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【海外試乗速報】BMW F750GS メディア向け発表会

  • 掲載日/2018年04月14日【トピックス】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  文/河野 正士

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あらゆるシチュエーションで
高次元のバランスの良さを見せるオールラウンド・プレーヤー

Fシリーズに“GS”がラインナップされたのは2000年。“ファンデューロ”という愛称が付けられた、排気量650ccの単気筒エンジンを搭載した「F650」からのエンジンは基本設計こそ変えなかったものの、パフォーマンスを高め、フレームは新開発のアルミツインスパーを採用するなど元来の扱いやすさを維持したまま、オフロード走行におけるポテンシャルを大幅に高めた。またFシリーズが並列二気筒エンジンを搭載した2007年以降は、エンジンとフレームは共通ながら、オフロード走行に特化した「F800GS」と扱いやすさを重視しBMWユーザーの新規開拓を目指した「F650GS」の2モデル構えとなった。今回のFシリーズのフルモデルチェンジにおいても、その2モデル構えは継続。「F850GS」と「F750GS」がラインナップされた。

「F750GS」は、GSファミリーはもとよりアドベンチャーカテゴリーや、さらには大型バイクの登竜門的位置づけとなるモデルだ。日本国内には導入されないが、欧州では最高出力を抑えることで、若者や免許保有年数が短い初心者ライダーが購入できる“A2ライセンス”対象車両も製作される。

「F750GS」は、F850GSと共通のエンジンとフレームを持つが、エンジンコントロールユニットなどのセッティング変更により最高出力と最大トルクが抑えられている。また舗装路の走行に特化するため前後にキャストホールを履き、フロントには19インチ・サイズを使用。フロントフォークも正立タイプとなる。

しかし両車のフィーリングに、さほど大きな差を感じなかった。確かにスペック上では、850に比べ「F750GS」は最高出力/最大トルクともに20%ほど低く設定されているが、それぞれの発生回転域が10%ほど低く設定されていることから、高回転までエンジンを回さずとも車体を前に押し進めてくれる。したがってエンジンを回さずともしっかり速い。そんな走りが実現できるのだ。もちろんこの感覚には、新たに採用した270度クランク特有の出力特性も影響しているだろう。また19インチのフロントタイヤのハンドリングも自然で、ワインディングではネイキッドバイクに乗っているかのようにスポーツライディングを楽しむことができた。

BMWの2018年モデルを象徴するカラーであるオースティン・イエローメタリックを採用。GSらしさを受け継ぎながら、より都会的なスタイルに仕上がっている。試乗会の拠点となったのは、スペイン・マラガ郊外のゴルフ・リゾート。

ディナー前に行われた“エキスパート・トーク”。一堂に会したジャーナリストを前に、スライドなどを使いながら車両を説明するのではなく、車両/アクセサリー/マルチファンクションディスプレイの解説と3つのパートに分け、それぞれのパートを3分割されたジャーナリストたちが巡回しながら解説を聞くというワークショップスタイルがとられた。もちろん試乗会の全行程に様々な開発者が同行するので、あらゆるシチュエーションで、そして気軽に開発者たちに話を聞くことができる。

快晴となった試乗会2日目。夕方のフライト前まで「F750GS」をワインディングで走らせることができた。フロントのサスペンション形式やホイール径、また最高出力や最大トルクなど、850からの変更点をスペック上で見るとその違いは大きいが、走らせてみるとそれほど大きな違いを感じさせない。ワインディングや市街地で扱いやすく、また大きな曲率のカーブが連続する高速コーナーでの安定感も抜群だった。

佇む姿はじつにコンパクトだ。それが850cc並列二気筒エンジンを抱くアドベンチャーモデルであることを考えると驚くほどだ。エンジンはシリンダーをブラックアウトすることで存在感を消し、またそのエンジンをつり下げるブリッジフレームも同様にブラックアウトする、デザイン的処理も効いている。

スチール製のブリッジフレームの構成がよくわかる。フレーム材は鋼鈑を折り曲げ、ベルリン本社工場内の自動溶接機で仕上げた中空構造。鋼管を組み合わせたトレリスフレームに比べ製造工程が簡略化できることはもちろん、より軽量で高剛性に仕上げることができるという。

逆回転270クランクを採用した新型エンジン。クランクケース内にオイルタンクを持つドライサンプとすることで軽量小型化が実現している。なぜ270度クランクを採用したかという我々の問いに開発者は、真っ先に排気音だと答えたのには驚いたが、くわしく話を聞けばその真相はトルクだという答えに行き着いた。したがって排気量拡大にあたっても、いたずらにボアを広げるのではなく、長いストローク量を確保し、それによって生みだされる豊かなトルクを狙ったという。

850と同じエンジンと車体、そしてボディパーツを使用しながら、オンロード走行に特化したディテールを持つ「F750GS」。ホイールベースは、850より34mm短い1,559mm。装備重量も5kg軽い224kgとなる。

LEDのヘッドライト、デイタイム・ランニングライト、ウインカーのデザインや配置、そして外装類も共通。しかしF750GSは小振りなスクリーンを採用する。

ブラックアウトされたボディパーツは、艶消しやパターンの異なる梨地仕上げなど、素材の表面処理を変えることで同じブラックでも異なる表情を生み出している。

ボア84mm/ストローク77mm/排気量853ccの新型エンジンは850と共通。90度位相した270度クランクや、270/450度の点火タイミングも同じだ。しかしセッティング変更により、最高出力は77hp@7,500rpmに、最大トルクは83Nm@6,000rpmに抑えられている。

F750GSは前後ともにキャストホイールを装備。フロントには19インチホイールを装着する。またフロントフォークはφ41mmの正立タイプ。151mmのスプリングトラベルを確保する。

リアは、ホイールサイズおよびタイヤサイズともに850と同じ。両持ちタイプのアルミ製スイングアームも共通だが、リアサスペンションのスプリングトラベルは850から42mm短い177mmとなる。

リンクを持たない直押しタイプのリアサスペンションはZF製。850と外観的な違いはない。この赤いスプリングはESA(エレクトリック・サスペンション・アジャストメント)を採用している証拠だ。

F750GSではオプション設定となる6.5インチのTFTフルカラーディスプレイ。その機能や設定方法、またグリップ周りの設定ボタンやSOSボタン機能などは850と共通となる。

F750GSにもギアシフト・アシストプロを装備することができる。スイングアームピボットやエンジンマウントを兼ねるステッププレートも850と共通だ。

ESA/エレクトリック・サスペンション・アジャストメントの油圧プリロード調整用タンク。ESAの装備を選択すると、車体左側のタンデムシート下側付近にこのタンクが装備される。

足つき確認に使用した車両は、シート高815mmの標準シートを装着。ライダーは身長170cm、体重68kg。両足のかかとが少し浮くものの両足をしっかりと地面に着けることができる。

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