VIRGIN BMW | 正しい鼓動を刻むために電装系の傷み具合を点検 R1100/1150GS基礎メンテ

正しい鼓動を刻むために電装系の傷み具合を点検

  • 掲載日/2011年04月01日【R1100/1150GS基礎メンテ】
  • このコンテンツは BMW BIKES Vol.50 掲載の記事を再編集したものです。
    文・写真/ BMW BIKES  構成 / VIRGIN BMW.com

R1100/1150GS 基礎メンテ【エンジン電装】編

R1100/1150GS基礎メンテの画像

スパークプラグの点検と交換

1100と1150前期のエンジンは普通のシングルプラグだ。
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プラグコードを外す

車載工具のフックを使ってプラグコードを引き抜く。張り付いていることが多いので慎重に。抜けた勢いでコードを切らないように注意する。
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プラグカバー取り外しのポイント

プラスチックのカバーは、後部を支点に前部から外す。取り付けも後部を支点に前部をはめ込む。手順を間違えると走行中に脱落する。
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1150後期型エンジンの場合

ツインプラグの1150後期エンジンで手順を説明する。カバーをマイナスドライバー等で慎重に外し、取り付けは普通にはめこむだけ。
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コネクターの取り外し

イグニッションコイルが直接プラグにかぶさる、ダイレクトイグニッションである。コイルにつながる配線コネクターを慎重に外す。固定ツメが折れやすいので注意。
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イグニッションコイルを抜く

こちらも車載工具のフックを使って慎重に引き抜く。フックが滑りやすいので、長めのマイナスドライバー等で補助する。けっこう固いことがあるが、無理矢理こじって抜くとコイルやプラグが折れることがある。
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イグニッションコイル本体

現在、BMW全車の点火系はすべてダイレクトイグニッションを採用している。もはや、いわゆるプラグコードは存在しない。
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プラグホールの清掃

プラグホールの中は砂などの異物がたまっていることが多い。プラグを外す前に高圧エアで入念に掃除する。プラグの相手側である、コイルやコード側も同様に掃除する。本来ならエアコンプレッサー無しでプラグを外すべきではない。
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ディーラーでは特殊工具を使用

ツインプラグのうち、中心側はプライマリーイグニッションと呼ぶ。プラグの周囲にはあまり空間がないので、市販のプラグレンチでは奥まで入らないことがある。これはBMW特殊工具のプラグ専用レンチである。
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車載工具のプラグレンチ

車載工具のプラグレンチは薄く造ってあり狭い空間でも使える設定であるが、それでも個体差によっては奥まで届きにくい事がある。
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セカンダリーイグニッション

シリンダーヘッド下部には二つめ(セカンダリーイグニッション)のプラグがある。こちらは、ダイレクトイグニッションではない。1200系からはダイレクトイグニッションになった。
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手順はプライマリーと同様

指でキャップを外し、こちらも高圧エアで清掃のうえプラグを外す。もう片方のシリンダーのプラグも同様の手順で外す。
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似て異なる2本のプラグ

プライマリーとセカンダリー、2本のプラグの二面幅は16mmで同じだが、ネジ径や先端形状が異なる。電極は両方ともツインタイプで、燃焼効率に気遣っていることがわかる。
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プラグ交換の見極め

焼け方は、プライマリー側(画像右)は白く、セカンダリー側が黒いのが普通。ワイヤーブラシによる掃除はしない。掃除したところで寿命を縮めるだけだ。必要なら新品に交換する。電極ギャップは通常0.8mm。使用限界が1.0mmだが、消耗で判断するより10,000kmまでに交換しておきたい。外したら交換、または交換のために外すという考え方が正しい。意味もなく、なんとなく外して見てみたいというのは無用なトラブルの元。
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取り付けにはグリスを塗布

新品プラグ。1100系はボッシュのFR6DDC、1150はBKR7EKC。ツインプラグのセカンダリー側はYR6LDE。ネジ山には耐熱性で熱伝導性の高い(カッパーやモリブデン系)グリスを薄く塗る。ネジ山のかじりや錆を防ぎ、気密や放熱性を高めるためだ。締め付けトルクは25Nm。締めすぎは良くない。プラグ内部断裂の原因。
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プラグを取り付ける

イグニッションコイル(またはプラグコード)とプラグの接触面には、密閉度と防水性を高めるためにシリコン系の耐熱グリスを薄く塗る。
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耐熱グリスを塗る

コイルとヘッドカバーの接触面にも同様のグリスを塗る。張り付きを防ぐ意味もある。以降、逆の手順で取り付けていく。
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イグニッションセンサー

クランクシャフトの位置信号を読み取るのはクランクシャフト最前部のイグニッションセンサーである。古くなるとこの部品が壊れる事があり、このタイプのエンジンで、急にエンストしたときは真っ先に疑うところ。ただし、目視点検での良否の判別は困難。
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エンジン過熱に注意

これは壊れた例。長時間のアイドリング放置でエンジンを過熱させてしまい、配線の皮膜が溶けてショートさせてしまったのだ。
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オルタネーター(発電機)

1100/1150系のオルタネーター(発電機)の信頼性は非常に高く、滅多に故障しないが、ベルトを張りすぎるとベアリングを痛める事がある。
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ベルトの点検

クランクシャフトからベルトで駆動される。定期的にベルトの状態や張りを点検・調整する。調整具合は裏側からトルクレンチで確認する。そうそう伸びて緩むものではないので、下手に手を出すところではない。
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ベルト交換の目安

始動直後にエンジン前部からかん高い異音がする場合、大抵はこのベルトのスリップである。ベルトが少しでも暖まれば正常化するのでとくに問題はない。ベルトは40,000kmごとの交換が指定されているが、それに至らなくても年月が経過した場合はメカニックの判断で交換する。
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劣化したベルト

点検・交換を怠ると、このように硬化してヒビ割れ、表面が剥離。いずれは完全にスリップするか破断する。ベルトが切れると発電できなくなるので走行不能に。
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回らないスターターモーター

バッテリーはフル充電だが回らない。
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不具合の原因を探る

エンジンから外して、バッテリー直結でも動かない。分解してみよう。
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トラブルの原因判明

マグネットの剥離であった。2バルブ系ではよくあったが、4バルブ系では珍しいケースだ。

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