VIRGIN BMW | 第3回 タイヤバルブの秘密 市川の的外れ!?雑学コラム

第3回 タイヤバルブの秘密

  • 掲載日/2006年05月10日【市川の的外れ!?雑学コラム】
  • コラムニスト/市川 修

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連休前にBMWが大集合!
300人BMWオーナーと昼食会

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さてさて皆様、春も本番となりましたね! ゴールデンウイークは何処かお出かけになりましたか? 

今年の関東地方のゴールデンウイークは非常に良い天気に恵まれて、「はい、お土産! ○○まで行って来たから!」と一足早く「日焼けした」お客様からお土産を頂き、私の机はまるで全国物産展のようになっています(笑)。

私たち首都圏BMWディーラーでも、連休前ですが恒例となった「春の首都圏BMWディーラー合同ツーリング」というイベントを今年も開催しました。「お昼をみんなで食べよう!」という、至極簡単なコンセプトですが、各首都圏ディーラーさんの担当者が協力し合って行う「大人のイベント」に成長し、毎回楽しみにされているお客様もいらっしゃいます。

今年は群馬県の「榛名湖」でお昼を食べよう! ということで行われたのですが、何せ200~300台近くのBMWが集まるので、ツーリングコースの下見から始まって、昼食場所の確保、昼食の準備などなど、傍から見るとまるで一つのドラマになるようなことがいっぱい起こります(笑)。それでも場数を踏んだ頼りがいのあるディーラースタッフの面々は、何事も無いようにこんな大きなイベントを笑いながらこなしてしまいます(すごいですね~、見ていて惚れ惚れしてしまいます!)。まだこういった大人数が集まるイベントに参加されたことの無い方は「話の種」でかまいませんので一度ご参加されてみて下さい。本当に楽しいですよ!

タイヤ性能を使い尽くすための
BMWならではのこだわりとは?

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さて、そんな楽しいツーリングですけれど、まだまだ春先で寒い山間部を走りますので、道すがらの路面温度は低く、快適な路面状況とは言い難い一日でした。にもかかわらず、無事に気持ちよく一日を過ごせたのは、現在の性能の良いタイヤのお陰といっても過言ではありません。レースなどでは大きく結果を左右するとされるタイヤですが、その性能は普段、私達が使っているタイヤにもフィードバックされているのは皆さん良くご存知のことでしょう。

実はBMWモーターサイクルはそのタイヤ性能を100%発揮させるため、車両のある部品に「こだわり」を持って、とてつもなく気を使っていることを、このコラムを読んで頂いている皆さんにだけに「そっと」お教えしますね!

「たかが、こんなことを!」、「え!? 本当?」、「へぇぇぇぇ~」とビックリする話です。

ここまでやるかBMW…
タイヤバルブにまで工夫を凝らすとは

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私たちBMWモーターサイクルディーラーの、主に営業担当者は、新しいモデルが出る直前に、ご来店されるお客様にきちんと車両のご説明が出来るよう「勉強会」を受講します。勉強会ではBMWのモーターサイクル部門の方からいろいろなレクチャーをして頂きます。座学から始まり、テストライドを行うことさえある内容の充実した勉強会なのです。その勉強会に、非常にお客様から大好評を頂いている『K1200S』が発表された時、そのびっくりする「こだわり部品」との出会いがあったんです!

それは午前中に座学を受け、午後の試乗の休憩中、車両を眺めていた時のことです。何か写真や資料では得られない、発見があるかもしれないからと近づいて見ていたところ。

「ふんふん…フロントのタイヤはバルブが横に付いていて空気が入れやすいな」
「どれどれ…リアのタイヤはどうなっているのかな?」
「ふ~ん、リアは普通のタイヤと同じ付き方なんだ…」
「あれっ?…前後タイヤのエアーバルブキャップの材質が違うぞ!!??」
それを見つけたアタクシは「鬼の首を取ったように」、近くにいたBMWのスタッフを偉そうに呼び止めて言いました。「も・し・も・し! 前後のホイールキャップぐらい合わせましょうよ! BMWらしくないですよ!」と。そのときです! スタッフの方が微かに笑みを浮かべて言いました…。

「意図的に変えているんですよ」と。「え?! そんな馬鹿な!」と思いながらも何十台もある他の車両を見てみると、確かに何台見ても同じで、エアーバルブはフロントが「プラスチック」、リアが「金属」となっています。「何でこんなことをするんだろう?」と答えが見つからずうろたえている私に、スタッフの方は「バルブキャップの材質を変えているのは、バルブの向きに関係があります」と優しく話し始めてくれました…それはまったくもって驚くべき内容でした。

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今回の車両(K1200S)はBMWモーターサイクルにとって初めての、今までに無い高い速度域に突入し、しかもその速度を長時間維持するスポーツセグメントのマシンとなっています。そのようなハイスピードの環境状態においては、このリアホイールのように通常のタイヤバルブの向きにするとバルブ内のいわゆる「虫」が遠心力で下がってしまい、タイヤの空気圧が少しずつ抜けるリスクがあります(ホントかよ!)、そのために金属製のキャップの裏に密閉パッキンの付いた、しっかりとしたスクリューキャップで閉める必要があるんです。それに対しフロントホイールはバルブが横についている為、遠心力の影響を受けません、だから軽量化とタイヤバランスに影響の少ないプラスチック製でOKなんです。空気もディスクローターの干渉を受けずに入れやすくて良いでしょ?

「でも良い所に目を付けてくれました、こういった細かい所に気を配るのがBMWクオリティーです」と言い残し、説明してくれたスタッフの方が、他の方に呼ばれて離れてゆくのを私はしばし呆然と見送っておりました。私もBMWモーターサイクルに乗り始めて20ウン年、久々にハンマーで殴られるようなカルチャーショックを正直受けました。目的地に安全に到着する、何より優先されるべきことを、こんな細かいパーツにも心配りしている…「やっぱりBMWってすごいな~」。そんなことを知って午後の試乗に出かけた私は何物にも変えがたい安心感に包まれて試乗でき、ますますBMWのバイクから離れられなくなったのでした。それではまた次回、お楽しみに!

※ご注意
このエアーバルブ方式、現在「K」はもちろん『R1200』シリーズにも採用されています。
お乗りの方は自分のバイクを確認してみて下さい!
プロフィール
市川 修

46歳。東京都のBMW正規ディーラー「バイクハウスフラット」でセールスマネージャーを務める。『バトルオブツイン』に始まり、BMWでのレース経験が豊富なため、多くのBMWオーナーから頼りにされている。

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