VIRGIN BMW | #09 Team Tras 8耐直前情報! S1000RRの楽しみ方

#09 Team Tras 8耐直前情報!

  • 掲載日/2011年07月27日【S1000RRの楽しみ方】
  • 文・写真/淺倉 恵介
S1000RRの画像

鈴鹿8耐に向け忙しい日々を送っている高田さん。今回は S1000RR を耐久レーサー化させるため、欠かせないパーツを求めて BITO R&D を訪問。“世界のJB” とのコラボレーションで、S1000RR がどう変わるのだろうか…?

8耐目前、テストは大詰め
ガンバッテます 【Team Tras】

7月12日、13日に鈴鹿サーキットで8耐に向けたテストを行ってきました。メディアなどで伝えられていますのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、先立って行われた公開テストで、我々 【Team Tras】 は一時トップテンに入るなど良いタイムを記録しました。となると、今回はどんな好タイムで走ったのかと思われるかもしれませんが、残念ながらタイム的には前回に遠く及ばないものでした。ですが、テストの内容が悪かったわけではありません。

と言うのも、その理由がハッキリしているからです。今回は新しいパーツを多く試しており、なかでも大改変といえるのがリアショックのリプレイスでした。今回のテストから、リアのショックユニットに WP を使用することになりました。WP はオランダのサスペンションメーカーで、WSBK をはじめとして数々のレースで好成績をおさめてきたトップメーカーです。S1000RR に使用するのは初めてでしたが、基本性能は充分高いという確信を得ることができました。ここからはセッティング次第ですし、その方向性は確認できたので、8耐までにはバッチリ仕上げたいと思っています。

今回のテストではトラブルで走行時間が削られたりもしたのですが、それもテストとしてはアリです。むしろ本番前に問題点が出てきてくれてありがたいくらいです。8耐決勝までに、きっちりと対策すればよいだけのこと。前回の公開テストが順調すぎただけで、レースというのはトラブルがあって当たり前。長丁場の耐久レースでは、その可能性がますます高まります。その予行演習ができたと考えれば、逆にラッキーとも言えるのです。

実はいま、8耐用のレーサーを新たに1台組んでいます。とは言うものの、パーツのほとんどは手持ちの部品。正確にいえば “組み直している” ということになるかもしれません。ですが、これまで得たデータとノウハウを注ぎ込んでいますから、間違いなく戦闘力は上がるはずです。8耐決勝まで、あとわずかです。レースまでにやらなければならないことは山積みですが、僕のテンションも急上昇しています。8耐では、全力を尽くしベストな走りをお見せすることを読者の皆さんにお約束します。皆さん、僕たち 【Team Tras】 に熱い声援をお願いします。

S1000RRの画像
S1000RRの画像
テスト日は気温が30度を優に越え、路面温度も50度近くまで達した。8耐の予行演習として最高の気象条件だったが、炎天下を走るライダーにかかる負担は大きい。疲労度は8耐決勝さながらだ。テスト中は頻繁にピットインし、マシンのセッティングを変更。ピットイン毎にライダーとスタッフがかけより意見が交わされる。そうしてセッティングが煮詰められ、マシンはレーサーとして仕上げられていく。

頼れる相棒、寺本幸司選手
ベテランの語るTeam Tras

今回の8耐で高田さんとペアを組むことになった寺本幸司選手。寺本選手は全日本 ST600 などで活躍、開発ライダーとしての経験もあり、2009年の8耐では5位入賞も果たしている実力派。現在は FIM 世界耐久選手権を中心にレース活動を行っているが、今年の鈴鹿8耐は 【Team Tras】 のライダーとして参戦。先日行われた8耐公開テストで、いきなり2分13秒320という好タイムを叩き出し周囲の度肝を抜いた。その寺本選手は、S1000RR と高田速人という男をどう見ているのだろうか?

「S1000RR に乗るのは、今回のテストでまだ3回目なんです。でも、もっともっと速くなる感触は掴んでいます。エンジンは充分に速いし、電子デバイスがしっかりと機能している。ほとんどノーマルなのに、これだけ走ってしまうのはスゴいですよ。キャパシティの大きいバイクだなと感じています。

今回のテストでは良いタイムは出せませんでしたけど、リアショックをチェンジして初めての走行ですから当たり前のことです。サスペンションのセッティングは時間がかかるものですからね。それに、方向性は見えたのでテストとしては上々の結果が得られたと言っていいでしょう。トラブルも出ましたけど、本番前に問題点の洗い出しができたので、逆に良かったと思います。

セッティングの方向性については、高田選手と意見がピッタリと合うのでやりやすいですよ。自分と高田選手の乗り方はかなり違うんですけど、バイクに対する評価やインプレッションにズレがない。これは耐久でコンビを組むには良い組み合わせだと思います。高田選手の開発能力は素晴らしいですね、コメントは的確だし、常に冷静な判断ができる。人間としても真面目でいいですよね。いつも朗らかですけど、物事をいい加減に済まさない。走るだけじゃなくてメカニックも自分でやってしまうし、とにかくタフ。高田選手とのお付き合いはこの8耐が初めてですが、良い人と出会えたと感じています。

良い出会いといえば、この 【Team Tras】 とも同じことが言えますね。このチームで走るのはとても楽しい。皆さんレースのプロではありませんから、それは至らない点もあるかもしれない。けれど、チームのメンバーが互いにリスペクトし合っているのが感じ取れる。同じ目線で、8耐というひとつの目標に突き進んでいる。団結心はよそに全然負けてない。雰囲気も非常に良いチームですから、とても気持ちよく走れるんです。

今回の8耐は、自分にとってもチャレンジなんです。知らないバイク、知らないスタッフ、新しいことだらけですから好奇心に火がつきましたね。不安なんか感じません、“ワクワク、ドキドキ” しかありませんよ。この8耐を終えたら、いろいろなものを得ているだろうなと自分でも期待しているんです。」

やる気十分の寺本選手。その寺本選手について、高田さんはこう語る。

「寺本選手はとても経験が豊富ですし、バイクの造り方を良く知っているなあと感心しています。やはり開発ライダーを経験してきただけのことはありますよね。セッティングについても、バイクに対する評価が同じ方向を向いているのでとてもやりやすい。関西人らしい明るいノリで、楽しい方ですしね。チームを組めて良かったなあと思います。ライダーとしては良い意味でライバル心を持っています。今のところチーム内のベストタイムは寺本選手が記録していますから、第1ライダーとして負けてはいられません。こういう風に気持ちよく競い合えるのは久しぶりだなあと感じています。8耐が楽しみです。」

S1000RRの画像
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寺本 幸司 Koji TERAMOTO

1971年9月28日生まれ。国際ライダー。全日本ロードレース選手権ではST600を中心に活躍、最高ランキングは2005年、2006年の年間ランキング5位。2009年の8耐では一時トップ3を走り、5位入賞を果たした実績を持つ。昨年から世界耐久選手権に参戦を開始。今年もボルドール24時間耐久レースに参戦、完走を果たしている。世界耐久選手権参戦にあたり、『サムライジャポン』プロジェクトを立ち上げレース活動を行っている。クランクケース内圧コントロールバルブ『T-REV』の開発者としても知られている。2011年の8耐は 【Team Tras】 の一員として、S1000RRを駆って挑む。

フレッシュな第三ライダー
片平亮輔選手

第3ライダーは若干22歳の新鋭、片平亮輔選手。片平選手は高田さんのチーム 【8810R with MCR】 から、MFJ全日本ロードレース選手権の JSB1000 クラスにエントリー中。昨年は ST600 クラスを走っていて、今年トップカテゴリーである JSB1000 にスイッチ。ベテランである高田さんの指導を受けつつ、レース活動を行っている。高田さんとは師弟関係にあるライダーだ。8耐チームへの参加も初体験という片平選手に、S1000RR の印象と、8耐への意気込みを聞いてみた。

「普段レースで使っているのがホンダのマシンですから、なかなか難しいですね。S1000RR で走ったのはわずかな時間ですし、まだ乗り方が掴めない。タイムも出せていません。でも、切り返しとかはスゴく軽くて速いという感触は得ています。1コーナーからダンロップまでの区間はかなり速いですよ、乗り馴れている自分のレーサーより速く走れるぐらいです。S1000RR は切り返しの多い鈴鹿のコースレイアウトに合っているマシンかもしれませんね。

自分は第3ライダーとしての登録になりますから、実際に決勝を走るかどうかは現時点ではわかりません。でも、高田さんからは 『いつでも行けるように準備はしておけ』 と言われていますし、もちろんそのつもりで心構えはしています。自分の出番があった時には、第3ライダーとして確実な仕事ができるように考えています。まずは転倒せずに次のライダーに無事マシンを渡すこと、その上で順位アップに貢献できたらいいですね。とにかく焦らず確実に走る、初めての8耐ですし、いろいろと勉強したいと思います。」

そんな片平選手を見る、高田さんの視線は厳しくも暖かい。

「亮輔は若いライダーですから、全てにおいて経験が足りない。今はとにかくいろいろなコトを経験させてやりたいんです。今まではお仕着せのレーサーばかり乗ってきたから、今回の S1000RR のように1からマシンを仕上げることも彼にとっては初体験でしょう。また耐久レースのチームに、一人のメンバーとして参加するというのも重要です。スプリントレースも一人では出来ませんが、耐久レースはよりチームとしての力が重要になってきます。チームのために自分を犠牲にするような場面もあるかもしれません。そういうことを含めて、耐久レースを体験して欲しい。この8耐は亮輔にとって、とても大切な経験になるはずなんです。」

S1000RRの画像
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片平 亮輔 Ryosuke KATAHIRA

1988年11月16日生 国際ライダー。2006年にミニバイクレースを始め、2009年からロードレースにスイッチ。2010年の東日本チャレンジカップ第2戦もてぎ大会ST600クラスで優勝、国際ライセンスへの特別昇格を果たす。2010年はMFJ全日本ロードレース選手権と、東日本チャレンジカップのST600クラスに参戦。2011年からMFJ全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスに8810R with MCRから参戦中。将来が期待される若手ライダー。

8耐本番さながらの暑さの中
過酷なテストが行われた

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今回のテストにも、マイスターが参加。手前がモトラッド鈴鹿の岩間メカニック、奥がオメガの法月メカニック。岩間さんは、松下ヨシナリ選手の今年のマン島TT挑戦でもメカニックを務めている。
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ピット内で談笑するライダー陣。マシンのセッティングやライディングについて活発に意見を交わしている。顔を合わせてから、わずかな時間しか経っていないがコミュニケーションはバッチリ。
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サインボード係を買って出たのは、お馴染み 【Tras】 の新田さん。気温30度を越える炎天下で、プラットフォームに立ち続けるのは重労働。新田さんはチームの中心的人物として、8耐プロジェクトに関わっている。
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寺本選手と会話しているのが、WPサスペンションのメンテナンスを担当する【MCインターナショナル】の野村さん。テスト中は自ら工具を握りセッティング作業を行い、サスペンションのプロフェッショナルとして、様々なサジェスチョンをチームにもたらした。
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鈴鹿のピットロードは広い。ライダーが自分のピットを見失わないよう、ピットイン時にはクルーが誘導する。
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ライダー交代時には、前走者との情報交換が不可欠。マシンやコースのコンディションを確認し、セッティング作業へと繋げる。その間も、メカニックはマシンのメンテナンス作業に追われる。テストとはいえ、時間は限られているため、実戦さながらの慌ただしさだ。
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これは、リアショックのスプリング交換作業。レーシングマシンのセッティングは。ストリートカスタムとはレベルが違う。ダンパーのアジャストはもちろん、スプリング交換すら通常作業なのだ。
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【Team Tras】 はダンロップ製タイヤを使用。ダンロップのスタッフも頻繁ピットを訪れ、ライダーの声に耳を傾けていた。タイヤのチョイスはタイムに直結する重要なファクター。レーシングタイヤは特性の異なる様々なタイプがラインナップされており、タイヤメーカーのスタッフはタイヤチョイスについてチームへのサジェスチョンも行う。また、こうしてヒアリングされたライダーの生の声が、タイヤの開発にも活かされる。
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ライダーとS1000RRを囲み、テスト参加スタッフが集合。8耐本戦では更に多くのメンバーが全国から集結する。
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テスト時の S1000RR 鈴鹿8耐レーサー。スイングアームがノーマル+カーボン補強のものに交換され、更に迫力を増している。
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【BITO R&D】 に依頼していたスイングアームの加工が完成。リアアクスル周りが耐久レース仕様に生まれ変わっている。チェーン引きは完全に新造品で、ホイールのカラーを受け止めるスライドレール的な形状を持たされ、迅速なタイヤ交換を可能としている。この後、【Tras】 でドライカーボンの補強が加えられて完成する。
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【BITO R&D】 に依頼していたスイングアームの加工が完成。リアアクスル周りが耐久レース仕様に生まれ変わっている。チェーン引きは完全に新造品で、ホイールのカラーを受け止めるスライドレール的な形状を持たされ、迅速なタイヤ交換を可能としている。この後、【Tras】 でドライカーボンの補強が加えられて完成する。
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前回のテストより 【Keng Yang】 の協力によりデータロガーを導入。走行中の様々なデータ収集が可能になったため、セッティングの効率も向上するだろう。
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寺本選手の開発した、クランクケース内圧バルブ 『T-REV』 を搭載。クランクケース内圧を適正化、ポンピングロスを軽減し効率よくエンジンパワーを引き出し、スロットルフィーリングも向上するという。
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ブレーキキャリパーはブレンボのラジアルマウントタイプ。俗に「ビッグブレンボ」と呼ばれる、レース専用品。マスターシリンダーも同じくブレンボのラジアルポンプタイプ。ブレーキパッドは 【ジクー】、ブレーキローターは 【サンスター】 を使用する。
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ブレーキキャリパーはブレンボのラジアルマウントタイプ。俗に「ビッグブレンボ」と呼ばれる、レース専用品。マスターシリンダーも同じくブレンボのラジアルポンプタイプ。ブレーキパッドは 【ジクー】、ブレーキローターは 【サンスター】 を使用する。
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ブレーキキャリパーはブレンボのラジアルマウントタイプ。俗に「ビッグブレンボ」と呼ばれる、レース専用品。マスターシリンダーも同じくブレンボのラジアルポンプタイプ。ブレーキパッドは 【ジクー】、ブレーキローターは 【サンスター】 を使用する。
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ステップは 【ベビーフェイス】 を装着。同社製のステップは、世界的に評価が高く、海外のレースでも多く使用されている。
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リアショックは 【WP】製。WP製のリアショックには多くの車種用がラインナップされているが、このリアショックはS1000RR 鈴鹿8耐レーサー専用にセッティングされたスペシャル品だ。
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ホイールは前後とも 【BITO R&D】 のJB-MAGTAN。総削り出し製のチェーン引きと、リヤブレーキのサポートが実にレーシー。レーシングスタンドは 【J・TRIP】製を使用している。
国際ライダー MFJ公認インストラクター
高田 速人
バイクのタイヤとメンテナンスの専門店「8810R」代表。1976年生まれ、東京都出身。中学2年でミニバイクレースを始め、高校卒業後はロードレースにステップアップ。1996年に国際ライダーへと昇格、全日本選手権や鈴鹿8時間耐久レースなど、豊富なレース経験を持つ。2010年は 【Tras & G-TRIBE + 8810R】 チームによる、S1000RR鈴鹿8耐への挑戦にライダーとして参加。2011年は S1000RR を駆り 、【Team Tras】 の第1ライダーとして鈴鹿8耐に参戦。15位獲得に貢献した。

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