BMWバイク プロに聞く購入ガイド K1200GT(2006-)
- 掲載日/2008年01月14日【トピックス】
- 講師/株式会社モトラッド 渡辺 暁比古氏
BMW Motorradのフラッグシップモデルの1つ。2006年春に縦置きエンジンから横置きエンジンへ、その他の部分もフルモデルチェンジし生まれ変わったモデル。K1200S、K1200Rのエンジンをベースとしながらも、低中速のパワーを太くし、オールラウンドに扱いやすいようになっている。スポーツ性も意外なほど高い。
BMWのフラッグシップの1つ
“グランツーリズモ”K1200GT
今回紹介するK1200GTはK、R、Fなど多岐に渡るBMWラインナップの中でもフラッグシップと言えるモデルです。2006年春には、従来の縦置きエンジンからK1200S、K1200Rと同じ横置きエンジン搭載モデルとなり、各部も大きな進化を遂げています。近年は“S”の名を冠するモデルやFシリーズなど、個性の強いモデルが多く登場していますが、「これぞBMW」というモデルを挙げるなら、やはりK1200GTやR1200RTなどツアラー色の強いモデルになるでしょう。古くから脈々と受け継がれてきたBMWの伝統、カラーをもっとも体感できるモデルの1つ、K1200GT。その魅力をできる限りご紹介したいと思いますので、お付き合いください。
K1200GTの“GT”は「グランツーリズモ」の略称で、広大なエリアをどこまでも旅することができるモデル、という開発思想が名称に表されています。日に1000km、2000kmの移動ですら難なくこなせる。ドイツのアウトバーンのような最高速度制限がない高速道路であっても、乗り手に負担をかけず、あらゆるモーターサイクルや車に負けない快適な高速巡航が可能なモデルなのです。K1200GTがこういったキャラクターを持つのは横置き4気筒エンジンのおかげだけではありません。前後サスペンションからフェアリングまで、“GT”の名に恥じない装備がおごられており、妥協のない装備の集大成がK1200GTの走行フィーリングを実現しているのです。では次の章で詳細についてご説明いたしましょう。
ツアラーの快適さは抜群
フェアリングの恩恵は大です
BMWでは特別目新しい話ではありませんが、風洞実験を繰り返し設計されたフロントフェアリングは、風防効果は抜群。GSなどのコンパクトなスクリーンですら、見た目以上の風防効果を得られるのですから、GTのフェアリングがどれほどのモノなのか、高速を試乗してみれば体に受ける風圧の少なさに驚くことでしょう。また、標準でパニアケースが装備されているなど、ツアラー然としたスタイルからは想像できないパフォーマンスの高さはGT以外のツアラーモデルと同様です。GTはフェアリングや前後のサスペンションなどのおかげで、200kmを越えるような走行シーンであっても安定性を失わないモデルです。そのため、日本の高速道路程度なら車体側から不安な挙動を感じることは一切なく、安心してツーリングからちょっとしたスポーツライディングまでを存分に楽しむことができるでしょう。
K1200S,Rのエンジンをベースに
低中速のトルクを太らせたモデル
エンジンはK1200Sなどスポーツモデルのモノをデチューンし、低速を太らせ街中でも扱いやすくなったものを採用しています。大柄な車体のモデルだと、低速が扱いづらいとフラフラとしてしまうものですが、上から下まで綺麗に吹けあがるGTのエンジンではストレスを感じることはないでしょう。高速に乗り、100kmまでの加速はスムーズ、エンジンのポテンシャルはまだまだ使える余裕を感じます。200km超の世界でもまったく快適に走るよう設計されたエンジンですから、日本での常用速度では余裕をたっぷりと残した上品なエンジンフィーリングを楽しむことが可能です。
次にサスペンション( デュオレバー、パラレバー)とブレーキについてご説明いたしましょう。このGTのフロントにはK1200S、K1200Rで採用されている「デュオレバー」が装備されています。これは、Rシリーズに採用されている「テレレバー」とは違った機能を持つサスペンションで、強烈なパワーを持つ水冷横置きエンジンが発生させる、強烈な加重移動をほぼ完璧に収束させる高性能サスペンションです。詳細は上記リンク先をご覧ください。また高出力なエンジンを制御するため、ブレーキシステムは高性能なモノが装備されています。フロント320mmダブルディスク、リア294mmシングルディスクが採用されたEVOブレーキには、BMWではもはや当たり前となったインテグラルABSも装備。インテグラルABSはパーシャリーインテグラルタイプです。これは、フロントブレーキレバーを握ればリアブレーキもコンピューターが適切な力で自動的にかけてくれるのですが、リアブレーキを踏んだ際はフロントブレーキがかからない、というスポーツライディングに適した高機能なブレーキシステムなのです。
これはオプション装備としてESA(Electronic Suspension Adjustment/電子制御サスペンション)とASCをご紹介いたしましょう。ESAはその名前のとおり電子制御、ボタン一つでサスペンションの性能を変化させることができるサスペンションシステムです。1人乗り、1人乗り+荷物、タンデムなどといった加重調整はもちろん、減衰力(振動を押さえ込む力。サスの堅さ)を、乗り心地重視、普通、スポーツ仕様などコントロールが可能で、道路や走行状況に合わせたサスペンションを得ることができるのです。またASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)はコンピューター制御でホイールの回転状況をチェックし、リアタイヤの空転を防ぐ機能になります。
オプション装備で
収納性がさらにアップ
K1200GTは標準でパニアケースを装備しているため、そのままでもロングツーリングに旅立てるほどですが、さらに快適性を高めるオプション装備も用意されています。万が一の転倒の際にパニアケースを損傷から守るインパクトプロテクターや大小2種類のトップケース、タンクバッグなどを取り付ければ、GTの持つ魅力や機能性をグッと広げてくれることでしょう。タンクバッグと大型トップケースを組み合わせて使用すれば、ただでさえ収納性の高いGTに、さらに82Lもの収納性を増やすことができます。たとえタンデムでの長距離の旅行であっても、収納に困ることはなくなるでしょう。
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