VIRGIN BMW | #02 メガモトをレーサー仕様に!アルミタンク製作編 HP2メガモトもて耐参戦記

#02 メガモトをレーサー仕様に!アルミタンク製作編

  • 掲載日/2009年07月04日【HP2メガモトもて耐参戦記】
  • 取材協力/Tras  文/新田 正直
HP2メガモトもて耐参戦記の画像

がんばれ!『Tras チーム』

2008年にはHP2 Sportで参戦し、「もて耐史上初」となる外国車優勝を遂げたトラスチーム。今年はディフェンディング・チャンピオンとして、HP2 Megamotoで挑戦します。レース本番は8月22日(土)。当日はBMW BIKESのヒミツ集会&HP2オーナーズミーティングも同時開催し、みんなでトラスチームを応援しました。たくさんのご声援・ご参加、ありがとうございました!

セミプロとプロの違い
頼りになるのは職人の業

製作にあたり、まずはタンクのモデル(原型となるもの)を作成し、次にタンクカバーのモデルを作成…おっ違う違う! それは“セミプロさん”の創り方です。24Lタンクを先に作成してしまうとデザインが崩れてしまいますし、簡単な形状のタンクになってしまいます(簡単な形状だとアルミタンク職人のやる気もそぎ落としてしまうしね!)。

【STEP 1】ポジション決めのため、ハンドル周りの変更・位置決定

【STEP 2】外装モデルの作成、デザインも考慮したタンクとのバランス決め

【STEP 3】タンクのモデルを作成

この流れが、デザインを優先しながら作成する“プロの仕事”って感じです。それからステップ位置を想定し、メガモトのイメージを崩さないけどレーサーに見えるシートにして、フロントカウルにもスクリーンを取り付け可能な形状にデザインしていきます。

本来はこれらのモデルを100%完成させてからタンクモデルを作成するのですが、時間の関係上、仕上がり30%の時点でタンクモデルのみ先に創り込み(これが後に大問題になろうとは、この時点では思ってもいなかった…)、御殿場のアルミタンク職人【ビーター】の仲原さんのもとへマシンを搬入します。

ビーター代表の仲原さんは、職人気質丸出しのチョ~匠な人で、バイクのフレームまで作成してしまうほどのバイク好きでもあります。もちろん、それが専門的な知識と経験に裏付けられていることも、仲原さんの経歴をお聞きすれば容易に想像出来てしまいます。

新田「ステップどうするか悩んでるんだけど~」
仲原「あ~、い~よ~。創ってみるよ」
新田「じゃあさ、このパーツ使ってココをあ~してこーして、こんな感じで…」

と、説明してバイクを預け、あとはお任せ。それと同時に、Trasでは外装モデルの仕上げに入ります。

5月下旬、「24Lタンク出来たよー」と、ビーター仲原さんから連絡が入り、引き取りに。相変わらず、匠の技が光る美しいタンクです。ステップも綺麗に仕上がっています。仲原さんの凄いところは、ノーマルパーツを出来るだけ使用するというところ。一般的にバックステップの作成ともなると、まずアルミでプレート(ベース)を作り、そのプレートにマスターシリンダーを装着しますが、仲原さんはノーマルパーツを使用します。にもかかわらず、編芯のエキセントリックな調整機構をさり気な~くブレーキペダルプレートにセットしてくれるところがまたニクイ!

仲原「ステップはさほど問題無かったけど、タンクは考えちゃったよ~。これじゃ最後に溶接できなくなっちゃうとか、まるでパズルみたいだったよ~」
新田「え~? でも綺麗に出来てるじゃん!」
仲原「まぁね」
(ものづくりのプロは、作品が完成するとこれまでの苦労も忘れてしまうのです)
仲原「このバイク、走りもなかなか良さそうだね~、創っていて面白かったよ。」
(バイク好きの職人は、触っているだけでマシンの良し悪しがわかるみたいです)

ビーターの仲原さんは、独自の製法でアルミを叩き、タンクを創り出します。その工程は企業秘密なので、もちろん写真撮影不可です。多分“人には見せられない形相でアルミを叩いているから”(?)だと私は思っていますが…。

次回は、我が社【Tras】の技術力を活かしたカーボン外装の制作です!

HP2メガモトもて耐参戦記の画像
タンクカバーを被せてしまえば見えなくなってしまう容量24Lの燃料タンク。アシンメトリーな造形はとても複雑な面を織り成している。
HP2メガモトもて耐参戦記の画像
限られたスペースを目一杯使い、メガモトのデザインを崩さないよう設計する。車体右側には容量を稼ぐためのスペースがほとんど無い。
HP2メガモトもて耐参戦記の画像
【01】フレームや補器類などとのクリアランスをギリギリまで追い込んでアルミを成形する技術は、まさに職人の成せる業。無骨ながらも美しい曲面。
【02・03】ビーター仲原さんオリジナルのバックステップ。アルミタンクの職人ではあるが、複数のパーツで構成されるのがバイクというもの。車体全体のバランスを見て設計出来る技術やノウハウがあるから、ステップの製作もこなしてしまう。
【04】タンクモデル作成中のヒトコマ。モデル作成にはFRP、べニア、ケミカルウッド、パテなどを多用する。形になる前は何が何だかわからない状態。
挑戦者
新田 正直 Masanao NITTA
ドライカーボン製品のデザインから設計、製造、販売まで、つねに新たな挑戦と遊び心をもってモノづくりに取り組む“ドライカーボンの職人集団” Tras代表。カーボンという“夢の素材”で、そのメリットを最大に活かしたハイクオリティな製品は世界トップレベル。自身もBMWオーナーとして、R100ロードスター、R1200RT、HP2 Megamoto(もて耐仕様)を所有。自社の技術力向上と新たな挑戦の一環として、2006年の鈴鹿8耐、2008年のもて耐など、周囲の人間と愉しみながらBMWでのレース参戦に挑む。毎年レーサーの製作(外装)を行い、単なる工業製品ではなく、誰もやったことのない付加価値のあるものづくりを目指すチャレンジャー。

がんばれ“Trasチーム”!

この記事に関するコメント(ご意見、ご感想、ご声援など)を受付ています。メガモトレーサー製作は、すべてプロフェッショナルの手により、豊富な知識と経験、確かな技術によって、レーシングユースを前提とし、参加する人やその周囲の人たちが愉しみながら行っています。

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これまでのコメント一覧

たなか さん

スゴイ、凄いタンクですね!カーボンの外装に隠れてしまうのがもったいないくらいです。でも、きっとそのカーボンの外装もスゴイんでしょうねぇ…。市販予定は、、、無いですよね、やっぱり。

Tras 新田 さん

>たなかさん
市販予定は、無いわけでは?レース終了後、問題点がなければフルキットとしてご対応可能です。今週末18日19日は、予選です。天気が良くてお時間の許す人は、ゼヒ是非もてぎまでツーリングがてら応援に来て下さい。

Tras ヤナ さん

いよいよ予選ですね!
マシン作成の過程が良く分かりわくわくしちゃいます♪
予選は行けませんが、がんばって下さい!

Tras 新田 さん

>ヤナさん
応援コメントありがとうございます!!
其の参【カーボン外装製作】編も、楽しみにしてください。
8月22日の決勝でお会いしましょう!

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