VIRGIN BMW | 【BMW Motorrad新型R 12 G/S 海外試乗記】レトロなルックスに本気の性能。空油冷ボクサーを愛するあなたへ── 試乗インプレ

【BMW Motorrad新型R 12 G/S 海外試乗記】レトロなルックスに本気の性能。空油冷ボクサーを愛するあなたへ──

  • 掲載日/2025年07月02日【試乗インプレ】
  • 取材協力・写真/BMW Motorrad  取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI

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BMW Motorrad R 12 G/S(2025)
BMWから空油冷ボクサーを搭載したニューモデル「R12G/S」が登場。本国ドイツ・ミュンヘンで開催された国際メディア試乗会からケニー佐川がレポートする。

BMW Motorrad R 12 G/S(2025) 特徴

あの名車の血統が最新スペックで蘇る

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BMWが1980年に世界初のアドベンチャーバイクとして世に送り出したのが「R 80 G/S」。車名のGはオフロード、Sはストリートを意味し、当時“世界一過酷”と謳われたパリ・ダカールラリーで華々しい戦績を残した名車である。その伝説のスタイルと、オン・オフを問わず走破できる多目的性能を現代の技術で再現したのが「R 12 G/S」だ。

心臓部にはR12 nineTゆずりの1170cc空油冷ボクサーツインを搭載。2010年にツインカム化された後期型エンジンの流れをくむもので、最高出力109psと数値は控えめだが、低回転域から粘るような出力特性とマイルドなフィーリングで、扱いやすさは折り紙付き。特にビギナーにとっては、穏やかな鼓動感が頼もしく感じられるはずだ。

駆動方式はBMW伝統のシャフトドライブを採用。専用設計のスチール鋼管フレームに、BMWアドベンチャー史上屈指のロングストローク・サスペンションを前後に組み合わせ、ホイールは21インチ(フロント)/17インチ(リア)のワイヤースポーク仕様。本格的なダート走行にも十分対応する構成となっている。

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電子制御も抜かりなく、3つのライディングモード(レイン/ロード/エンデューロ)に加え、コーナリングABS、DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)、MSR(モータースリップレギュレーション)を標準装備。これらすべてが手元スイッチで簡単に操作できるのもポイントだ。

さらに今回試乗した「エンデューロ・パッケージ・プロ」仕様には、リア18インチホイールにオフロードタイヤ、大型エンジンガードやハンドガード、20mmアップのバーハンドルライザーなど、ガチ仕様の装備が満載。BMWの本気度が伝わってくる内容だ。

BMW Motorrad R 12 G/S(2025)試乗インプレッション

構えなくてもいい“気軽に乗れるGS”

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長年、BMWアドベンチャーシリーズの象徴であり続けたボクサーエンジン──R 12 G/Sの空油冷ボクサーもそんな歴史の重みと温もりを感じさせてくれる。最新の水冷ではないが、むしろそれがこのバイクの“味”。109psの出力は必要にして十分であり、実際に乗ると低中速のトルクが頼もしく、穏やかでフレンドリーな性格が光る。

最初に乗ったスタンダード仕様はリア17インチにオンロードタイヤを履いていたが、空冷ボクサーの穏やかなパワーと軽快なハンドリングが親しみやすく、コーナリングもしなやか。R1300GSのような怒涛のパワーやガッチリとした剛性感ではないが、むしろ安心できる乗り味である。車重も229kgとR1300GSと比べて-8kgしか変わらないのに、だいぶ軽く感じるのはネックの高さとタンク周りの作りがコンパクトなせいかもしれない。

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試乗車にはオプションのクイックシフターやクルコン、グリップヒーターなども装備され、荒れたアスファルトでも長い足と座り心地の良いシートが路面からのショックを吸収してくれるので快適だった。さすがに高速では風の抵抗は受けるが、週末のツーリングなら何の不満もないだろう。

ダートも本気で楽しめる“走りのレトロ”

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続いてBMW専用のオフロードコースでR 12 G/Sを走らせた第一印象は、「見た目以上に走れる」バイク。ヒルクライムやガレ場、砂地なども走ったが、走破性も高くハンドリングも安定している。フロントサスペンションがBMW十八番のテレレバーではなく通常のテレスコビックという馴染みやすさもあるかも。加えて軽量スリムな車体とフロント21インチにロングストロークの前後サスによる走破性はかなりのものだ。

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コースを出て郊外のトレイルではフラットダートや林道もハイスピードで駆け抜けたが、コーナリングABSやトラコンのお陰で安心してスロットルを開けられた。さらにダート感覚に慣れるにつれ電制の介入が最小となる「エンデューロ・ブロ」モードに切り替えてみたが、軽いテールスライドや路面をかきむしって砂埃を上げる快感に酔いしれることができた。そして、締め括りにミュンヘン郊外の丘陵地帯をショートツーリング。森を越え、川を渡って、草原を駆け巡る最高のアドベンチャー気分を味わうことができたのだった。 唯一、かつてのフラットツインの定番だった乾式単板クラッチは発進時のつなぎに多少デリケートさが必要なのと、低速であまり半クラを使いすぎると焼けてくるのが難点。ただ、1速がワイドで粘るのでオフロードでの幅広いレンジをカバーしてくれるし、小回りする以外、半クラはほとんど使わずに済んだ。

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まとめると、R12G/Sはレトロなスタイリングにシンプルな扱いやすさ、現代的な電子デバイスを過不足なく備えた、丁度いい加減のアドベンチャーが欲しい人にはうってつけだろう。加えて空油冷ボクサーが好きならばコレに決まり。自信を持っておすすめしたいモデルである。

スタイリング

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オフロード用の試乗車は、リア18インチにブロックタイヤ、各種ガード類にスパイク付きステップなど装着した「エンデューロ・パッケージ」仕様。白が基調のメインカラーはタンクのグラフィックや赤シートを含め、初代R80G/Sを忠実に再現している。

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オンロード用の試乗車は、鍛造パーツや専用シート&カラーで仕上げられた「Option 719」仕様。今回はリア17インチにオンロードタイヤでの設定で、サンドカラーはダカールラリーにインスパイアされた本物のオフロードキャラクターを表現している。

BMW Motorrad R 12 G/S(2025)詳細写真

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空油冷水平対向2気筒DOHC4バルブ排気量1170ccから最高出力109ps/7000rpm、最大トルク11.7kg-m/6500rpmを発揮。スペックはR12 nineTと共通だ。2010年にツインカム化されたR1200GS後期型から発展した信頼性の高いユニット。

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R80G/Sをオマージュしたビキニカウル付き丸型ヘッドライトは、アドベンチャーをアピールするXデザインのDRL付きヘッドライトを含め、灯火類はフルLEDと現代的だ。

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オフロード走行を想定したフラットな形状のフューエルタンク。容量は約15.5 LでWMTC準拠での燃費は19.6 km/L。計算上ではフルタンクで300km走破できる。

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「Option 719」オプションに含まれる専用カラーのタンデムシート。高品質な作りで座り心地も上質だ。

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210㎜の豊富なストローク量を誇るφ45㎜倒立フォークを採用。プリロード調整の他、ダンパー調整は左右に伸び側と圧側を分けたタイプになっている。

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リア側も200㎜のストローク量を確保した全調整タイプのマルゾッキ製。最低地上高も240㎜を確保しダートでの走破力も本格的だ。

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ブレンボ製2Pキャリパー&ダブルディスクに前後連動タイプ(パーシャリー式)のABS プロを標準装備し、コーナリング中での安全性も万全だ。

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シャフトドライブにテールリフトを緩和するパラレバーを組み合わせたBMW独自のリアアームも健在。メンテフリーでダートでの汚れに強いのもメリットだ。

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標準仕様のソロシート。シート高は後輪が17インチ仕様で860㎜、18インチ仕様で875㎜となる。オプションのラリーシート(同880/895㎜)も選べる。

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「エンデューロ・パッケージ・プロ」に含まれるオフロード用ステップは幅広のスパイク付き。普通の靴底だと穴が空きそうだ。先端のペグは手で90度回転させれば、簡単に立ち乗り用に高さ調整可能だ。

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同様にタイヤもメッツラーのアドベンチャー用「Karoo 4」がセットされる。標準仕様はオン・オフ対応の「Karoo ストリート」を採用。

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機械式ステアリングダンパーを装備し高速走行時のスタビリティを確保。シンプルだが信頼性が高くオフロードでも自然なフィーリングだった。

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レトロな雰囲気に似合うシンプルな丸型シングルメーターを採用。アナログ速度計の内側にABSやトラコンのインジケーター、下側のLCDディスプレイに回転数や距離、ギア段数、ライディングモードなどの情報を表示。

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試乗車はフルオプション仕様になっていて、「コンフォートパッケージ」に含まれるクイックシフターやクルコン、グリップヒーターなども装備。BMWお馴染みのマルチコントローラーをくるくる回して素早くメニューを呼び出せる。

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