VIRGIN BMW | 第5回 システムメットの秘密 市川の的外れ!?雑学コラム

第5回 システムメットの秘密

  • 掲載日/2006年07月15日【市川の的外れ!?雑学コラム】
  • コラムニスト/市川 修

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夏だ! 7月だ
鈴鹿8耐だ!

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「いよいよ夏本番!」…と言いたいところですが、今年はなかなかカラッと晴れない日が続いております。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 今年もとうとう7月に入ってしまいましたが(最近ほんとに月日が経つのが早いです…中年親父だな~)、当社では毎年恒例の「8時間耐久!」の準備で、メカニックさんたちは連日深夜までマシンの整備、調整に大忙しの毎日を送っています。

もう20 年以上も前になりますが、当社社長が「8耐のチェッカー後の花火とビールは何物にも代えがたい」とBMW「R100」で参戦し始めました。それから毎年7月は当社では特別な月になっています。特に今年の8時間耐久は特別です。このバージンBMWをご覧頂いている皆さんならご存知かと思います。BMWが新しい「K1200R」というブランニューの車両で参戦することとなっており、当社社長がチーフメカニックという肩書きで車両のセットアップ、調整のメカニック部分を担当させて頂いているからです。

詳しいことはBMW Japanのオフィシャルサイトの中に「K1200Rで挑む!鈴鹿8時間耐久レースへの道」というブログがあります、皆さんもオンタイムで8時間決勝までのいろいろなドラマを見ることができますので、是非ご覧になってください!

万が一の事故のときに
頚椎を守る新アイテム

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そんな盛り上がっているモーターサイクルレースでも、今年ちょっとした話題がありました。「ヘルメットリムーバー」です。これは「すべてのヘルメットに対応でき、安全かつ迅速に脱帽できるシステム」として、2006年より、ロードレース競技会に参加するライダーの安全向上を図ることを目的に、競技参加者に装着を義務付けられたものです。具体的には「万が一」のアクシデントで頚椎のダメージ等が考えられる際に、ヘルメットを脱がせる時の傷病者の頚椎への負担を少なく、ヘルメットを脱がすことができるものです。今まで、頚椎損傷があるにもかかわらずヘルメットを無理やり脱がせ、さらに状態を悪化させるケース等もあったようで、個人的には日常でも使用した方が良いんじゃないか、と思えるアイテムだと思っています。

25年前に誕生したシステムヘルメットから
BMWの安全へのこだわりが見えてきます

実は、そんな頭部への安全を考えさせてくれた同じ思いを、BMWのパーツでも得ることができるんです。それは皆さんご存知の「システムヘルメット」です。実際、ご使用になられている方も多いかと思いますが、このヘルメットの特徴はなんと言っても「ワンハンドシステム(特許取得)により、スイングアップメカニズムをごく簡単に操作できる」ことが特徴となっています。私も使用しておりますが、非常に使い勝手の良いヘルメットです。

使っている方々からは「いや~、ヘルメットを被ったまままでタバコは吸えるし、ジュースも飲めて便利なヘルメットだね!」というお話を頂くことが多くあります。その他システムヘルメットを真似た、同じタイプのヘルメットを売っているメーカーでもこの「被ったままで~ができる」特徴をセールスポイントとしています。確かに「被ったままで~できる」ことは非常に大きなセールスポイントで、BMWでもその利便性を謳っていますが、本当はもっと重要なことがこのヘルメットには隠されているんです! BMWでは下記のようにシステムヘルメットの説明があります。

システムヘルメットが存在するのは、何といってもBMW がこの世に送り出したからです。1981 年に最初のBMW Motorrad システムヘルメットが登場し、「スイングアップ式ヘルメット」のジャンルを新たに確立。その後、BMW Motorrad システムヘルメットは4 世代目を迎え、ワンハンドシステムを採用し、今なおスイングアップ式ヘルメットの基準となっています。

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このヘルメットの開発には「安全」を第一に考えたBMWの思想が一杯詰まっています。なんといっても「スイングアップ式」が何で考えられたかと言うと、モーターサイクル乗車中にアクシデントがあった時、ライダーに意識が無い場合、ヘルメットを脱がすことが必ずしも正解ではないケースが考えられます。その時にどうすれば良いかと言うと、頚椎損傷が考えられるので救急隊、あるいは専門の病院で診断を下してからヘルメットを外すことが良いと言われていますが、現実にヘルメットを被ったまま窒息したり、顔面に外傷があったりする場合などは「どうすれば良いか?」…その場での対応が必要になります。もう皆さんお分かりかと思いますが、そのようなケースの場合、システムヘルメットは前面のチンガードを上げてあげれば、リスクの大きい「ヘルメットを脱がす」ことなく、しかも「気道確保」ができる素晴しい利点があります。実はこれが「システムヘルメット開発の原点」なんです。最初にお話した「ヘルメットリムーバー」と通じる安全対応策をBMWはヘルメット本体で、しかも1981年から世界のユーザーに向けて対応している…。「へぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~」。

初めて、私が聞いたときはいつもの通り、この「感嘆符!」でした。車両に先進の技術を取り入れることは当たり前ですが、それ以外の周辺機器までトータルでモーターサイクルを考えているなんて…。そういえば、昔の車両には「ファーストエイドキット」と言って、いわゆる「救急セット」が標準で装備されていたよな~。始めて見た時はなんとも思わず、「こんなもんいらね~よ」と口走っていましたが、ヘルメットの話を聞いたとき、BMWの奥の深さに改めてビックリしたことを思い出した私でした…。是非皆さんも一度BMWモーターサイクルディーラーで「システムヘルメット」を手にとって見てください。BMWの「安全思想」が伝わってきますよ!

プロフィール
市川 修

46歳。東京都のBMW正規ディーラー「バイクハウスフラット」でセールスマネージャーを務める。『バトルオブツイン』に始まり、BMWでのレース経験が豊富なため、多くのBMWオーナーから頼りにされている。

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