VIRGIN BMW | BMW Motorrad R18 CLASSIC(2022)試乗インプレ / ジャーマンアウトローの病みつき加速感 試乗インプレ

BMW Motorrad R18 CLASSIC(2022)試乗インプレ / ジャーマンアウトローの病みつき加速感

  • 掲載日/2022年04月14日【試乗インプレ】
  • 取材協力/BMW Motorrad 取材・写真・文/小松 男

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R18 CLASSIC(2022)
BMWモトラッドヘリテイジラインの一翼を担うR18クラシック。大きく迫力のある体躯、懐かしさを感じさせるディテール、BMWモトラッド最大排気量を誇るボクサーエンジンに、贅沢なツーリング装備を付加した贅沢版モダンクルーザーだ。

派生モデルが広がった中、
バランスの良さが光る一台

BMWモトラッド史上最大排気量となる1801cc水平対向エンジン、通称ビッグボクサーが搭載されたクルーザーモデルの登場は以前から噂されており、著名なカスタムビルダーの手によって創造されたショーモデルや、BMWモトラッド自身がコンセプトR18というティザーモデルを生み出していた。そのR18がカタログモデルとして実際に登場したのは2020年のこと。世界大戦前のR5をオマージュしたスタイリングを持つ、新たなクルーザーモデルは、瞬く間に世界中のバイカーの憧れの的となった。その後R18クラシック、R18B、R18トランスコンチネンタルとモデルレンジを広げ、今に至っている。今回はそのR18シリーズの中でも豪華な装備面や日常的な使い勝手の良さなど、ウェルバランスと言われているR18クラシックを紹介する。

R18 クラシック(2022) 特徴

ビッグボクサーを搭載した
R18のツーリングスペシャルバージョン

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2020年に登場したR18のインパクトは大きかったようで、デビュー当時は周囲のバイク乗りとの会話でたびたび話題となっていたことを今も覚えている。本国ではR18と同時発表となっていたR18クラシックだが、日本へは約半年遅れで上陸。ウインドスクリーン、サドルバッグ、タンデムシートなどが付け加えられたツーリングスペシャル版としてマーケットに受け入れられた。

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豪華装備に目が向けられてしまいがちだが、実はフロントタイヤがR18は幅120の19インチ、R18クラシックは幅130の16インチと異なるサイズを採用しており、そのために両者を乗り比べると乗り味の印象はかなり違う。フロントタイヤの話をすると、インチが大きい方が安定志向が高くツーリング向けモデルであったり、悪路走破を想定したモデルで採用される場合が多く、インチサイズが小さいとクイックなハンドリングをもたらすと考えることが一般的となっている。ではなぜツーリング装備を与えられたR18クラシックにおいてサイズダウンが図られたのか、それは実際に走らせることで分かってきた一つの答えがあった。

R18 クラシック(2022) 試乗インプレッション

デジタルをふんだんに用いて
アナログを匂わせる

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2.5m近くもある全長、374キロの車重。R18クラシックは、見る者を圧倒させるだけの強い存在感を持っている。それだけに、初めて触れる時には躊躇することもあるかもしれない。しかしシート高は690mmと低く抑えられている上に、ボクサーエンジン特有の低重心が肝となっており、跨って車体を起き上がらせてしまえば、意外なほど安心感を得られることだろう。

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セルボタンを押しエンジンを始動させると、1801ccのビッグボクサーは強烈なトルクリアクションを見せつけて目を覚ます。シーソーペダル式のシフトを操作しギアをローに入れ走り出す。158Nmという強力な最大トルクを僅か3000回転で発生させるというスペックシートの数値は伊達ではなく、一つ目の交差点に辿り着く前にビッグボクサーを搭載するR18クラシックのパフォーマンスを思い知ることができる。

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ハンドル位置は遠目にセットされており、日本人体型にはライディングポジションが掴みにくいこともあるかもしれない。実際私自身もUターンをする際に大きくハンドルを切ると、外側の手が離れてしまいそうで気を使う場面があったが、ハンドルが遠いことで上体が若干伏せ気味になることが、高速走行時などで下半身を支えることや、ウインドスクリーンを介して走行風から上半身をしっかりと守ることに繋がっているということも伝わってきた。

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エンジンの存在は視覚的にも強く、左右に大きく張り出したシリンダーヘッドがライディング中に視野に入ってくるたびに玉座に腰を下ろしているかのような優越感を得られるものだ。

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ロック、ロール、レインと3パターンのライディングモードが用意されており、ロールで十分なパフォーマンスを得られ、アイドリング+αの回転数でシフトアップを進めてもグズることはない。ロックモードは強烈で、スロットルをラフに開くと、一瞬キュッというタイヤスキール音を残し、メーター内のトラクションコントロール作動ランプが激しく点滅、カタパルト発射的な強烈な加速をもたらす。これらのことから、ノスタルジックを感じさせるアナログ的なモデルでありながらも最新の電子制御によって乗りやすく味付けがされていることが伝わる。なお、トラクションコントロールは任意でカットすることもできるので、テールスライドをしながら発進するなどという芸当もできてしまう。もちろん巨大なトルクをコントロールするスキルが必要だ。

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クルージングは快適そのもので、アウトバーンを超高速で駆け抜けるような走らせ方ではなく、北米大陸のフリーウェイを制限速度の時速70マイル程度で淡々と流すようなスタイルが似合う。

タイヤサイズの違いから気になっていたハンドリングだが、フロント19インチ、リア16インチのR18よりも、前後16インチをセットしたR18クラシックの方が低速での切込みは若干あるものの、どちらかと言えばニュートラルな感触だ。インチダウンだけでなくワイド化されていることも効果的で乗り心地が良い。

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R18クラシックを借用した5日間、毎日触れて乗り回したが、その大柄な体躯からは想像できないほど使い勝手が良いことに驚かされた。これはコストパフォーマンスに優れたモデルである。ただし、ロックンロールと言えどもドイツ車であり、良し悪しの話ではなく、エアロスミスというよりもスコーピオンズのクラウトロック的な緻密でプログレッシブな部分が見え隠れするキャラクターであることは、念頭に置いておいた方が良いかもしれない。

R18 クラシック(2022) 詳細写真

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フロントタイヤは130/90B16サイズで、R18と比べて、10cmワイドで3インチダウンとなる。このことで両者のハンドリングは大きく異なる。可能であればどちらも試乗を行い感触を確かめると良いだろう。

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70年以上続くBMWモトラッドの歴史において最大排気量となる1801cc水平対向ツインエンジン、通称ビッグボクサー。最高出力の91馬力を4750回転で、158Nmという強力な最大トルクを3000回転で発生させる。トルクリアクションも大きい。

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R18クラシックならではの装備となっているウインドスクリーンはクリアな視界と高い防風効果を備えている。なお着脱も可能となっている。LEDヘッドライトは補助灯が左右に備わり3灯スタイルとされた。

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フットボードとシーソー式のシフトペダルを組み合わせる。操作性は良くストレスなくシフトチェンジを行える。トルクを活かしたオートマチックな走りができるので、フットボードの採用はクルージングでリラックスできる。

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サドルバッグはソフトタイプでバックルなどの操作感も良い。インナーバッグを備えるほか、バッグそのものの着脱も可能となっている。容量的にもう一回り大きいと嬉しいと感じた。

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タンデムシートを標準で装備している。ライダーとパッセンジャー側がセパレートタイプとなっており、ソロシートスタイルへの変更も可能。ただ加速時のトルクを受け止めることを考え、ストッパーとしてパッセンジャーシートもあった方が快適。

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アナログタイプの丸型メーターディスプレイ。デジタル液晶部には距離計、回転計、時間などのほか、ギアポジションやライディングモードなどのインフォメーションを表示させることができる。

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左側のスイッチボックスは、ジョグダイヤルを持たないタイプ。操作性は良く、ライディングモードのセレクトやクルーズコントロールなど、説明なしで直感的に扱うことができた。

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R18ではフィッシュテールスタイルのサイレンサーが採用されていたが、R18クラシックはサドルバッグの追加からストレートタイプのサイレンサーが装備されている。サウンドに拘るBMWならではの迫力ある排気音を奏でる。

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燃料タンク容量は16L。ラフなスロットル操作を行い、ビッグボクサーのパワフルなトルクを楽しんでいると、燃費は下がるが、落ち着いた走りを心掛ければかなりの高燃費となる。伝統の手書き子持ちラインはファースト・エディション専用。

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ユニット本体を剥き出しとしたオープンドライブシャフトを採用している。雨天走行後などは異物の混入など目視でチェックしたい。トラクションコントロールの一つであるASCを搭載しており、リアタイヤの挙動を制御する。

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シート下にはバッテリーが収められているほか、車載工具も用意されている。左側のカバーを外すとETC車載器へアクセスすることができる。

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