VIRGIN BMW | BMW Motorrad R nineT Pure(2019) / BMWモトラッドの歴史を味わえる名車を試乗インプレッション 試乗インプレ

BMW Motorrad R nineT Pure(2019) / BMWモトラッドの歴史を味わえる名車を試乗インプレッション

  • 掲載日/2019年12月23日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad  取材・写真・文/小松 男

BMW Motorrad R NINET PURE(2019) / BMWモトラッドの歴史を味わえる名車を試乗インプレッションの画像

BMW R nineT Pure(2019)
BMWモトラッドの伝統である空冷ボクサーツインエンジンを搭載したクラシックライン、RナインTシリーズ。その中でもっともベーシックなモデルとなるRナインTピュアをテストする。

クラシックでありながらも最新
相反する両極を見事に落とし込む技量

ビンテージバイク的なスタイルを纏ったモデルの人気が、世界中で高まりを見せてから久しいものであり、大手バイクメーカーはもちろん、零細ブランドでさえもブームに乗って次々とマーケットにニューモデルを送り出し続けている。BMWモトラッドのRナインティシリーズも、その中のひとつと言えるものであるが、何よりも他と大きく異なる点、それはBMWならではのラグジュアリーな雰囲気に包まれていることだろう。

Rナインティという基本モデルにはじまり、アーバンG/S、スクランブラー、レーサー、そして今回紹介するピュア、さらにはピュアをベースに往年の名車をオマージュした/5が先だって登場した。フレームやエンジンを共通のものとしながら、これだけバリエーションを拡大してきたRナインティシリーズはどれも粒ぞろいだ。その裏にはどのような魅力があるのだろうか。今回は、もっともベーシックなモデルと言えるRナインティピュアを取り上げ、その全貌に迫る。

Rナインティ ピュア(2019-)特徴

それを”事件”だと気づかなかった私と、
一過性のものにせず血脈を広げる確信犯

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Rナインティが登場したのは、2014年の事だ。水冷に移行を進めているRシリーズをよそに、空冷ボクサーエンジン、テレスコピックフォークというオーソドックスなスタイルで登場したRナインティは、自分好みの一台に仕上げることのできる新しいスタイルのバイクとして、多くのメーカーカスタムパーツが用意されたほか、日本をはじめ世界中のカスタムビルダーの手によって、様々なカスタマイズが施され、そのコンテストが行われるなど、さながらバイクのキャンバスというような扱われ方がされたものだった。

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実はその当時から遡ること6年前の秋に行われたミラノショーで発表されたコンセプトモデル「Lo Rider」に、Rナインティの根源があった。Lo Riderの発表時、同車をベースとしたストリートファイターやチョッパー、スーパースポーツモデルなど様々なカスタマイズが施されたデザインスケッチも用意されていた。改めてそのスケッチをよく見ると、シートレールの着脱機構やサイドパネルの構成など、それは後に登場することになるRナインティへと通じるものが多いのだった。実際のところ、当時のデザインディレクターだったオラ・ステネガルド氏も、異論は延べなかった。ただオラ氏と話した際、とても印象に残っているのは、彼はビンテージスタイルのバイクを作ったのではなく、可能性を持った新しいバイクを生み出したと言っていたことだ。

Rナインティ ピュア(2019-)試乗インプレッション

過不足の無い絶妙なポテンシャルは、
乗る者を拒まない深い懐となる

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Rナインティが出た当時、恥ずかしながら私が勝手に思っていたことを正直に述べることから始めよう。それはRシリーズが水冷エンジンを搭載することとなり、空冷ボクサーの余剰分が生まれたこと、フロントフォークなど当時のS1000RRと同系の物が使われていたことなどから、”寄せ集めモデル”と感じていたのだが、それは実車を見て、乗って大きく違っていたということだ。細部まで入念に作り込まれていたRナインティは、予定調和によって誕生したわけではなく、すべてにおいて整合性が取られているプレミアムモデルだったのだ。

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自分好みのバイクに仕立て上げる楽しさをモチーフに生み出されたRナインティだが、やはり一般ユーザーレベルでは、各パーツを換装する程度のことしか手を加えることができない。カスタムビルダーのように、根底から別のバイクを作り上げるのは無理な話である。そこでスクランブラーモデルやカフェレーサーモデルなど、メーカーが派生カスタムモデルを次々と登場させることになる。そのような中、Rナインティピュアは、無駄なものを一切省いたモデルという立ち位置だ。正立タイプのフロントフォークやプレス成型の燃料タンクなど、Rナインティに比べコストを抑えた装備が施されており、実際のところ定価は176万6000円と、Rナインティと比べて33万円近い安い設定だ。これによりRナインティシリーズで最も手を出しやすいモデルとなっているのだ。

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人それぞれ好みはあると思うが、個人的にはRナインティピュアのスタイリングは、Rナインティよりも好みである。それはシンプルな色使い、この手のクラシックタイプにマッチングの良いオーソドックスな正立フロントフォークなどから感じられるものであり、Rナインティがカスタムモデルとするならば、このピュアは本当に素のままの状態で生み出されたようなモデルだ。

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実際に走らせてみると、素性の良さが伝わってくる。昔ながらのトルクリアクションを感じられる空冷ボクサーエンジン、一般道で使う分には必要にして十分なパワーと、それをしっかりと受け止める足回り。ABSとグリップヒーターというBMWならではの標準装備以外はもたないというシンプルさも、むしろ利点に感じられる部分だ。

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なによりも全体的なバランスがいいため、コーナーリングが非常に楽しい。深いバンク角を求めることも容易であるし、逆にさほど倒しこまなくてもスムーズにリーンを描く。モーターサイクルを操る楽しみが凝縮されているのだ。

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昨今のBMWモトラッドは様々な機能が用意されており、左手のスイッチボックスを完璧に操るのも難儀だと感じてしまうが、このRナインティピュアは、その逆を突き進む路線だ。ただし、すべてにおいて十分すぎると感じられたRナインティピュアにおいて、ひとつ重箱の隅を突かせてもらうならば、ローダウン仕様が日本での標準となることだろうか。とはいえ、昔ながらのボクサーツインスポーツを満喫することができるRナインティピュア、機会を作り是非とも体感していただきたい一台である。

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Rナインティ ピュア(2019-)詳細写真

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BMWモトラッド伝統のボクサーツインエンジンを搭載。昔ながらの空油冷方式がとられ、排気量は1,169cc、最大出力は110馬力を誇る。ボアストロークは101×73mm、ショートストローク志向でトルクフルだ。

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Rナインティの燃料タンクにはアルミ製サイドパネルが付属していたのに対し、Rナインティピュアはオーソドックスなプレス成型のタンクを採用。なおタンク容量は前者と比べ1リットル少ない17リットル。オプションで溶接痕の有り無しを選べる。

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サイレンサーは車体左サイドにシングル出し。三次元触媒コンバータを備え、ユーロ4基準をクリアしている。何よりもエキゾーストノートが心地よく、さすがBMWモトラッドと感じさせる。

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Rナインティシリーズ共通の形状となる丸型ヘッドライトは、周囲をクロームリングとし、デザインのアクセントとなっている。ライト中心部には、BMWブランドのプロペラエンブレムが備わる。

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シンプルかつスポーティーな5本スポークホイールを採用。オプションではワイヤースポークホイールも用意されている。フロントサスペンションにはRナインティと異なり正立フォークが使用されている。

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ボクサーエンジンと同じくBMWモトラッドの伝統的装備であるシャフトドライブを採用。片持ち式で、EVOパラレバーを備えており、シャフトドライブ特有のテールリフトは感じられない。

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シャフトドライブ方式のスイングアームをモノサスペンションで支持。可変リバウンドダンピング式とされており、調整をすることができる。サスペンションストロークは前後ともに105mmとされる。

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見た目は薄いものの、しっかりとしたコシがあり、座り心地の良いライディングシート。前方が細くシェイプされているので、足つき性は良好。パッセンジャーシートとはセパレートスタイルとされている。

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インストルメントパネルにはシングルメーターを採用。シンプルながらも高級感があり、所有欲を満たしてくれる。角度や設置場所も絶妙であり、視認性も良好だ。

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ややワイド気味に見えるバーハンドルだが、ライディングポジション的にはとても自然で、バイクを操ることを存分に楽しめる。過剰な装備が無い分、スイッチボックスもシンプルだ。

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エルゴノミクスが考慮され、ライディング時に、上体の角度から自然と繋がる位置にセットされたステップバー。シフトアシストは標準装備ではないが、クラッチはとても軽い。

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シリンダーに挿す、オーソドックスな物理キーを採用。シートを着脱するスペシャルツールも付属。シート下には標準装備となるETC2.0が設置されている。

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クラシカルでありながらもLEDライトを採用したことなどにより、モダンな印象を受けるテールセクション。シンプルなデザインでありながらも、個性が光るものとなっている。

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