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BMWモトラッド開発新時代

  • 掲載日/2026年05月07日【トピックス】
  • 写真/BMW Motorrad 文/小松 男
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2026年6月1日付で、BMWグループで20年以上にわたり開発畑を歩んできたヨーゼフ・ホネダー氏が、BMWモトラッド開発部門トップへ就任する。パワートレインや車両統合開発などを歴任してきた生粋のエンジニアであり、BMWモトラッド開発にも関与した経験を持つほか、長年にわたる二輪車への情熱を持つ人物としても知られる。近年、積極的な商品攻勢を続けるBMWモトラッドだけに、新体制の動向に注目が集まる。

BMWモトラッドの未来を託された男

2026年5月、BMWグループの二輪部門であるBMWモトラッドにおいて、開発部門トップ交代という大きなニュースが発表された。新たに開発責任者へ就任するのは、ヨーゼフ・ホネダー(Josef Honeder)氏。BMWグループ内で20年以上にわたり開発領域を歩み続けてきた、生粋のエンジニアである。

今回の人事で注目すべきは、単なる管理職交代ではないという点だ。BMWモトラッドはここ数年、R1300GSをはじめとする次世代プラットフォーム刷新、電子制御技術の高度化、さらには電動化領域への布石など、大規模なプロダクト攻勢を仕掛けている。その中核を担う「開発部門」の舵取りを任されるということは、ブランドの未来そのものを預かる立場に就くことを意味している。

ホネダー氏は機械工学を専門とし、BMWグループ内ではパワートレインや燃料供給システム、車両統合開発などを担当。特に近年は、内燃機関と電動化技術の狭間にある複雑な技術領域で経験を積んできた人物として知られる。

さらに興味深いのは、同氏が“純粋なクルマ畑の人間”ではないことだ。2011〜2013年には、すでにBMWモトラッド開発領域に関与しており、二輪開発の現場経験も持つ。また、BMW入社以前にはイタリアのハスクバーナ・モーターサイクルズで開発責任職を務めていた経歴も確認されている(時期を考えると、BMW傘下のイタリアン・ハスクや、Rシリーズの水冷化移行などに関与していたと推測できる)。

つまりホネダー氏は、「四輪技術を理解する人物」でありながら、同時に「モーターサイクル開発の感覚」も持ち合わせているエンジニアというわけだ。

近年のBMWモトラッドは、電子制御、安全支援、環境性能、そして高性能化という複数テーマを同時進行で推し進めている。そうした複雑な時代だからこそ、“総合開発型エンジニア”であるホネダー氏に白羽の矢が立ったのだろう。

次のステージへとステップアップを図るBMWモトラッド

実は今回の人事は、開発責任者交代以上の意味を持っている可能性が高いのではないかと考えている。

というのも、現在のBMWモトラッドはブランド史の中でも大きな転換期に差しかかっているからだ。

近年のBMWモトラッドは、GSシリーズの世界的成功に加え、ヘリテイジ、スポーツ、小排気量モデル、さらには電動モビリティ領域にまで商品ラインアップを拡大。特にここ数年は目を見張る勢いで新型モデルを投入してきた。

その一方で、世界の二輪市場を見渡すと急速に変化していることがわかる。環境規制強化、ソフトウェア依存化、コネクテッド技術、ADAS(先進運転支援システム)、そしてEV化。もはやバイク開発は、エンジン単体性能だけを磨けば成立する時代ではなくなった。

そうした中でホネダー氏が評価されているのは、「パワートレイン」、「車両統合」、「システム開発」を横断できる能力だ。

実際、2022年に同氏が率いたBMWグループ・シュタイア開発センターでは、ディーゼルエンジン改良だけでなく、高性能EVパワートレイン開発や熱マネジメント技術研究も推進されていた。つまり、従来型内燃機関と次世代電動技術、その両方を理解する人物なのである。

BMWモトラッドCEOのマルクス・フラッシュ氏がコメントの中で「車両開発全般にわたる包括的知識」と表現したのも、まさにそこだろう。

そしてもうひとつ重要なのは、“ライダー目線”を理解している点だ。BMWの公式リリースに目を通すと、ホネダー氏の「長年にわたる二輪への情熱」が強調されている。単なる技術屋ではなく、モーターサイクルカルチャーへの理解を持つ人物であることを、BMW自身がアピールしているのだ。

果たして今後のBMWモトラッドは、どこへ向かうのか。

R1300系のさらなる展開か。電動モーターサイクル本格始動か。それとも、新しいライディング体験そのものの提案か。

少なくとも今回の人事は、“次のBMWモトラッド”がすでに動き始めていることを感じさせるニュースなのである。

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