VIRGIN BMW | BMW Motorrad R1250R (2019-)/ BMWが導き出したエキサイティング&セーフティーという答え 試乗インプレ

BMW Motorrad R1250R (2019-)/ BMWが導き出したエキサイティング&セーフティーという答え

  • 掲載日/2019年09月24日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad  取材・写真・文/小松 男

BMW Motorrad R1250R (2019-)/BMWが導き出したエキサイティング&セーフティーという答えの画像

BMW R1250R(2019-)
「ROADSTER(ロードスター)」を意味するイニシャルである”R”が与えられたニューモデル、 R1250Rはボクサーツインモデル随一のスポーツバイクだ。

R(ロードスター)に与えられた使命は、
いつの時代もライダーを高揚させること

BMWモトラッドの歴史を振り返ると、R90SやR100RSなど、1970年代にカウルを纏ったモデルが登場したことが発端となり、ツーリングでの快適装備を備えたRTや、オフロード走破も想定したGSなど、様々なセグメントの拡充が進んでいったことが分かるが、元を辿れば、それ以前はBMWに限らず、どのメーカーのバイクもカウルを持っていなかったわけであり、ノンカウルモデルを持ち上げて、わざわざネイキッドバイクなどとカテゴライズするようになったのは、90年代初頭に入ってからの事であった。

そのことを裏付けるのが、1991年に登場した「R100R ロードスター」である。バイクのスタンダードというものは、本来どのようなものなのかをパッケージングしたいわゆるネイキッドモデルであり、BMWは以降ネイキッドモデル=ロードスターとしており、今回テストを行った最新モデルR1250Rに続く系譜の初代モデルにあたる。いつの時代もR(ロードスター)のイニシャルが与えられたモデルの使命は、ライダーに従順で、安全で快適、何よりも楽しめるバイクということだった。はたしてR1250Rはどのようなバイクになっているのかを、しっかりと吟味することにした。

BMW R1250R(2019-)特徴

新型ボクサーエンジンを得たことで、
明確に進化したスポーティーなキャラクター

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これまで、BMWのロードスターモデルは、ボクサーエンジンを持つRシリーズにはじまり、四気筒エンジンのKシリーズ及びSシリーズ、パラレルツインのFシリーズと、小型シングルのGシリーズと幅を広げていった。現在KやFのロードスターはラインアップから外れたが、どのモデルも先述したように、ライダーが安全かつ快適にライディングを楽しむために生み出されたスタンダードモデルであった。がしかし、そのポジションに立つ、別のモデルが登場した。それはRナインティーを筆頭としたヘリテイジシリーズだ。そこでロードスターは、よりスポーツライクな方向へとシフトさせてゆくこととなる。

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歴代のロードスターモデルに乗った経験を持つが、はっきり言ってしまうと、2011年に登場したツインカムエンジンを搭載したR1200Rまでは、野暮ったさが残るモデルだった。というのも、それはエンジン特性に起因することであり、今思い返せば、当時の空冷ボクサーツインは、若干ダルな部分があり、それが特有のキャラクターだった。劇的に変わったのは水冷ボクサーエンジンとなった一代前のモデルからであり、スムーズかつパワフルなエンジンと、テレレバーを捨てて一般的なテレスコピックサスペンションとなったことで、格段にスポーティーなライディングフィールを得たのだ。そして今夏登場したばかりの新型R1250Rは、排気量が引き上げられたうえ、可変カムシャフトコントロールシステムであるBMWシフトカムを備えた最新のボクサーツインエンジンが搭載されているのである。

BMW R1250R(2019-)試乗インプレッション

ドラッグ的な要素を持たない
BMWならではの清々しい爽快感

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GS、RTに続きRS、Rと矢継ぎ早に採用された新世代ボクサーエンジンの、最大のポイントとなるのはBMWシフトカムだ。これはいわゆる可変バルブ機構であり、新型ボクサーの場合だとカムシャフトに低速カムと高速カムを設置し、アクチュエーターによってそれを制御することで、バルブリフト量をコントロールし、燃焼効率を高めている。5000回転を超えるか、スロットルを全開にするかのどちらかで、高速カムに切り替わるのだが、排気量が引き上げられていることもあり極低回転域からトルクフルなので、公道使用時に切り替わりを体感できるかというと、なかなか難しいものがある。むしろ低回転から高回転までとてもスムーズだ。

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新型R1250Rは、従来モデルとほとんどその姿が変わっていないため、マイナーチェンジ的な扱いをされているが、よく見るとヘッドライト上部のメーター周りのデザインが変更されていることが分かる。メーターそのものも高解像度TFTカラーディスプレイとされたので、コクピットに収まれば別物だとすぐに理解できるだろう。オーナーにとってはこういうポイントが重要なのだ。

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先だってテストを行っていたR1250RSでは、日本仕様で標準装備となっているローシートの760mmという着座位置の低さが気になったが、R1250Rは820mmのスタンダードシートが設定されており、ライディングポジションは、より自然なものだ。指一本でも操作できる程軽いクラッチを繋ぎ走り出す。走り出してすぐに感じられるのは、その動きの軽さだ。込み合った市街地を走らせた際、この軽快感は強い武器となる。車体の各部、エンジンが温まってくると、乗り出してすぐは5000回転だったレッドゾーンゲージが、徐々に回転数が引き上げられてゆく。

十分に熱が入ったことを確認してから、高速道路へとステージを移す。ここでもまた水を得た魚かのような走りを楽しめる。低回転から高回転まで幅広いバンドを使うことで、より一層強い快感を得られる。そしていつもの山坂道では、思い切り車体を振り回して走らせることができる。面白いのはメーターパネルの表示にスポーツモードが用意されており、左右のバンク角や、ブレーキングパワー、トラクションコントロール作動のパーセンテージなどがリアルタイムで映し出されるのだ。おのずとやる気スイッチがオンになってしまう。かといって、目を三角にして攻めさせるように刺激するのではなく、あくまでもジェントルに、爽快感を導いてくれるのだ。

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現行の新型ボクサーエンジン搭載モデルをすべてテストした結果、GSやRTは、個人的に想定している旅バイクというキャラクターを考えると、力が強くなりすぎてしまった感じであり、RSでは高いトータルバランスで新しいスポーツツーリングバイクの方向性が垣間見えた。そして今回のR1250Rはというと、ロードスターという分野での成熟した姿が見えた。

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例えばバイクに乗車して目の前に広がる景色、ラメが散りばめられたかのような処理が施されたハンドルバーはプレミアムバイクのイメージに似合うものであるし、メーターパネルの先には何もなく、ひたすらに進む世界が広がっている。この潔さは他のバイクにはない。それでいながらも、さすがはBMWと感じさせるのが、よく考えられた空力だ。ノンカウル、ノースクリーンであるにも関わらず、高速走行時にも上半身に受ける不快な走行風はほぼ無い。デザインだけでなく機能面も向上しているのだ。

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ただし、スポーティなキャラクターもこれ以上過剰なものにしなくても良いかなとも感じる。それはハンドリングの軽さだ。ステアリングダンパーが装備されており、急な切れ込みは防いでいるものの、ワインディングロードなど、コーナーが続く道での切り返し時に、もう少し手ごたえを残してくれても良いのかもしれないと思える場面があった。テレレバー時代の、しなやかかつ軽快なハンドリングがイメージに焼き付いているということもあるが、BMW伝統のボクサーモデルならではの”厚み”を多少なりとも残していってほしいと感じるのは、私だけではないと思うが、いかがなものだろうか。

BMW R1250R(2019-)詳細写真

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バイクの先端部分にセットされたメーターパネル。写真ではスポーツモードを表示しており、中央に左右のバンク角、右にブレーキパワー、左にDTC(トラクションコントロール)介入度が表示される。

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低くセットされた異形ヘッドライトの上部にメーターパネルステーを兼ねたパネルが備わる。スクリーンを備えてなくても、これが空力的に効くのだ。正面部分に「R1250R」とモデルロゴを入れるのも新しい手法。なおプションパーツでスクリーンも用意されている。

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BMWモトラッド伝統のボクサーツインエンジンは、排気量が1254ccまでに引き上げられ、そしてついに可変バルブ機構が備わった。最高出力136馬力を7750回転で、最大トルク143Nmは6250回転でたたき出すパワフルな心臓部だ。

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BMWの四輪車のアイデンティティである、キドニーグリルを連想させるデザインとされたテールライト。クリアカバーを用いて精悍なイメージを持たせている。テール及びウインカーにはLEDを採用。

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メーターに表示される各種設定を行えるジョグダイヤル、メニュースイッチ、ABS及びESAスイッチ、ハザード、クルーズコントロール、ウインカー、ホーンなど、様々な機能が持たされたスイッチボックス。

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ホイールは従来モデルを踏襲したデザイン。Φ45mmの倒立式テレスコピックフォークは、ダイナミックESAによって、常に最適なリバウンド及びダンピングに設定される。もちろん好みの設定をすることも可能だ。

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軽快なハンドリングはR1250Rのキャラクターではあるが、フロントタイヤの急な切れ込みを防ぐためにステアリングダンパーが設置されている。

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伝統的なシャフトドライブを採用。シャフトドライブ特有のテールリフトを防ぐためのパラレバーも健在。何よりもチェーンのように注油や引き代調整の必要が無く、メンテナンスフリーというのは嬉しい。

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リアサスペンションには、ダイナミックESAを備えたモノショックがセットされている。ストロークセンサーなどを使い、ライディング時の路面状況を常に監視、自動的にダンピングやリバウンドを調整してくれる。

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シート下には電源を引けるヘラソケットが備わっている。ヒートジャケットを使用したり、USBアダプターを介してガジェット類の充電を行ったりと、様々な場面で重宝する。

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ライダーとパッセンジャーでセパレートされたシート。ライダー側は標準装備となるスタンダード(820mm)の他に、ローシート(760mm)、スポーツシート(840mm)の設定がある。

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キーレスライドシステムにより、イグニッションや燃料タンクキャップにキーシリンダーを装備していない。物理キーは、シートを開ける際に使用する。

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シフトアシストプロの採用により、走行時のシフトアップ/ダウンは、クラッチレバーを握らずとも行える。シートとステップの位置関係も良好。なお傾斜地を自動検知し、ブレーキをかけてくれるヒル・スタート・コントロール・プロも装備する。

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シートカウル下のキーシリンダーを作動させると、パッセンジャーシートが開く。ETC2.0は標準装備。プラスαのスペースが確保されているほか、シート裏には車載工具が設置されている。

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