ図ツーリング。実は所用があって当日朝、ひと足先に会場を後にしたのですが、参加した仲間によると、この日も最高だったとのこと(羨ましい!)。そしてこの場所、実は昨年秋に来たときに、BMW BIKES Vol.65 に掲載した冒険の旅で写真を撮った場所でした。紅葉とまた違った緑のインパクト。見たかった!
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28遠くに見える大きな町は県庁所在地の盛岡だそうです。天気が良ければ真正面に岩手山がドカンと見える絶景ポイントだそうです。
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29そしてここは岩洞湖。湖の周りの林道は昨秋の取材時に走りました。その時も参加したメンバーの話によると、あのときよりもずいぶん水量が多く、湖面に近い場所で撮影した浜辺まで水位が上がっていたそうです。あぁ、また行きたい、岩手! 行くぞ、東北。
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30どんな場所へも連れて行ってくれる R 1200 GS アドベンチャー。今回、このバイクの良さをタップリ楽しみ、心からほしい、と思いました。ちょっと前なら考えられないことですが(笑)。
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31参考に、コマ図ツーリングの準備形態をいくつか紹介します。配布されるマップは A5 サイズです。お手製のマップホルダーを製作してくるライダーも。タッパウエアなどの素材を使い、アイディアしだいで形もいろいろ。100円ショップで材料を仕入れて製作するライダーもいました。
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32マップをそのままジップロックなどのビニール袋に入れ、防水効果とばたつきを押さえた状態でウインドスクリーンにクリップで留める簡易版でコマ図ツーリングをする人も。これでも構わないんです。楽しめれば。
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33そして馴れた参加者になると、こうしたマップホルダー&トリップメーターを装備して挑みます。コマ図にはスタートからの積算距離と曲がるポイントを略式図化したイラスト、前回のポイントからの区間距離、通過目標時間などが書かれています。
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34マップホルダーに収めるため、配布されたコマ図を1枚1枚テープなどで繋げ、長い巻物状にします。そしてマップケースに巻き付け、走りながらそれを確認して走ります。この作業は本各的なラリーと同様だそうで、GS トロフィーでその世界を体験できるわけです。
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35参加のカタチは個人でも可能ですが、毎回多くのディーラーがお客さんと一緒に参加しています。つまり、お店でもエントリーが可能というわけです。ディーラーの多くが自前のテントを立て、イベントに参加するライダーたちをサポートしていました。お店からエントリーする強みでしょう。
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