VIRGIN BMW | R1100GS(1994-) 試乗インプレ

R1100GS(1994-)

  • 掲載日/2010年02月04日【試乗インプレ】
  • オーナー/小林祐介さん  写真/山下 剛  文/小松 男、山下 剛
    この記事はBMW BIKES Vol.49掲載の記事を再編集したものです
R1100GSの画像

BMW Motorrad R1100GS

現行GSの礎となる R1100GS

環境を配慮し、なおかつパフォーマンスを圧倒的に向上させた通称 R259 系ボクサーエンジンを、最初に搭載したR1100RSから遅れること1年、1994年にR1100GSは登場した。

それまでのGSモデルであったR100GSからはエンジンだけでなく、フレーム、足回り、大柄な車体デザインと、すべてにおいて変更されており、まったく新しい次世代のGSとなっていた。

まずは、見るものを圧倒させたその大きな体躯。もちろん車重もR100GSと比べ、約30kgも増加している。一見すると、小柄な日本人に扱うことは無理だと思わせるものだった。しかしその車格のおかげで、ロングツーリングではしなやかに走り、快適そのものだった。これはそれまでのGSが持つオフロード車のイメージを残しつつ、オンロードを使ってのロングツーリングにも重点を置くものとしての選択だった。テレレバーやABSの採用からも、それがわかるだろう。フロントタイヤがそれまでの21インチから19インチに下げられたことで、街中やワインディングでの機動力が飛躍的に上げられている。未舗装路での走行性能を引き上げるというよりも、どちらかと言えば未舗装路へと続く道のりをさらに快適にさせたモデルチェンジだったと言える。もちろんロングストロークなサスペンションや、低中速域でのトルクの扱いやすさなどで、オフロード走行もしっかりこなすことができるようにされている。

R1100GSの画像

R1100GS の登場は、それまでのデュアルパーパスというカテゴリーにとらわれることの無いものであり、世界中のツーリングライダーの憧れの一台へとなっていった。お家芸でもあるパニアケースとトップケースを装着すれば、それはもう地球の果てまでも行けるものと思わせるのに十分なものだったのだ。

この後に続く R1150GS は、顔つきこそ変わったものの、大きな部分での変更は無かったことからも、R1100GS は非常に成功したモデルだと言えるだろう。

発表から15年を迎えた今でも、その存在感は色あせることが無い。この原稿を書いている今現在、BMW正規ディーラーネットワークの中古車リストに登録されているのは、僅か4台。中には50万円を切るものもある。今現在のオーナーが長く乗り続けていることもあり、中古車市場では徐々に数が減りつつあるが、オンロードを主体とするツーリングを楽しみつつ、その道の向こうに待ち受ける未舗装路へも、躊躇無く入っていける気にさせる現代の GS モデルのアジを楽しむには、十分以上のパフォーマンスを備えていることは確かだ。気取らずに GS を楽しみたい、そんな人にお勧めの R1100GS 、見つけたら即買いである。

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近年のボクサーGSに乗ったことがあれば気にならないが、初めて触れる人には、その大きさに躊躇することだろう。シート高が2段階に調整できるのは嬉しい。写真はハイポジションに設定している。ライダーは身長178cm、体重75kg。

R1100GSの詳細

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視認性の高いメーター周り。オプションのR.I.D.は油温計、燃料残量、シフトポジション、時刻を表示。
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インジェクション車両だが、左側のスイッチボックスにはチョーク(アイドリングアップ)がある。
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K100シリーズから続く、左右振り分けタイプのウインカー。はじめは戸惑うが、慣れれば操作性良好。
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オプションでナックルガードも用意されている。バーエンドと結合しないウチワタイプ。
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4バルブエンジンを採用したはじめてのGS。低回転域から粘りがあり、ステージを選ばず扱いやすい。
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R259系エンジンになり、ついにGSもインジェクションとなった。インジェクションはBING製。
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シャフトドライブ特有のテールリフトを軽減するパラレバーを装備。アクセル操作での違和感は少ない。
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リアサス下部には、伸び側減衰の調整用のネジがついている。マイナスドライバーで調整可能。
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簡単にリアサスのプリロード調整が可能。ソロ、タンデム、荷物積載時など、好みの設定を選べる。
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テレスコピックタイプよりも走行安定性などを向上させるため、テレレバーを採用。高いツアラー性能を持つ。
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GS初のABSを装備。ダブルディスクの強力な制動力とあわせ、安全面での評価も高かった。
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リアブレーキもフロント同様、ブレンボ製キャリパーにABSの組み合わせ。コントロール性も高い。
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チューブレスタイヤの装着を可能にした、画期的なクロススポークホイールを採用している。
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歯切れのよい音を奏でるマフラーは、パニアケースとの干渉を防ぐためにやや下方に配置されている。
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バッテリーは燃料タンクを外さないと脱着できないが、電極端子はシートを外せば見える場所にある。
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ライダー側のシートは、取り付け位置を変えることによって 840/860mm の2段階から高さを選ぶことができる。
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シート下にはヒューズやリレー類などの電気系パーツが納められている。現行車にはない部分だ。
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エアクリーナーボックスへはシートを外すだけでアクセスできる。乾式フィルターを採用している。
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タンデムシートを外すとキャリアになる。フラットなので荷物も積みやすい。旅に出たくなる。
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リアキャリアの下は積載工具収納スペースとなっている。日常メンテナンス+α程度のことはできそう。
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ヒートベストの使用や充電機の接続などができる、電源用ヘラーソケットも装備している。
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ヘルメットホルダーが装着されているが、オーナー曰く使い難いとのとこ。ワイヤーを介せば便利。

編集部インプレッション

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現在の GS にも劣らない乗り心地 ●小松 男(BMW BIKES 編集部)

そもそも GS モデルの使い勝手の良さが好きだから、少々甘口になってしまうであろうことを先に伝えておこう。あの堂々としたボディワーク、走行時に広がる見晴らしのよい景色、そしてそんなバイクを操るという優越感。オフロードを走らなくても GS の良さは十分ライダーに伝わってくる。そんな味付けがされた最初の GS モデルが、今回のR1100GSだ。

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見た目の押しの強さもそうだが、なによりも、走り出した瞬間に“これは現代の GS だ”と感じるこの R1100GS。それは現在の R1200GS まで通じるフロント19インチ、リア17インチのタイヤサイズによる部分が大きいと思う。“ハチマル”や“ヒャク GS ”の、フロント21インチタイヤは、やはりオフロードモデルを感じさせ、対してこの R1100GS は、ツアラーなのだと感じとることができる。

今回試乗したのは走行8万キロと、決して低走行とは言えないものだったが、エンジンの調子は良く、低回転から一気に吹け上がるトルクを楽しめた。以前 R1150GS に試乗した際に、R1200系のエンジンよりも緩やかな出力特性だと感じ、それよりも前のモデルなのだから、さらにゆったりとしているのだろうと勝手に思っていたのだが、それは大きな間違いだった。

5速ミッションということで、市街地でもオートマ感覚で楽しめる。もし高速道路を使い1日で1000キロ以上走るような超ロングツーリングを行うならば、6速ミッションを採用した R1150GS がいいかもしれないが、通勤や近所の買い物に使う機会が多く、ロングツーリングにはたまに行く程度、という使い方をするのであれば、個人的には R1100GS の設定のほうが好みだ。

確かに現行型の GS は軽く俊敏で扱いやすいと思う。しかし、それらを差し引いて考えても、今ちょっと GS が欲しいと考え探している人がこれを所有した場合、満足度は高いと感じるモデルだった。販売価格が違うためになんとも比べることはできないかもしれないが、1150や1200と比較しても、最終的にはスタイリングの好みが分かれるくらいのものだと思う。そのくらいよく作られたバイクなのだ。

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近代と現代の分水嶺に立つオートバイ ●山下 剛(BMW BIKES 編集部)

発売当時にこのバイクに乗っていたら、もっと違った印象を感じたことだと思う。残念なことに私にはその経験がなく、どうしても後発モデルである 1150 や 1200 との比較になってしまう。それを踏まえた印象は、R1100GS の完成度の高さ、非常に明確に確立されたコンセプト…言い換えれば強烈な個性だ。

後発モデルよりもカッチリとした設定だが、テレレバーの持つ剛性感、そして安定感は強烈だ。エンジンは低回転からパワフルで、むしろ 1200 よりも太いというか、“濃さ”を感じる。それはエンジンだけでなく、車体全体に“みっしり”と中身が詰まっている印象がある。同時代のKシリーズにも共通している印象で、“ねっとり”や“むっちり”という表現したくなる、そんな感じなのだ。むしろ 1200 はそうした濃密さを消して、軽快な走りを実現したところにモデルチェンジのテーマのひとつがあったのだろう。

オートバイの進化の命題のひとつに軽量化がある。しかし R1100GS はそれを捨て、重さを武器にしているようだ。それは直進安定性の良さに表れているし、高速巡航時の安定感にもなっている。車体バランスが取れていれば、重量はマイナスに働くばかりではなく、そうしたプラス面も生み出す…そういうことを気づかせてくれる。

そうしてひとしきり R1100GS を走らせ、エンジンを停止して一息つくと、なんの過不足もないことがわかる。厳密に言ったら、もちろん過度も不足もあるが、それらを適材適所に配置することで、各々の欠点を目立たなくしているのだ。

登場から16年が経過した現在、中古車として流通する台数も減ってきたが、今なおその走りは現役といえる。これは GS だけではなく他の R1100 シリーズにも言えることだと思うが、1923年よりオートバイを作ってきた BMW の、ひとつの頂点といっていいのではないだろうか。R1100 シリーズを境にして、BMW は新たな局面を迎え、歴史の転換を果たした。同時に、R1100GS は大排気量デュアルパーパスの在り様を世界に示し、未来図を示した。トライアンフ・タイガー、ドゥカティ・ムルティストラーダ1200 は、このバイクなくして生まれなかったはずだ。

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