VIRGIN BMW | R1200RT(2005-) 試乗インプレ

R1200RTの画像
BMW Motorrad R1200RT

R1200RT(2005-)

  • 掲載日/2008年04月04日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad Japan  取材・写真・文/八百山ゆーすけ

30年続くBMW RTシリーズ
その最新モデルの真価はいかに

伝統的にツーリングバイクを得意としてきたBMW。その中でもロングツーリングを志向するライダーのために用意されたのが今回紹介するR1200RTだ。 BMW の主なモデル名は、R、K、F、Gなどのシリーズ名と、SやR、RT、GSなどのタイプを表す符号を組み合わせている。ツアラーファミリーを示すRT、ST、GT、LTの「T」はいずれもTour(ツアー)の頭文字、RTの「R」はドイツ語で旅行を意味する「Reisen」の頭文字だ。このモデル名が示唆するとおり、R1200RTはよりロングレンジのツーリングを楽しむためのモデルとなっている。RTの名を冠するモデルは1978年のR100RTが初代で、その後K100やK75シリーズにもRTモデルがラインアップされた。4バルブの新世代ボクサーエンジンを積むR1100RTは日本でもヒットを記録し、2001年には排気量を1150ccに拡大したR1150RTにビッグマイナーチェンジ。そして、排気量1200ccの新世代“EVO”エンジンを搭載するRTとして生まれたのがこのR1200RTだ。

このように、R100RTの誕生から30年以上に渡って脈々と受け継がれているRTというモデルは、いずれもロングレンジのツーリングを楽しめるように、快適なシートや大型のフェアリング、大容量のラゲッジスペースなどを備えているのが特徴だ。しかし、こうした長距離ツアラーを決して安楽なだけの乗り物にしないところがBMWの哲学。R1200RTも、高回転型のボクサーエンジンやテレレバー、パラレバーといったテクノロジーによって、バイクとしての走る楽しみを兼ね備えているのである。

R1200RTの特徴

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ライダーを守る大型フェアリングと
ツーリングを充実させる装備が満載

前から見るとすぐにR1200RTのそれとわかる大柄なフェアリングが最大の特徴。大きなヘッドライトを中心に、上には縦に長く伸びる大きなスクリーン、左右にはミラーをビルドインするウインカー、そして下にはBMWのアイコンであるキドニーグリルを配置。威風堂々とした佇まいを見せる。この圧倒的なボリューム感はライダー側から見ても同じで、ブラックアウトされたコンソールパネルが、左のミラーから右のミラーまで、まるでクルマのように広がっている。この印象的で大柄なフロントセクションこそがRTを長距離ツアラーたらしめている部分。どんな速度域でも完璧なウインドプロテクションを発揮し、快適で安心感のあるライディング環境を提供してくれる。一方、リアセクションも、幅広なコンビネーションランプや車体の一部のようにデザインされたパニアケースが、フロントセクションに負けず劣らず印象的で、抜き去るものにも強烈な存在感を残す。

バイクとしての基本コンポーネントは、低重心の水平対向2気筒エンジンに、Aアームとフォークで構成されるテレレバーサスペンション、シャフトドライブのパラレバーを組み合わせるという、多くの新世代Rシリーズに共通のもの。ここにぐっと手前に引いたハンドルを組み合わせることで、ライダーの上半身が起きるポジションとなっている。シートはライダーとパッセンジャーで独立しており、十分な広さに適度なコシと柔らかさを兼ね備えており、タンデムライダーも快適に過ごすことができる。また、充実したツーリングを実現してくれる快適装備を満載しているのもRTならでは。グリップヒーターや燃費などを表示してくれるオンボードコンピューターは標準装備で、189,000円高のプレミアムラインでは、スイッチひとつでプリロードと減衰力を調整できるESA (電子調整式サスペンション)や、設定した速度を自動的に保ってくれるクルーズコントロール、シートヒーターなどを装備。さらに、滑りやすい路面でリヤタイヤの空転を防ぐASC(オートマチックスタビリティコントロール)や、FM/AMラジオ・CDが楽しめるオーディオなどをオプションで追加できる。こう並べていくとまるでクルマのような豪華さだ。バイクにこれほどまでの装備は必要ない、という考え方もあるかもしれないが、快適にすることでライダーの体力や集中力を長く維持することができるのは事実。その結果、より遠くに行くことができるわけだ。そう考えると、これらの快適装備はまさに長距離ツーリングの強力な武器なのである。

R1200RTの試乗インプレッション

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スクリーンやカウル、サス…
至れり尽くせりの豪華装備

実車を前にしての第一印象は、やはりデカイの一言に尽きる。特にフロントセクションのボリュームは威圧感すら感じられるほど。この見た目の大きさはしっかり重さにつながっていて、サイドスタンドによる停車姿勢から車体を起こそうとしたり、バイクを押し引きしたりすると、満タン時の装備重量281kgという重さをズシリと感じる。しかし、跨ってみると重量感をあまり意識しなくなるのも事実。780mmと800mmの2段階に調整できるシートを下げれば小柄なライダーでも不安は軽減され、バイクの大きさに慣れる時間も短縮されることだろう。ポジション的には、手前に引かれたハンドルによって極低速でも明確に自分の行きたい方向をバイクに伝えられるし、自然と上体が立つので足でしっかりとバイクをホールドできる乗車姿勢となる。その上、水平対向エンジンによって得られる低い重心位置がバイクを安定させる成分として働くので、跨ってしまえば拍子抜けするほど扱いやすい車体と言える。それさえ理解できれば、あまり大きさを意識することなくライディングできるようになるだろう。ただし、幹線道路に出るまでの細い路地などでは、やはりエンストに気を遣ってしまう。1000cc超の2気筒エンジンというとハーレーのような粘りのあるトルクをイメージしてしまうが、BMWのボクサーツインは明らかに高回転型。アイドリング近辺のトルク感はやや希薄で、丁寧にクラッチを扱う必要があるように感じた。低速トルクを兼ね備えた近年のマルチシリンダーエンジンに慣れているライダーも注意が必要だろう。

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走り出すと風がほとんど当たらないことに気づく。一般的な体格のライダーであれば、ヘルメットの上半分に風が当たるくらいで、体にはまったくといっていいほど風を感じない。さらに、電動スクリーンを立てるとヘルメット周辺の風切音もなくなってしまう。この感覚は不思議なもので、どのような速度域であってもそのスピード感があまりない。試乗したR1200RTは純正オーディを搭載していたが、コンソール両端に独立したツイーターを装備していることもあって、喧騒に包まれた街中や高速道路でも音楽を楽しむことができ、道路交通情報をしっかり聞き取ることも可能だった。フェアリングとスクリーンによる静かな環境があるからこそ、純正オーディオも活きてくるというものだろう。このように、ライダーに快適な環境を提供するという姿勢は、基本的な車体構成から貫かれているものだ。それはテレレバーというフロントサスの効果でも感じられる。速度感がないためついつい飛ばしてしまうワインディングでは、勢いコーナーで強いブレーキをかけることになるのだが、テレレバーがフロントの沈み込みを抑制してくれるので、サスペンションのストロークが浪費されることはない。あとはただコーナーに合わせてバイクをバンクさせれば曲がってくれるのだ。最初は慣れ親しんだテレスコピック式サスペンションとの感覚の違いに戸惑うライダーも多いと聞くが、テレレバーに慣れてくるとスイーッ、スイーッと何事もなくコーナーを抜けていくことで、如何にライダーの仕事量が軽減されているかがわかる。走行中のライダーをアシストし、快適な環境を提供するというRTのコンセプトは、基本的な車体構成から末端の装備に至るまで一貫したトータルなものなのである。

こんな方にオススメ

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快適なツーリングを求める方へ
タンデム時の快適さも素晴らしい

どんなシチュエーションでも使えるオールラウンドなモデルだけではなく、スポーツライディング、ツーリング、オフロードなど、使う目的に合わせてより特化したモデルを充実させる傾向を強めているBMW。現行ラインナップの中にあって、R1200RTはロングツーリング志向のユーザーが求める性能と装備をすべて与えられている。それゆえ、特にパートナーとタンデムでツーリングを楽しみたいという向きにR1200RTは最適なモデルだといえよう。それは、安楽なライディングポジションやフェアリングによる防風性能、そして数々の装備による快適性だけが理由ではない。その気になれば意外なまでの速さを発揮するR1200RTだが、ボクサーエンジンとRTというキャラクターの組み合わせが、ゆったりと走っても心地よい時間を過ごさせてくれるという期待を抱かせ、R1200RTもそれに応えてくれるからである。この快適な走りをライダーだけが独り占めしておくのはもったいない。ぜひとも、タンデムで日本の果てまで走りにいくことをお勧めしたい。

R1200RT プロフェッショナル・コメント

BMWらしい魅力を凝縮
快適で俊敏な走りが魅力

RTというと、かつてはデザインがやや落ち着きすぎている印象があったモデルでした。しかし、R259ユニットを搭載したR1100RTはデザインも洗練されて日本でも大ヒット。現在ではすっかり定着した感のあるRTの現行モデルがR1200RTです。過去のモデルと比較するとデザインは一挙に未来的なものとなりましたが、走りや性能面では頑ななまでにキープコンセプトなのがRTの良いところ。歴代RTのいずれかに乗ったことがある方でしたら、走り出した瞬間に「ああ、やっぱりRTの乗り味だ」となること請け合いです。

もちろん、走りの性能は確実にアップしています。エンジンはよりパワフルになりましたし、ESA (電子調整式サスペンション)やASC(オートマチックスタビリティコントロール)を搭載した車輌を選択できるようになり、RTならではの安定感・安心感には一層磨きがかかりました。快適装備を満載しているのでこのモデルを選ぶのはやはり長距離志向のお客さんが多いですが、その一方でかなりのハイペースで走る方が多いのも事実です。流しても良し、飛ばしても良しということで、伝統的なBMWの良さを凝縮したモデルだからだと思います。オーディオが搭載できるということで選ばれる方も多いですね。(BMW Motorrad Tokyo 青木 正志さん)

取材協力
住所/東京都港区赤坂2-10-10
電話/03-3582-3231
営業時間/9:30-19:00(日曜日は18:00まで)
定休日/月曜日、第一・第二火曜日

R1200RT のカスタム01

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東京都 羽鳥さん

鼓動感とポジションが決め手
R1200RTは飛ばさなくても楽しい

20歳で大型免許取得して全国をツーリングしてまわりましたが、乗り継いできた国産車はどれも3万5000キロぐらいでエンジンの低速域がヘタってしまって…。そこで、耐久性にも定評のあったBMWのR1100RTに乗り換えたのです。現在はR1200STに乗っているのですが、タンデムのことも考えてR1200RTを増車しました。R1100RTと比較すると、R1200RTは中速域が力強くなりシフトチェンジも少なくて楽です。購入するときは K1200GTとかなり悩みましたが、エンジンの鼓動感と快適なポジション、そして純正オーディオが搭載できるので決めました。飛ばさなくても走っていて楽しいバイクです。

R1200RTの画像
【左】羽鳥さんのお気に入りは洗練されたメーター&ハンドル周り。各種の豪華装備をコントロールするスイッチ類が整然と並ぶ。 【右】見慣れた感のあるテレレバーだが、これも羽鳥さんは高く評価している。RTのオールラウンドな性能を支える重要な仕組みだ。

R1200RT のカスタム02

R1200RTの画像

東京都 青木さん

タンデム性能と積載性
エンジン特性で選びました

ツーリング性能を求めて国産車からK75に乗り換えたのが、BMWを乗り継ぐようになったきっかけです。R1200RTの前はK1200Sに乗っていたのですが、もっと荷物が積めてタンデムしやすいモデルが欲しくなり乗り換えを決めました。R1200RTはロングツーリングが楽なのはもちろんですが、スポーティーな走り方にも対応するので満足度は高いです。欲を言えばもう少し小さく軽くなるといいですね。購入するときはK1200GTと悩みましたが、同じ4気筒エンジンが続くのも面白くないし、GTと比較するとRTはかなり軽いのが気に入りました。低速でも乗りやすいエンジン特性は自分の乗り方にあっていると思います。

R1200RTの画像
【左】青木さんのRTはシーベイリーズ社製のスクリーンを装着。低くスポーティーなスタイルを実現している。 【右】広大なラゲッジスペースは青木さんがR1200RTを選んだ理由のひとつ。タンデムツーリングにも対応する十分な容量を誇る。

R1200RT の詳細写真

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大容量パニアケースを標準装備

ロングツーリングの必須アイテムとも言えるパニアケースを標準装備。ボディ同色に塗装された完全防水仕様。片方で32リットルの容量があり、シート後方のキャリアにオプションのトップケースも取り付けるとより大容量のラゲッジスペースが生まれる。
R1200RTの画像

フェアリング一体構造のミラー

フェアリングにビルドインされたミラー。ハンドル下を通して写し出された後方の視界をグリップ越し見る独特の配置だ。一般的なミラー位置よりも幅の狭い脇の下越しに後方視界を得るため、左右ミラー幅を狭くしながら広い視界が得られる。
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FM/AMラジオ+CDも楽しめる

オプションのオーディオ搭載車では左パネルにそのスイッチ類が並ぶ。FM/AMラジオのほかCDチェンジャーのコントロールが可能。そのラジオの周波数やCDのトラック番号などは、メーター中央にあるボードコンピューターのディスプレイに表示される。
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走行中でも角度が変えられる電動スクリーン

ヘッドライト直上から伸びやかに広がるスクリーンは電動可変式。左グリップのスイッチを操作することで大きく角度と高さを変えられる。一番寝かせた状態でも体に風はほとんど当たらないが、適切な角度に立てることで高速でも静かな環境が得られる。
R1200RTの画像
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