VIRGIN BMW | 第1回 エンジン R1200GS編

第1回 エンジン

  • 掲載日/2013年07月02日【R1200GS編】
  • 執筆/モトラッド阪神 田中 建次
    このコンテンツは BMW BIKES Vol.63 (発行:2013.06.15) 「ディーラーメカが解説する R 1200 GS テクニカルディテール」掲載の記事を引用しています。

R1200GS編分解レポートの画像

満を持して登場した完全新設計の新型 R 1200 GS。登場するや否や、世界中のライダー達に賞賛を以って迎えられたが、プロメカニックの目にはどう映ったのだろう。今回も詳細に解説する。

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従来型とは一切の脈絡がない完全新設計。水冷、駆動系内蔵クランクケース、ダウンドラフト吸気等、長年蓄積したノウハウをリセットして設計されたことがわかる。90年間右回転(正面から見て)だったクランクシャフトの回転方向も逆になった。
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ボア×ストローク=101×73mmで排気量 1,169cc。数値は旧エンジンと同一。再設計とテストの結果、これが最適値なのだろう。圧縮比は 12.5(旧 12.0)とかなり高い。最高出力 125ps/7,750rpm、最大トルク 125Nm/6,500rpm。旧型より 15ps・5Nm の上乗せ。最高回転数は 9,000rpm で 500rpm 高い。
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これまで別体だったクラッチ、トランスミッション、発電機までクランクケースに内蔵された。最前部のカバー内には湿式多板式クラッチが収まる。
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クランクシャフト前に設置されたクラッチと下に並んだミッションによって、重心はさらに前方と下方に移動しつつ重量マスを集中させた。また、エンジン最前部からドライブ出力までの距離が短くなり、スイングアームを長く設計できた。
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なかなか見ることができないエンジン真後ろからの眺め。クランクシャフト下にミッションが配置されたことでクランクケースの幅が広がり、シリンダーが短く見える。最前部上方へ外付けされていたオルターネーターは最後部上方に内蔵された。
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真下からの眺め。左右分割クランクケースと左右シリンダーのオフセットが良くわかる。旧型にあった冷却フィンは廃止され、掃除しやすくなった。
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シリンダーはクランクケースと一体化された。水冷といってもシリンダーヘッドとシリンダーのごく一部だけを冷却するもので(水冷35%・空冷65%)、シリンダーはほぼ空冷のまま。冷却フィンは飾りではない。オイルクーラーは廃止された。
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マグネシウム製ヘッドカバーは旧型より肉厚が増し、騒音対策とともに強度を持たせている。数種のプロテクターやガードがオプション設定される。
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オイルレベル点検窓の赤丸表示の範囲は 0.95L。エンジン内部のセンサーによってディスプレイにも表示できるが、この窓でチェックするのが基本。
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オイルフィラーキャップは旧型と同じ。データ上のオイル総量は 4.2L。実際に交換してみると、オイル交換なら 3.8L、フィルター同時交換なら 4.0L 前後。指定油はカストロール社の化学合成油、パワー1レーシング 5W40。旧型は 15W-50 等の硬めだった。水冷化によるエンジン温度の安定化と駆動ロスの低減を狙っての採用だろう。
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標準装備のアルミ製アンダーガード。オイルメンテナンス時には外す必要あり。車載工具で外れる。
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オイルドレインプラグは 8mm のヘキサゴン。締め付けトルクは 42Nm。
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従来型と共通部品のオイルフィルターはシリンダー下に横向きに配置。走行風での冷却効果を狙った配置だと思われる。締め付けトルクは 11Nm。
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