VIRGIN BMW | 鈴鹿8耐チームトラス代表・新田正直のF850GSで往くオーストリアの旅 トピックス

鈴鹿8耐チームトラス代表・新田正直のF850GSで往くオーストリアの旅

  • 掲載日/2019年01月15日【トピックス】
  • 取材協力/取材協力/BMW AG
    文・写真/新田正直
    記事提供/BMW BIKES編集部
    ※この記事は『BMW BIKES vol.85号 』に掲載された内容を再編集したものです。

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2018年夏に発売されたF850GSを駆ってドイツとオーストリアを巡った旅の中で見えてきた、ニューF850GSの真価とは。また彼の地の国民性と文化、ヨーロッパのバイクツーリング事情もここ数年で変化が起きているようだ……。

F850GSのすぐれた進化を
いきなり体感する

2018年8月中旬。ミュンヘンも異常気象で、気温は34℃を示している。今回の相棒、BMWのF850GSは精悍でスタイリッシュな濃い緑の艶消しで迫力満点だ。共に旅するのは、BMW AGデジタルマーケティング戦略室のグレゴリー・グランツマン。彼はR1200GSスタイルエクスクルーシブを走らせる。

翌日。カーテンを開けると、残念なことに外は雨だった。「時差ボケは大丈夫ですか? 今日は一日ずっと天気が悪いみたいだね。でもここ、いいところでしょう? 昨日のルートはモトラッドライゼン(BMWレンタルツーリングツアー)の人気ルートを走ったんだ」グランツマンがそう話す。

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ザルツブルグ東側の湖水地方は、国道から少し外れるだけで小さな村とオーストリアアルプスがアジア圏では見られない景色で迎えくれる。

ミュンヘンから約200kmの行程で、アウトバーンはもちろん湖畔や美しいドイツアルプスのワインディンを走行し、ゲビルグスホイゼルに宿泊するレンタルバイクツアーが人気なのだという。今までは距離を優先するツーリングを楽しんでいた人たちにも、このプランは受け入れられているようで、ヨーロッパのBMW乗りの趣味嗜好も変わってきているようだ。

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(右)ミュンヘンの南西にあるシュタルンベルク湖で、名産の淡水魚のムニエルを味わう。グランツマンもニッコリ! (左上)シュタルンベルク湖でのランチは、ミュンヘン在住の成功者たちの間で流行しているらしい。ミュンヘン中心部からバイクで30分ほどと近い場所にこれほど美しい風景が広がっているのはさすがドイツ。(左下)シュタルンベルク湖は南北におよそ30㎞と長い。湖には大型の定期船が運行していて、湖畔の移動にもゆとりがある。

「今日の目的地は、オーストリアのグラーツ。下道優先でオーストリア・アルプスの景色を満喫するワインディング優先で、レストランを見つけたらランチする“気ままな感じ”で行きましょう」 雨は降ったり止んだりだが、霧が出ることもなくワインディングを駆け巡っていく。

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オーストリアのロードマップを広げる。宿で翌日のルートを検討するときは、PCやスマホよりも、全体を見渡せる紙の地図がやっぱり便利だ。いっぽう現地でさっと現在地を調べるにはスマホが活躍する。

すると林道の入り口でグランツマンが止まった。「ここは注意書きもないからバイクで走れるけど、行ってみる?」装着タイヤのブリヂストン・バトラックスアドベンチャーA41は、見るからにオンロード指向のタイヤなので慎重に林道に入る。しかしトラクションのかかり具合がよく、ぐんぐん進む! 私の技量を超えるスピードにすぐさま達した。その先はブラインドコーナー。慌ててブレーキング! 想定より高いスピードなのに短い距離で止まるF850GSはどんどんペースが上がり、気付けば景色も気にせず数キロ走っていた。電子制御がなければ、私の技量では扱いきれない! ワクワクが身震いに変わり、すぐさまUターン。

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ドイツは林道への進入を国が規制しているが、オーストリアには自由に入れる林道がある。パニアケースを外したF850GSで林道へ入ってみた。

「F850GS、楽しそうだね。次の給油ポイントまでバイクチェンジしようよ」 R1200GSに乗り換えた。いつも乗っているバイクだから、ポジションとシートはしっくりきて安心の領域。だが、重さを感じる。ステップにわずかながら振動もある。ワインディングでの安定感は王道の領域だが、F850GSの軽快な走行安定性を感じた後では、新しさを感じられなかった。

レストランの標識を我々は見逃さず、不事に到着。オススメランチのサラダ食べ放題、野菜スープ、シュニッツェルを食べ、ダブルのエスプレッソを飲みに外へ出た。青空に光り輝く岩肌のオーストリア・アルプスが美しい。給油を済ませ、バイクをチェンジ。F850GSに乗り換えてあらためて振動の少なさを感じる。それぞれ好みは違えど、GSならではの旅が楽しい。

ドイツとオーストリアの
道路事情は微妙に異なる

ヨーロッパツーリングを検討している人に向けて、ドイツとオーストリアの道路事情を説明しよう。

まずドイツ。市街地はおおむね50km/h制限だが、30km/hの町や村もある。市街地の入口には町名の標識と共にスピードガンが迎えてくれる。これは取締り対象外だが、速度超過には注意。

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F850GSの軽い車体とパワフルなエンジンは、ストップ&ゴーが多い市街地走行でもラクで快適。

郊外へ出ると一般道の速度制限は100km/hだ。下道でも、いいペースで距離をこなせる。 アウトバーンは無料で、速度無制限。区間によっては80〜120km/hに規制される。速度無制限といえども推奨スピードは130km/hで、140km/h以上のスピードで事故を起こした場合、運転者の過失が多いとみなされて保険金が支払われないことがある。以前は無制限地域を160km/hで走っていても、後方からすごいスピードでクルマやバイクが迫ってきたが、近年はそういうことはとても少ない。

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オーストリアの一般道は、ドイツとほぼ同じだが、郊外は70km/h規制のところが多い。自動車道やアウトバーンは有料で、チケットの購入が義務付けられている。オートバイは10日間のヴィニエットステッカー(通行券)を5.2ユーロで購入し、フロントスクリーンに貼り付ける。これは国境近くのPAやガソリンスタンドで買える。違反すると300ユーロ以上の罰金をその場で支払わなければならない。山岳部やトンネルなどでは、料金所で支払うケースもあるので、小銭やカードを準備しよう。これにはラリースーツ左袖のポケットが重宝するのだ。

どちらの国でも、速度表記の上に丸斜線の標識が速度規制解除だ。規制解除中だと思い、うっかり次の標識を見逃すとスピード違反取締りカメラが待ち構えているので(規制速度5km/h以上超過から取締対象)、常に気が抜けない。

1、2泊の短い旅程でも
ヨーロッパを楽しめる

グラーツでは、レッドブルリンクで開催されているモトGP視察と、仕事の打ち合わせをこなした。レース後は約10万人の観客たちが移動をはじめるので、アウトバーンは大渋滞で、2車線のクルマは微動だにしない。しかしクルマが右と左に避けてくれ、オートバイは真ん中の車線を快適に走行できるのだ。バイクは機動性を生かすもの、というマナーが徹底されていることに驚く。

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MotoGP第8戦オーストリアGPが開催されたレッドブルリンク。ヨーロッパGPは観戦客が10万人規模でやってくるため、予選中でもサーキット内はどこも人であふれかえる。

2日間かけてミュンヘンまで戻り、BMWヴェルトでランチを取ることにした。BMWミュージアムとここヴェルトは、ミュンヘン観光のメッカになっていて、平日もつねに混雑しているそうだ。それにもかかわらず、レストランは15日間の夏季休業中真っ只中! 稼ぎどきだろうがなんだろうが休む時は休むのがドイツなのだ。

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BMW本社ビルは「フォーシリンダービル」と呼ばれる。文字どおりシリンダーを4つ並べたかたちなのだ。

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本社に隣接するBMWヴェルト(博物館)のショールームに展示されているHP4 Raceのカーボン製フレーム。カーボン製造者としてはやはり気になる存在。

今回の旅では、F850GSを1,500km走らせた。それで感じたのは、単なるフルモデルチェンジではなく、F-GSというバイクがまったく異なるバイクとして新たなフィールドを開拓したという印象だ。シチュエーションによっては1200よりも速さを感じ、パワー感も増していたが、決して扱い難いレベルではない。軽い車体。どの回転域でも振動がなく疲れにくく、しかし力強いエンジン。電子制御の自然な効き具合。TFTメーターとスマホの接続でF850GSとのコミュニケーションがとれるシステム。これらが比類ない楽しみをもたらす、新しい時代のGSと感じた。

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ダートに入る前にF850GSをエンデューロモードに切り替える。電子制御によるアシストでダート走行ではペースが上がりがちだった。TFTメーターとスマホの連携も便利だ。

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残燃料、バッテリー電圧、水温、タイヤ空気圧が一目瞭然。TFTメーターの情報量は圧倒的だ。

快晴の朝、最後のツーリングに出かける。ルート共有ができるBMWモトラッドナビゲーション6に、グランツマンがGPSログを読み込ませた。ミュンヘン近郊の人気オススメルートだという。

ドイツの祝日なのでバイクもクルマも多い。対向のライダーは全員左手を出して挨拶してくる。左手のあいさつを認識しやすいのは右側通行の利点だ。すれ違うだけで仲間感を感じ、意思の疎通ができるような感覚だ。

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高校生のモペットや2スト軍団、日本製バイクともたくさんすれ違った。ヨーロッパでは主要都市のBMWディーラーがレンタルバイクを扱ようになり、気軽にヨーロッパをツーリングできる体制が整ってきた。流行りの欧州ルートは1.2泊の短い旅程でも充分に楽しめる、ぎゅっと濃縮されたエスプレッソのような目覚めと力強さを感じさせてくれた。

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今回のドイツ・オーストリア旅は雨ばかりだった。いつの日か、晴れの日に初日のルートを走るツアーに参加してみたいものだ。

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