VIRGIN BMW | 2014 MFJ全日本ロードレース選手権 第4戦『SUGOスーパーバイク120miles耐久レース』 トピックス

2014 MFJ全日本ロードレース選手権 第4戦『SUGOスーパーバイク120miles耐久レース』

  • 掲載日/2014年07月04日【トピックス】
  • 取材・撮影・文/安藤 正和(Office25)
2014 MFJ全日本ロードレース選手権の画像

第3コーナーを駆けおりる寺本選手とHP4。

52周194kmの予定が、降雨のため40周に短縮
背中の骨折に、川のできた路面という過酷なレースに挑む

前戦のツインリンクもてぎでは、第2コーナーでハイサイド。路面に激しく叩きつけられ、バランスを失ったマシンにも接触してしまった寺本選手は、背骨の一部を骨折、肺に血液が溜まるという重症を負い、ドクターヘリで病院へ。手術、集中治療室、リハビリを経て、ここSUGOから復帰となりました。

とはいえ、ケガからまだ1カ月足らず。本人は50%の回復と笑いますが、「大丈夫?」とファンとスタッフの口からはケガを心配する声ばかり。「大丈夫です。ひとりで走り切ります」という寺本選手のレースにかける情熱に引っ張られるように、チームも奮起し参戦を決意。しかし第3戦SUGOは、『SUGO 120miles』と称するセミ耐久レースで、通常レースの2倍近い走行距離=52周194kmを走破しなくてはなりません(降雨のため、40周に短縮)。

今回は満身創痍の寺本選手と、それをサポートする『Team Tras 135HP』が挑んだ『全日本ロードレース 第4戦 SUGO』をフォトレポートします。

フォトTOPICS(写真点数/19枚)

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01SPコーナーアウト(アウトは出口の意味で、複合コーナーの2つ目を指す)を脱出する寺本選手。
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02金曜日の練習走行はドライに。「病み上がりなので、寺本選手自身が“ナラシ”の状態です」(武藤監督)
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03少しずつレース感覚を探ることになった第1セッションの様子=バンク角がやや浅い。
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04寺本選手の相棒、HP4。
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05今回から装着されたニッシン製のレーシングブレーキキャリパーとブレーキパッド。
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06『SUGO 120miles』は、通常より走行距離が長いため、途中の給油が必須。クイックチャージャーを持ち込んだ。
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072日目土曜日の予選は、あいにくのウエット路面。レインウェアを着てピットアウトする寺本選手。
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08雨中のシケインをクリアする寺本選手。
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09『Team Tras 135HP』を支えるべく、全国のBMW Motorradディーラーが協力参加。
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10モーターサイクルシケインを立ち上がる寺本選手。
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11雨天用クリアシールド越しに見える寺本選手の表情。
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12「ウォームアップで別のセッティングに振ってみましたが、失敗でした」と語る寺本選手のマシン状態。
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13「背中の痛みが少し辛いんです」と語る寺本選手。
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14『SUGO 120miles』は、ル・マン式のスタートを採用。スタート直後の寺本選手。
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15痛みを堪えながらのフルブレーキングでハイポイントコーナーに進入する寺本選手。
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16HP4の加速に耐える寺本選手。
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17S字コーナーを立ち上がる寺本選手。
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18第2コーナーを旋回する寺本選手。
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19第3コーナーを駆けおりる寺本選手とHP4。

『Team Tras 135HP』 寺本幸司選手

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【予選を終えて】

「ケガの回復具合は50%といったところです。集中治療室から出てからまだ1カ月弱。まだ背中の骨もくっついていない状態でのレース復帰となります。ウエット路面に対応するDDCのデータがないため、今回はドライ用のセッティングにDTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)を導入して対応しています。これが意外に調子が良くて、雨でも乗りやすいバイクに仕上げることができました。120miles(194km)、52周は、病み上がりの僕にとってキツイレースになりそうですが、頑張りたいと思います」

【決勝レース後】

「決勝前のウォームアップで予選とは異なるセッティングを試してみましたが、うまくいきませんでした。このつまずきが決勝に響き、足まわりに苦しみながらレースをすることになりました。加えて、終始背中の痛みがひどく、苦しいレースを強いられました。そんな悪条件の中でもレースを完走し、ポイントをあげることができて良かったと感じています」

『Flex D.R.E.Motorrad39』 酒井大作選手

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「今回は体調面を考え、欠場することになりました。オートポリスで負った肩甲骨の骨折、ツインリンクもてぎでの右足親指靭帯断絶の回復が思わしくないこと、今回のレースが120miles=200km近いセミ耐久であること、鈴鹿8耐が控えていることがその理由です。第2回鈴鹿8耐合同テストより復帰しますので、応援をよろしくお願いします」

『Team Tras 135HP』 武藤昇監督

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【予選を終えて】

「金曜日の一回目の走行を終えた寺本選手に『今日のマシンは良い! どこを変えたんですか!?』と言われ、セッティングに手ごたえを感じました。天候が悪化し、ウエットになった土曜日は、DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)を投入しました。このDTCは、電子制御でトラクションを操る装置です。雨の路面でアクセルを開けた際にタイヤがグリップを失って空転するのを防ぐよう出力を制御します。雨が予想される決勝でもこのDTCを使用する予定です」

【決勝レース後】

「寺本選手は侍だ! 傷ついた身体でレースに参戦。鎮痛剤で痛みを堪えながらキッチリと仕事をしてチームにリザルトとポイントを与えてくれました。今回のレースはすべて彼のおかげでした」

『Team Tras 135HP』 岩間雅司 氏(Motorrad SUZUKA)

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「DDCに関して、今までは手探り状態でセッティングを進めてきました。大きくセッティングを振ってどんな挙動が出るのか、また逆にするとどうマシンが動くのか、試行錯誤の毎日でした。0の状態からデータを収集し、蓄積した結果、このSUGOで基本となるセッティングが見えてきました。今回は、この基本となるセッティングの細部を詰める作業を進めています」

『Team Tras 135HP』 高橋達也 氏(Moto Park)

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「今回のレースはセミ耐久。リアタイヤの交換があり、私が担当します。今回、HP4にニッシン製のレーシングブレーキキャリパーとパッドを装着しました。しかし基本的にこのバイクは市販車のままで、ほとんど手を加えていません。つまり一般の方でも、寺本選手が戦うマシンと同じものが手に入れられることを意味します。完成度の高いこのマシンのポテンシャルを引き出すことが私たちメカニックの仕事です」

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